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満天の星に愛を誓う
一途な年下伯爵と星詠み令嬢

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書籍紹介

宝物みたいなあなたを全部、 俺だけのものにしたい

占星術が得意な令嬢フィオナーゼが出会った年下の貴公子。凜々しく誠実で一生懸命なクーデバルトに惹かれるけれど、占いの結果は『この恋は前途多難』! 諦めて身を引こうとすると、急に押し倒されて!? 「あなたが好きすぎて、加減ができない」一途な囁きと深い口づけ。情熱的な愛撫に官能を引き出され、愛しさが止まらない。星に導かれ幸せを掴む、運命のロマンティック・ラブ

ジャンル:
西洋 | ファンタジー
キャラ属性:
王子・王族・貴族
シチュエーション:
年の差 | 甘々・溺愛 | 野外
登場人物紹介

クーデバルト

ルドリアム伯爵令息。凜々しい美貌に剣の腕も立つ優秀な青年だが、厳しく躾けられたため父伯爵には逆らえない。

フィオナーゼ

祖父の教えで星詠みが得意な令嬢。灰桜色の髪をした美人だが、星が好きすぎて求婚者が現れない。

立ち読み

 どこを見回しても、星、星、星の海──。
 幼いフィオナーゼは祖父の大きな膝の上に座り、自分に向かって飛び込んでくるような星々のうねりを見上げ、感嘆の声を上げた。
「おじいさま、見て! あんなにお星さまがたくさん! おかあさまの宝石箱の中より、ずっときれいよ」
「はは、宝石箱の中よりきれいか。こうしてみると、まるで音でも鳴り出しそうだろう」
「フィオナには聞こえるよ、お星さまがキラキラって鳴る音!」
 孫娘の灰桜色の髪を撫でながら、祖父は大きな声で笑った。
「そうか、おまえには聞こえるか。では、おまえは立派な星詠み師になれるだろう」
「ほしよみし……?」
「夜空にはこんなにたくさんの星があるのに、星のささやき声は小さくて、誰にでも聞こえるわけじゃないんだよ」
「お星さまがしゃべるの? フィオナはお星さまの音しか聞こえないの。お星さまの声が聞きたい!」
「そうだな、たくさん星を見て、星を知って、星を好きになるといい。星もフィオナを好きになってくれるだろう。すると不思議なことに、星がいろんなことをおまえに教えてくれるようになるんだ」
 その言葉を聞いた途端、フィオナーゼの表情がぱぁっと輝き出した。
「ほんとう!?」
「ああ、なるとも。おまえはおじいさまの血を──アストラディアの血を引いているんだからね」
 白く輝く星が流れて落ちる。
 フィオナーゼはそれをつかもうと手を伸ばした。
 零れてきそうな星々は手の中には落ちてこなかったけれど、夜空を映したような彼女の美しい瑠璃色の瞳には、この日見たたくさんのきらめきがくっきりと焼きついた。

 

 

 

 ぼんやりと快晴の空を見上げる。
 チチチ……と鳴く小鳥の囀りと、風に揺れる枝葉の音がかすかに聞こえてくるばかりで、森の入り口はひどく静かだ。
 フィオナーゼは鳥の鳴き声に耳を傾けながら、草の生い茂る地面にぺたりと座り込んでいた。
 青々とした草の匂いが鼻孔をくすぐると、朱色の艶やかな唇に笑みが浮かぶ。
「気持ちいい」
 四方を自然に囲まれながら大きく息を吸い込む。するとあたたかくやさしい風が吹いて、フィオナーゼの無造作に下ろした灰桜色の髪をなびかせた。
 ここは王都ウルカの外れ、イクシアスの町を通る街道沿いの森だ。だが、ここは街道からすこし外れているので、人の姿はどこにも見当たらない。
 そのはずなのに、彼女の視界の隅に、木々の緑や森の動物たちとはまるで異なる──人間の若者の姿が入ってきたものだから、彼女は瑠璃色の瞳を瞬かせた。
 街道は大きいので、森の中に迷い込むことはないはずだ。
 若者は馬の手綱を引いていたが、途中でそれを手放した。どうやら動物を追いかけているようで、彼の視線の先で草むらがガサガサと音を立てている。
 都会の貴族らしく洒落た外套を着こなしているが、こんな森の中で動物を追いかけてどうするのだろうか。
「そっちはダメです」
 フィオナーゼは思わず若者に向かって声をかけていた。
 すると、若者はビクッと身をすくませた。金色の短い髪が弾み、翠緑色をした瞳が驚いて、草の上に座り込んでいるフィオナーゼをみつめる。
 まだどことなく少年の面影を残しているが、ひどく整った顔立ちは、一瞬で彼女の目を惹いた。
「そのまま進むと、災いが降りかかりますよ」
 そう忠告してみると、若者は表情を強張らせる。
「……それは預言か何かですか」
 フィオナーゼに見つかってしまいバツが悪かったのか、彼は身体ごとこちらに向き直って、やたらと丁寧な口調で尋ねた。
 こんな場所だというのに、まるで社交場にでもいるように背筋を伸ばしている。
「預言、ではないです」
「では何か根拠があってのことでしょうか?」
「今日はそういう日ですから」
「そういう日? 最近、王都で流行りの占術ですか? 失礼ですが僕は、そういった漠然としたことはあまり信じない性質です」
 フィオナーゼに邪魔をされて気勢を削がれてしまったのか、彼は嘆息したが、草むらの中に再び目当てのものを見つけたようだ。
「では」と短く挨拶すると、そそくさと探索を再開するが、明らかにさっきより、追いかける足に勢いがない。
 どうやら、見られたくない場面を見られてしまったので、彼女の前から立ち去るための口実として追跡を続行することにしたようだ。
 フィオナーゼはその後ろ姿を心配そうに見守ったが、案の定、彼はなにかに足を取られて、宙にきれいな弧を描きながら転倒した。
「い……っ」
 痛みに声を上げようとしたが、人に見られていることを思い出したのか、彼はすぐに声を呑み込んでしまった。
 すると、草むらの中にいた野ウサギが、驚いて森の中に逃げ込む。どうやら彼は、野ウサギを追いかけてこの森へとやってきたらしい。
 若者は機敏に立ち上がると、膝についた草や土を手で払った。
「──なんてことだ、あなたの預言した通りだ」
 悔しそうに、彼女の言葉通りに災いが降りかかったことを認めたが、彫りの深い顔は恥ずかしさのせいで赤く染まっている。
 そんな彼を見て、フィオナーゼはころころと笑い転げた。
「……笑うことはないでしょう!」
「ご、ごめんなさい! だって、かわいくて」
 そう言うと、彼はますます顔を赤くしてフィオナーゼに抗議した。
「かわいいとは失礼な。僕はこう見えて、来月で二十歳になります。とっくに成人しているのに、大の男をつかまえてかわいいなんて、とんでもない侮辱だ!」
 憤慨する彼を涙目で見上げ、フィオナーゼは笑いを収めた。
「侮辱したわけじゃないんです。でも来月で二十歳なら、私の方がずっとお姉さんですね」
 彼は一瞬、驚いた顔をしたが、おいくつですか、とは言わなかった。見るからに育ちのいい若者だ。女性に年齢を尋ねるのが失礼にあたると、しっかり教育されているのだろう。
「僕が転ぶことが占術でわかったのですか?」
「ううん、違います。そこらへん一帯、穴ぼこだらけだから」
 言われて彼は地面を注視した。小動物が掘ったと思われる小さな穴があちこちに開いていて、彼はそのひとつに足を取られたのだ。
「なんだ。それならそうと、最初から言ってくださればいいのに……」
 照れ隠しなのか、口の中で小さくぶつぶつ言うが、彼は地面に座ったままでいるフィオナーゼにようやく違和感を覚えたようだ。
「ところで、さっきからそんなところに座り込んで、何をしていらっしゃるんです? すごく不自然だ」
「私ですか?」
 フィオナーゼはにこにこ笑って、スカートの中の足を指し示した。
「ちょっと足が痛いので、痛みが引くのを待っています」
「怪我をされているのですか?」
 若者は遠慮がちに、そして穴に躓かないようにフィオナーゼの傍へ寄ってきた。
 きりりと整っているのに甘さも兼ね備えた女好きのする顔立ちをしていて、フィオナーゼは感心しながら彼を見上げた。さぞ女性にもてるだろう。他人の美醜にはそれほど興味はなかったが、そんなフィオナーゼをして感心たらしめる彼の端整ぶりだ。
「たいしたことはないんですけど」
 フィオナーゼはふわっとした長いスカートの中に隠れていた左足を、ゆっくり伸ばした。
 かわいい花の飾りがついた革ブーツから伸びる細い素足は白く、膝上丈のドロワーズがめくれたスカートの裾からのぞいている。
 若者は思わず素足から目を逸らしかけた。しかし、白いドロワーズのすぐ下、膝には土汚れがあって、擦りむいて血が滲んでいるのが見えた。
「転んだのですか?」
「地面の穴に足をひっかけました」
 彼女の周囲にも、彼が転倒したのと同じく小さな穴がたくさん開いていたのだ。
 それを見た瞬間、若者は思わず吹き出しそうになったが、あわてて表情を引き締めると、そそくさと白いハンカチを取り出し、しゃがんでそれをフィオナーゼの膝に当てた。
「失礼、すこしさわります」
「ハンカチが汚れてしまいます」
「構いませんよ。それにしても、あなたも僕と同じ目に遭っていたなんて、ちゃんと災いには根拠があったではありませんか」
 若者はため息をついて、先刻の非礼を詫びた。
「とっさにどう説明したものか、迷ったんです。笑ってくださっていいんですよ」
「笑うなんて。足首を捻ったりは?」
「大丈夫です。痛いのは膝だけです」
 若者は傷の周囲の土汚れをかんたんに払うと、懐から小さな瓶を取り出した。
 瓶の中には泥のような色をした軟膏が入っていて、彼の指先が傷の周囲にそれをのばす。
「あ、私の家にも同じ軟膏があります」
「シャーファン製薬は近ごろ、リュリートでの商売に力を入れてますからね。我が家に昔から出入りしている薬屋なんです。この薬は何にでも使えるので、便利で持ち歩いてます」
 彼は仕上げに、ハンカチでフィオナーゼの膝を縛った。
「帰ってきちんと消毒をしたほうがいい。家にあるのなら、改めてこの傷薬を塗っておけば、痕も残らずきれいに治ります」
「ありがとうございます、ご厚意に感謝いたします」
「ところでお連れの方は? 家はどこですか?」
「今日はひとりで歩いてきました。家はイクシアスにあります」
 彼女がそう言うと、若者はすこし驚いたように目を瞠った。
「こんな所にひとりで、歩いて?」
「はい。町からそんなに遠くないんですよ」
「それにしてもひとりで来るなんて物騒だ。街道筋では追剥や犯罪者もときに紛れています。女性がひとりでうろつくなんて、危険なことをする方ですね」
 王国の治安はそれほど悪くはないが、女がひとりで町の外をぶらぶらするのは、決して褒められたことではない。
「今日の星回りでは、そういう危険がない日だったので。それよりも今日は、新しい発見がある日なんです!」
 フィオナーゼの言葉に、若者の翠緑色の瞳が細められる。
「その新しい発見というのはきっと、擦りむいた膝でこんな時間からとぼとぼ徒歩で帰ったら、途中で日が暮れて難儀することを知る、というものでしょうね。ちょうどいい、僕はこれからイクシアスに向かうところでしたから、馬で町までお送りしましょう」
 そう言って、彼はしゃがんだままフィオナーゼに背中を向けた。どうやら、おぶされということらしい。
 年下とはいえ、若者の背中は立派に大人の男性のもので、とても広い。だが、フィオナーゼは笑顔で遠慮した。
「ありがとうございます。ですが、私のことはお構いなく。野ウサギを捕まえるのではなかったのですか?」
 そう指摘すると、彼はなんだか恥ずかしそうにうつむき、頭を左右に振った。
「あれは見なかったことに! 街道を進んでいたらたまたま野ウサギが目に入っただけで、別に捕まえてどうこうするつもりでは……ちょっと気になっただけで」
 品のいい紳士を装っているものの、その内面はまだ少年ぽいところが多分に残っているようだ。フィオナーゼはくすくす笑った。
「大丈夫ですよ、誰にも言いませんから。野ウサギ、かわいいですよね」
「もうその話はやめましょう。さあ、早く背中に」
「ひとりで歩いて帰れますから、どうぞお先に」
「こんな場所に怪我をした女性を放って行けません。本当にそろそろ日が暮れてしまいますよ。ああ、僕を怪しんでいるのですね。僕はクーデバルト・ルア・シード子爵。決して怪しい者ではありません」
 彼女に向き直って、丁寧に自己紹介をする若者はとても好印象だ。
「怪しんでいるだなんて、そんなことはありません。ご丁寧にありがとうございます、シード子爵。私はフィオナーゼ・ルア・イクシアスといいます」
「……イクシアス?」
「はい、私の父がイクシアスの町長を務めています」
「イクシアス男爵のご令嬢でしたか。これは大変失礼いたしました」
 弾かれたように頭を下げるクーデバルトに、フィオナーゼは小首を傾げた。
「なにも失礼などされていませんよ?」
 どちらかといえば失礼なのは彼女のほうである。
「それならば話が早い。僕は明日開催される、イクシアス男爵家の出産祝いのパーティに呼ばれているので、こうしてやって来たのです」
「ああ、招待客の方だったのですね。私の甥のためにわざわざご足労いただきまして」
 しゃがんだままスカートをつまんで会釈すると、彼も膝をついたまま頭を下げた。
「では、あなたはルイナの義妹にあたる方ですか? 僕とルイナは幼い頃からの友人です」
「ルイナさんのご友人! はい、ルイナさんは兄の奥さんです。生まれたばかりの赤ちゃん、とってもかわいいですよ」
「そうでしたか。ではますます、あなたをこんなところに置いていくわけにはいきません」
「でも……」
「日が出ているうちに町に戻りましょう」
 なおもためらうと、彼は立ち上がるなりフィオナーゼの身体を抱き上げた。
「あなたを置き去りにしていったら、僕がルイナに責められます。今日、どんな発見があるのかは知りませんが、僕と出会ったという発見で満足してくださいませんか」
 そう言われ、フィオナーゼは意表をつかれて真顔になり、次の瞬間には破顔一笑した。すると、クーデバルトがどことなくまぶしそうに目を細める。
「そうですね。義姉のご友人と偶然出会うなんて、これはすごい発見です」
「納得していただけてよかった。馬ならすぐですから」
 こうしてフィオナーゼはクーデバルトの馬に同乗させてもらい、イクシアスの自邸まで帰り着いた。すると、さっきまでよく晴れていたのに、雨がぱらつきはじめる。
「雨が降るなんて思いませんでした。送っていただけてよかったです、シード子爵。本当にありがとうございました」
 自邸の門までやってくると、馬から降りたフィオナーゼは深々と彼に頭を下げた。
「いえ、これも何かのご縁でしょうから。では、また明日お会いしましょう」
 クーデバルトが手綱を引いて町に向かおうとするので、フィオナーゼは首を傾げた。
「あら、泊まって行かれないのですか?」
「明日の到着予定だったので、今夜は宿泊のお約束をしていないのです」
「客室なら空いてますよ。今日、到着するお客さまもいますもの」
「突然の訪問ではご迷惑がかかりますし、もともと町の宿をとるつもりでしたから。お気遣い感謝いたします、フィオナーゼ嬢。それでは」
 生真面目にそう言って馬に飛び乗ると、クーデバルトは颯爽と馬首を巡らせて町の中へと向かった。
「変わった方。本当に彼が新しい発見だったのかも」
 フィオナーゼはくすくす笑いながら、雨から逃れるために邸まで歩いた。
 膝は痛んだが、クーデバルトのハンカチが傷口をふさいでくれているので、歩くことに不都合はなかった。

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