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騎士皇子の蜜と罰

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書籍紹介

身分など関係ない――
愛しているんだ。そばにいて欲しい

美形だけれど影のある皇子ヘンドリック。山奥の村で育った純朴なシーラは最初、彼のそっけない態度に戸惑うものの、隠された優しさを知るほどに惹かれてゆく。シーラの一途な想いはやがて彼の頑なな心まで蕩かせて。「お前が私を――救ってくれたんだ」息も出来ないほど濃厚な口づけ、甘く執拗な愛撫。求められる喜びと与えられる快感に、無垢な乙女の身体は淫らに拓かれて――!

ジャンル:
西洋 | ファンタジー
キャラ属性:
王子・王族・貴族
シチュエーション:
玉の輿・身分差 | 甘々・溺愛
登場人物紹介

ヘンドリック

ジルニトラ帝国皇子。優秀だった兄を戦争で亡くし皇太子となったが、自分は皇帝の器ではないと悩んでいる。

シーラ

山奥の村で生き残りの竜を守って生きてきた少女。竜を救うため、皇族に助けを求め帝都にやってくるが……。

立ち読み

 山頂の岩窟は、闇夜に支配されていた。
 刺すような冷気に身震いしながら、少女は暗い坑を進んでいく。奥から響く、唸るような呼吸の音が、次第に大きくなってきた。
 昨日より、ずっと苦しそう。
 きっともう、長くないんだわ──。
 手にした短剣をきつく胸に抱いて、シーラは唇を噛んだ。
 岩壁に囲まれた広間に辿り着くと、中央に巨大な竜が横たわっていた。白い鱗に覆われた巨躯は、喘鳴とともに力なく上下している。
 大丈夫、まだ生きてる──。
 シーラはほっと息を吐いて竜に駆け寄り、自分の背丈よりも太い首にしがみついた。
「アレヴァト──大丈夫? どこか苦しいの?」
 硬く冷えた鱗はひび割れて艶を失い、内側の皮膚は血を失ったように白く弛んでいる。
 労るように首を撫でて呼吸に耳を澄ませると、竜は瞼を閉じたまま少女に応えた。
『シーラ、お前こそ、ずいぶんと身体が軽くなったようだ。やはり作物が取れないのか』
 相変わらず苦しげな呼吸が続いているが、頭の中に響いてくる声は明瞭だ。
「そんなことないわ、私は平気よ」 
『おそらく下界では、不作が徐々に広がり、人々を苦しめているだろう。すべては、私の力が衰えているせいだ』
「大丈夫……あなたはそんな心配しないで。ゆっくり休んで……」
 決意するように一歩下がり、竜の干からびたような瞼の皺を見つめる。
「アレヴァト、聞いて──私、やっと決めたの。今日山を降りて、都へ行くわ」
 シーラは毅然と言い切った。けれど短剣を抱いた手はかすかに震えている。その剣はいざという時、竜を助けるための鍵として、シーラの村で受け継がれてきたものだった。これを帝都の皇族に見せれば、必ず力を貸してもらえると言い伝えられている。
 アレヴァトは静かに片目を開いた。すべての物質を飲み込むような、漆黒の眼がまっすぐにシーラを捉える。けれどそれは、とうに視力を失っていた。その上、もう一方の閉じたままの眼は、大昔に人から受けた傷が塞がらず、血が滴り続けている。
『やめなさい。お前は村の外のことを何も知らないだろう。たった一人で俗世に下り、人と交渉するなど、危険すぎる』
 反対を覚悟していたシーラは、間髪容れず首を横に振った。腰の下まで伸びた長い銀髪が、さらさらと乾いた音を立てる。
「あなたを守り続けることが、村のみんなの望みだったの。みんながしたはずのことを、私がするだけよ」
 アレヴァトは、人目を忍んで生き残った最後の竜だった。そしてシーラの一族は長年山里に隠れ住み、アレヴァトを守り続けることを使命としてきたのだ。けれど仲間たちは数年前、村に蔓延した病でみな死んでしまった。
 竜は、意に満たない様子で深く息を吐き出した。
『人々が竜の絶滅を信じて、もう二千年にもなる。誰もお前の言葉に耳を貸さないだろう。下界の人間は自分たちのことしか考えていない。それに私は、もう寿命だ。自然に命を委ねたい』
「それでも──もう決めたの。皇族の人は、竜の血を引いているんでしょう? 村の言い伝えの通りなら、きっと力になってくれるはずだから」
 シーラはそう言って、最後にもう一度竜に抱きついた。
 アレヴァトがこんなに弱ってしまう前に、決断するべきだったのに──。
 そう悔いながらも、まだ内心は、知らない世界に出ていくのが怖くてたまらない。
 年老いた竜は、もはや彼女の決意は覆せないと悟りつつ、最後にもう一度説得を試みようとした。けれど彼女は最後まで話を聞かず、首を横に振った。
「アレヴァトの気持ちは、とっても嬉しいわ。でも行かなかったら、絶対に後悔するから」
『……そうか』
 竜は諦めて瞼を閉じた。そうして静かに横たわっていると、老い乾いた巨体はまるで屍のようだった。
『では私はここで、お前の無事を祈ることにしよう』
「私、絶対に皇家の人を連れてくるわ。そうしたら……」
 シーラは竜の瞼にそっと口付けた。
 息を止めて、虚空を見つめる。
「……そうしたら……やっと父さまや、母さまに……」
 みんなで幸せに暮らしていた過去を、仲間の、両親の顔を思い出す。
 彼らの遺志だけが、シーラに生きる理由を与えてくれる。
 孤独に蝕まれた少女の顔に、常夜の影が差していた。

 

 

 

 父さま……母さま……。
 両親を呼ぶ自分の囁きで、意識が浮上した。 
 目覚めた先もまた別の夢のような気がして、しばらくそのまま、意識と無意識の間をさまよった。
 横たわっているのは、冷たく汚れた石床の上だ。そのせいで全身が痛みはじめていることに気付いて、シーラはゆっくりと強張った身体を起こし、鉄格子越しに、通路の篝火を見上げた。
 アレヴァトと別れたのが、つい今しがたのことのように思われる。乾いた鱗の質感が、手のひらや唇に残っているような気さえした。
 帝都の中心に位置する城の地下──薄暗い監獄には時間のわかるものが欠けていて、五感と思考が日に日に麻痺していく。
 変化といえば、時々水のようなスープと硬いパンが運ばれることと、新たな囚人が連行されて目の前を横切って行く時だけで、解放された人間はまだ一度も見たことがない。その上、遠くの房からは、地の底へ引きずり込むような呻き声が聞こえてくる。
 シーラは両膝を抱え、何百回と考えたことを、また考えた。
 やっと都まで辿り着いたのに、ここに閉じ込められて、何日経ったのかしら……。
 皇族の人にさえ会えれば、すぐに事情をわかって、助けてくれるに違いないのに……。
 炎に照らされた幼い横顔には、色濃い疲弊が刻まれている。
 溜息を吐いた時、向かいの房から啜り泣きが聞こえてきた。
 薄暗い檻の中で、少年が小さく体を丸めている。シーラの少し後に連れてこられたその少年はまだ八歳で、時々恐怖を忘れるために、自分の話をしてくれた。彼はたった一人で病気の母親を支えていたが、貧困に付け込んだ大人に唆され、いつの間にか詐欺の片棒を担がされて捕まったらしい。
「お母さん……」
 少年の涙混じりの呟きに、シーラの胸がぐっと痛んだ。
「……大丈夫よ、きっと会えるわ」
 励ました声は乾いてひび割れていたが、それでも彼女は、
「歌を歌ってあげる……」
 と言って、子供の頃大好きだった歌を口遊んだ。幼い頃、母親が子守唄としてよく歌ってくれた歌だ。彼女は一人きりになってから、寂しい時はいつもこの曲を口遊んでいた。そうすると、たちまち死んだ父と母、それに村のみんなの記憶が蘇って、辛い現実からほんのひととき解放されるのだ。
 耳を傾けてくれているのだろうか。少しずつ少年の泣き声が静まりはじめる。穏やかな気持ちが続くように、シーラは歌い続けた。
 喉の渇きに咳き込んだ時、石造りの牢に、硬い靴音が響き渡った。いつも食事を運んでくる看守のものとは明らかに異なる響きだ。
「……僕、殺されるの?」
 少年の囁きは震えていた。シーラはこれ以上少年を不安にさせないように、同時に自分にも言い聞かせるように、精一杯穏やかに答えた。
「そんなことない、事情を話せばわかってくれるわ。この国の皇帝陛下は、きっと優しい人で……」
「おい、何をこそこそ話している」
 低い声とともに二人の男が現れ、シーラの牢の前で立ち止まった。
 シーラの白い肌を蝕むように、篝火を背にした男の影が落ちてくる。恐怖で震えそうな身体をきつく抱き、鉄格子ごしに見上げた。
 目の前に立ちはだかった男の顔は冷淡で、体温すら欠如しているようだった。纏う外套と、無造作に耳元まで落ちた髪は影より暗く、光すら砕きそうな黒曜石の瞳が無感情にシーラを見下ろしている。
 底の見えない瞳に、けれど不思議な懐かしさを覚えて、シーラは数秒、恐怖を忘れて魅入られてしまった。
「……女? それも子供じゃないか。聞いていた話と違うが」
 男は切れ長の目をさらに細めた。
「いえ、たしかにこの牢です。今後報告に注意を払うよう、部下に徹底させます」
 騎士らしき格好をし、黒衣の男に付き従っていた長身の男が淀みなく答えた。その表情は、貼り付けたように変化がない。
 たしかにシーラは痩せぎすで背も低く、大きな瞳をしている。村では自給自足で満足な食事ができることの方が少なかったし、地下に幽閉されてからはさらに身体が軽くなった。それでももう十七歳で、立派な大人だ。
「名前は何という」
「わ……私は、シーラ……」
「皇族に会わせろと騒ぎ立て、城内に侵入を図ったと聞いたが、本当か?」
「あ……私、助けてほしくて、お願いしにきただけなの。でも、誰も聞いてくれなくて、中にも入っちゃ駄目って。それで……」
「助けを求めるなら、武器など必要ないだろう。本当の目的を言え」
「武器……?」
 黒衣の男は長剣を吊った腰の後ろに手をやると、一振りの短剣を取り出した。鈍い銀色の柄には、竜の尾を模った装飾が施されている。シーラは目を見開き、鉄格子に縋り付いた。
「あ──お願い、それを返して……! 大事なものなの!」
 格子の間から手を伸ばした時、騎士が音も立てずに抜刀し、切っ先を顔に突きつけてきた。
「っ……!」
「それ以上ヘンドリック様に近づくな」
「やめておけエーギル、こんな子供に何ができる」
「いいえ。本来ならとうに処刑されているはずの重罪人です。身元も知れませんし、間諜の可能性も──」
 生真面目な家臣に、黒衣の──ヘンドリックと呼ばれた男は肩を竦め、短剣をシーラの前にかざした。
「よく見ろ。これをどこで手に入れた? 城から盗んだのか?」
 冷えた刃を頬に感じながら、シーラは震える声で答えた。
「盗むなんて……それは村の……みんなで守ってきた、大切なものよ」
「いや違う。これは我が皇家に伝わる宝刀と同じものだ」
 シーラは、食い入るように男の黒い瞳を見上げた。
 我が皇家──?
 じゃあこの人が、人里に下った竜の末裔なの──?
 全身から力が抜けて、石畳の上に座り込んだ。彼はシーラの思い描いていた、村の長老のような慈悲深い人物とは、まるで反対だ。
「あなたは……この国を建てた、皇家の人?」
「おい、質問に答えろ。どこでこれを手に入れた?」
「それは……だから……長老様の家に……」
 威圧的な尋問に、シーラはしどろもどろになった。
 外の世界は美しく、仲間たちと同様に優しい人ばかりだと信じてきたシーラは、こんな恐ろしい思いをするなんて想像もしていなかったし、外界の人間に何をどう説明すればいいのかもわからない。都に辿り着き、皇族の人とさえ会えれば──短剣を見てもらえれば、すぐにでも助けてもらえると信じていたのだ。
 絶望的な現実に、シーラは呆然と冷たい目をした男を見上げた。
「長老? 仲間がいるのか」
「……いないわ。もう……残ったのは私だけなの。それで、アレヴァトももうすぐ寿命だって……だから私、一人で……」
 男は短剣を腰のベルトに戻し、腕を組んだ。
「全く要領を得ないな。長老とは誰のことだ。お前はどこから来た」
「長老様は……長老様よ。私の村は、山の中にあって……」
「山などいくらでもあるだろう。どこの山だ。村の名前は」
「あ……村は、ニーブロム……」
 騎士が疑うように首を捻った。
「北の果てにそんな名前の山がありますが、辺境の地です。麓ならともかく、とても人の住めるような場所ではないかと」
「そんな遠くから、一人でどうやってここまできた?」
「自分で織った布を売って……どうやって行けばいいのか尋ね回ってたら、都に行く商人の人たちが、一緒に連れていってくれたの」
「アレヴァトというのは? 村の権力者の名前か?」
 シーラは首を横に振った。
「違うわ。アレヴァトは、竜で──」
 そこで、ぴたりと質問が止まった。
 二人の男が、視線を交わす。騎士の構えた剣が、脅すように首筋へ移動した。
「っ……」
「竜だと? あれは神とともに二千年も昔に滅んだ種族だ。気が触れたふりか? 正直に答えろ」
「ほ、本当よ。大昔、魔法で人間を助けてくれていた神人がいなくなってから……魔法のかわりに、アレヴァトが自分の血で、大地を潤してくれてるの。だから私たちは、山に隠れて、アレヴァトを守ってきたのよ」
「それで? その竜を、一緒に守ってくれとでもいうのか?」
 鼻で笑ったヘンドリックは、全く信じていない様子だ。
「村の言い伝えなの。皇族の血を引く人が、助けになってくれるって……」
 男は嘲笑を消し、真意を見抜こうとするようにシーラを見つめた。
 話を聞いてもらえる最後の機会かもしれない──そう思って、シーラは必死に言葉を探す。
「ここでも、土が涸れ始めてるでしょう? アレヴァトの元気がなくなってるせいなの。もしアレヴァトが死んじゃったら、みんな食べ物に困るわ。だから……」
 二人の男は、再び視線を交わしあった。騎士が剣を下ろし、鞘に納める。シーラは追い縋った。
「お願い、私と一緒に来てほしいの。そうしたらきっと、アレヴァトは元気になって……」
「ヘンドリック様。これ以上は時間の無駄かと。すべてでまかせで、目的は別にあるのかもしれません。拷問にかけて吐かせましょう」
 拷問──?
 恐ろしい言葉に、シーラは思わず床の上を後ずさった。暗い眼光が、推し量るようにシーラを睨み続けている。
「いや……嘘をついているようには見えん」
 シーラは恐怖に震えながらも、信じてもらいたい一心で男の目を見つめ返した。
 道端の石を見る時でも、こんなに冷たい目はしないわ……。
 悲しいのに、どうしてか魅入られていた。
 新月の夜を固めたような瞳に、心ごと飲み込まれそうになる。
 その理由に気付くと同時に、掠れた声で呟いていた。
「あなたの瞳……アレヴァトにそっくり……」
 無限に広がっているような瞳の漆黒は、竜の眼そのものだった。硬直した心が、アレヴァトと再会できたような錯覚にふと緩む。思わず男の瞳に微笑みかけたが、意味を理解した男は眦を鋭くし、吐き捨てた。
「いずれにせよ、城へ侵入を図った者は、理由の如何を問わず大逆とみなされる。お前はいずれ極刑だ」
「あ……、……そんな……」
 シーラは言葉を失った。会話はそこまでだった。
 踵を返し、遠ざかっていく二人の背中を呆然と見つめていると、再び少年の啜り泣きが耳に届いて我に返る。シーラは慌てて格子を掴み、男の背中に追い縋った。
「ねえ、待って! あの子を出してあげて……病気のお母さんが待ってて、薬が必要なの。大人に騙されただけで、何も知らなかったのよ……!」
 立ち止まり、振り向いたヘンドリックが呆れたように片目を細める。
「お前──立場を理解しているのか? 自分の心配でもしたらどうだ。刑に処される前に、あの子供の分も罰を受けるのであれば話は別だが」
 そう言い残して、今度こそ二人は立ち去った。
 話さえ聞いてもらえればきっと助けてくれる──そう信じる気持ちは完全に打ち砕かれた。
 それどころか、もう生きて山に戻ることもできないのだろう。
 床に崩折れたシーラの脳裏に、アレヴァトとの別れ際──最後に引き止めようとしてくれた時の会話が、まざまざと蘇った。
『シーラ、ジルニトラのことを覚えているか?』
「もう……何度も聞いたわ。大昔、アレヴァトの友達だった竜の話でしょう?」
『そうだ。あれは愛した女性とともに生きるために、竜の肉体を捨て、人の国を建てた。帝都の皇族もその末裔だ。私はお前にも、ジルニトラをそこまで突き動かしたほどの、人を愛する喜びを知って欲しい』
「私、そんなのいらない……みんな苦しみながら死んでいったのに、あなたを見捨てて、自分のことだけ考えるなんて」
『いいや、死んでいった者たちも、朽ちゆく私のための掟より、生き残ったお前の幸せを望むはずだ。危険な旅などせず人里に溶け込み、愛する人と子をなし、人として当たり前の営みを──』
 そうやって幸せを願ってくれたのに、シーラは最後まで聞かなかった。その結果がこれだ。
 自分の愚かさに唇を噛んだ時、少年がいよいよ泣きじゃくりはじめた。その姿に両親を失ったときの自分が重なって、シーラはもう一度歌おうとした。
 けれどすぐに声が掠れて、歌声が途切れていく。
 アレヴァトを助けられるのは、私だけだったのに──。
 こんなことになるなら、ずっと側にいてあげればよかった──。
 残っているのは、病で苦しむ両親に何もしてあげられなかったときと同じ、無力感だけだった。
「……ごめんなさい……」
 シーラは両膝を抱えて顔を埋めた。
 死んだ両親に、仲間たちに、アレヴァトに、何度も謝った。
 そうしながらも、嫌になるくらい身勝手な事を思う。
 痛みや苦しみは怖いけれど、その先に死が待っていると思えば、少しだけ希望が持てる──。
 なぜなら死んだらきっと、ずっと会いたかった父や母に、仲間たちに会えるのだ。
 でも、村の使命を果たせなかった私を、みんな、笑顔で迎えてくれるかしら──。
 いずれにせよ、失って困るものはもう一つもない。
 泣き続ける少年を格子越しに見やって、昔の自分に声をかけるように慰めた。
「大丈夫よ……私が罰を代わってあげる。そうしたらきっと、出してもらえる……お母さんにも会えるわ」
 生きている間に、少しでも誰かの役に立ちたかった。もはやそれだけが救いのように思われた。

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