期間限定マリアージュ!?
契約のはずが最愛夫婦になりました

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- 本販売日:
- 2019/04/17
- 電子書籍販売日:
- 2019/04/17
- ISBN:
- 978-4-8296-6867-2
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きみに永遠の愛を誓うよ
「1年だけ妻になってほしい」眩い金髪の素敵な貴族オリヴィエと結婚したリシェル。夢のように幸せな毎日。理想の男性である彼にどんどん惹かれていく。本当の夫婦になりたいと思うけれど、胸や蜜口を愛撫されるだけで一線は越えてくれない。契約期間の終わりが近付き、不安と恋慕に苦悩していると「一生、僕の隣にいてほしい」激しいくちづけと情熱的な表情の彼に押し倒されて!

オリヴィエ
伯爵家の三男。明るく大らかな性格。望まない縁談を避けるため、結婚に興味がないというリシェルに、期間限定の契約結婚を申し込む。

リシェル
家を出ていった母の代わりに、弟妹の面倒を見てきたと長女気質。両親の離婚を目の当たりにしたせいか、恋愛、結婚に及び腰。
「……泣かないで」
どこかせつなげな、いとおしむような声が、オリヴィエの口からこぼれる。そのままその唇がリシェルの瞼に触れた。壊れ物に触れるように、そっとオリヴィエがリシェルの頬を撫でる。間近からみつめてくる瞳は、今までに見たことがない色をたたえていた。
(……好き)
一度気が付けば、その思いは堰が切れたようにあふれ出してきた。好き──胸が押し潰されてしまいそうな感情は、でも口にすることは出来ない。自分たちは終わりになることを前提にして始まった関係だから。オリヴィエは自分を契約相手としてしか見ていないはずだ。
どうしてこんなつらい恋をしなければならないんだろう。何もない、まっさらな状態で知り合えなかったんだろう──。
「──オリヴィエ」
胸が締め付けられるような思いで絞り出した声。途端にオリヴィエが、リシェルをきつく抱き締めてきた。驚く間もなく、今度は唇に強く唇を重ねられる。
「ん……っ」
突然のことに混乱するリシェルの口の中に、オリヴィエの舌が入り込んでくる。咄嗟に逃げた舌を追いかけ、搦めてくる。そうしているうちにリシェルの体から力が抜けていった。体中が蕩けてしまいそうになる。
どうしてこんなことをと思っても、頭がまるで働かない。ただ自分の身に今起きていることを受け止めるだけで精いっぱいだった。
「……こんなキスは嫌?」
オリヴィエがわずかに唇を離し、問いかけてくる。
「……いいえ」
はしたないだろうかとぼんやり思いながら、リシェルは素直に返事をした。
「──これより先のことをしてもいい?」
リシェルの耳元を撫でながら、オリヴィエが小声で尋ねてきた。もちろん経験はない。それでもその言葉の意味することはわかる。一瞬感じた怖さを、オリヴィエへの愛しさが跳ね飛ばした。
自分の顔が真っ赤に染まっているだろうことを恥じつつ、リシェルはちいさく頷いた。オリヴィエがいとおしむようにリシェルを抱き締め、そのままベッドにそっと体を倒した。
自分を組み敷くオリヴィエは、これまで見せたことのない表情をしていた。荒々しいようでいてやわらかくもある、リシェルの心をせつなくさせる面持ち──いつも余裕があるオリヴィエなのに、今はどこか切羽詰まっているようにも思えた。
オリヴィエの唇が、無意識のうちに強張るリシェルの首筋を辿り、鎖骨のくぼみに舌を這わせる。そうしながら寝間着の上から胸に触れ、てのひらでやわらかく揉んだ。
「あ──」
初めてのことに、リシェルが淡い震え声を上げた。心と体の強張りをほぐすような優しい慰撫だったけれど、緊張は解けそうにない。やがて寝間着のボタンを外され、乳房があらわになった。反射的に両腕を交差させて隠したリシェルに、オリヴィエがいとおしむようにささやいてくる。
「直に触らせて……?」
甘い懇願を拒めるわけもなく、リシェルはひとつ息を吐き、そろそろと腕を下ろした。恥ずかしくてオリヴィエを見られず、顔を逸らした。
「──綺麗な体だ」
感嘆の声を漏らし、オリヴィエがそっとリシェルの胸に手を伸ばす。直接触れられて、リシェルが体を震わせた。
「やわらかくてなめらかで──、たまらないな」
次々に出される褒め言葉を否定するだけのゆとりもない。オリヴィエの行為を受け止めるだけで精いっぱいだ。
オリヴィエがてのひらで乳房を揉みしだき、緊張して尖った乳首に舌先を這わせた。
「きゃっ」
思わずちいさな悲鳴を上げてしまったリシェルを、オリヴィエが胸を舌で愛撫したまま上目遣いに見た。てっきりやめてくれるのかと思ったのに、オリヴィエの唇も手も離れない。けれどそんな愛撫を受けているうちに、なぜだか少しずつ体から緊張が解けていく気がした。代わりに生まれてきたのはくすぐったいような心地よさ──恥ずかしいのに気持ちがいい。どういうことなのか自分でもわからなかった。
そんなリシェルの変化を感じ取ったのか、オリヴィエがリシェルのはだけた寝間着に手をかけた。
「──脱がせても?」
低い声で乞うように短く尋ねてくる。少し躊躇して、それでもリシェルは頷いた。それを受けて、オリヴィエがリシェルを寝かせたまま、優しく寝間着を、そして下着を取り去っていく。
異性の前に裸を晒したことなど一度もない。纏うものがない恥ずかしさと心許なさに、思わずリシェルが体を丸めた。
「……よく見せて」
オリヴィエが耳元で甘えるように頼んでくる。顔を赤く染め、リシェルは恥ずかしさでオリヴィエを軽く睨んだ。オリヴィエはそんな抵抗などものともせず、リシェルの体をじっとみつめた。視線に晒されれば晒されるだけ、リシェルの羞恥は増していく。
「あなたの体は本当に芸術的だ。まさに女神だよ」
「……サンドイッチの、ですか」
リシェルの呟きにオリヴィエが弾かれたように笑う。
「それもあるけれど、今は美の女神かな」
そうささやく声はいつもの温かな響きを含んでいて、リシェルの心も落ち着いていく。
「その体を堪能させていただけますか、女神様」
からかうようにオリヴィエが言って、答えを待たずに体に触れた。もう、とリシェルが非難しても笑うだけだ。
まもなくして、オリヴィエのそんな茶化したやり取りがリシェルの緊張をほぐすためのものだったのではないかと、ずいぶん強張りが取れていることを自覚したのと同時に気が付いた。オリヴィエはそんな配慮が出来る人間だ。
オリヴィエの手と唇が、リシェルの体中を確かめるように愛撫した。鎖骨をやわらかく噛み、脇腹を滑り、背骨を這い、腿を辿り、踝を舐める。
そんなことをされながら時折こぼす声が、自分のものではないような気がした。舌先で触れられると、体のどの部分も最初はくすぐったさばかりを感じているのに、少しずつ違う感覚が生まれていく──それが快感というものなのだろうかと気付いたのは、ほぼ全身を慰撫されてからだ。
「本当に素晴らしい……」
仰向けになったリシェルを見下ろし、ひとりごとのようにオリヴィエが呟く。この体のどこがそれほどの称賛を浴びるのかわからなかったものの、褒めてもらえるのは嬉しいし、もしオリヴィエを楽しませることが出来るのならばもっと嬉しい。
「あ……っ」
不意にオリヴィエの指がリシェルの下腹部に伸びた。そこだけが、今までオリヴィエの愛撫が及ばずにいた場所だった。自分でも清めるとき以外に触れることのない箇所に触れられて咄嗟に腿に力を入れると、オリヴィエが困ったように笑った。
「痛いことはしないから。大丈夫」
子供をあやすように言って、耳朶を甘く噛む。その心地よさに蕩かされ、リシェルの体からいつしか力が抜けていく。
「──いい子だ」
頬にくちづけて、指をそっと表面に滑らせる。オリヴィエの指がやけになめらかに動くのは、知らないうちにあふれていた蜜のせいだとかすかな水音でわかって、リシェルの羞恥を煽った。そしてそこを触られて快感を覚えている自分が、この上なく恥ずかしい。
「いや……っ」
両腕で顔を隠したリシェルに、恥ずかしがらないで、とオリヴィエがささやきかけてくる。
「あなたが気持ち良さを覚えてくれている証だ。そうじゃないと僕は男として困る」
「そうなんですか……?」
腕と腕との隙間からオリヴィエを見て呟くと、ああ、と力強く頷かれた。
「だからもっと感じてほしい。快感を覚えるあなたを見せてほしい」
甘い声でささやかれ、リシェルの体の芯がぞくりと震えた。腕を解かれ、代わりにオリヴィエの胸に導かれる。
「僕の心臓も速いだろう? あなたの魅力のせいで」
耳元でそう言うと、長い指をそっと体の中に差し入れてきた。
「あ」
思わずリシェルが声を上げる。違和感はあっても痛みはない。そんなリシェルの反応を窺うように見やっていたオリヴィエが、ゆっくりと指を動かした。
「……あ──」
オリヴィエの指の動きに合わせて濡れた音が響く。指を欲しがって自分の中がうごめいているように思えた。蜜が滴り、尻まで濡らす。その淫猥さにどうしようもないほどの恥ずかしさを覚えたものの、オリヴィエはその淫らさを責めないばかりか、むしろ嬉しがっているようだった。それからゆっくりと体を動かし、リシェルの下腹部に顔を埋め、濡れたそこを舌先で舐めた。

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