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ティアラ文庫溺愛アンソロジー⑤ 花嫁衣装は乱されて

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書籍紹介

愛する人と結ばれて――最高にみだらで甘い夜

「朝まで君と繋がっていたいんだ」
「今日は特別だ」
「もう二度と、誰にも渡さない」
一番大切な人と、最高にいやらしくて甘い一日に!
人気作家が織りなす、とびきりエロスなアンソロジー!

『花嫁の大いなる誤算~エッチは一晩待ってください~』月神サキ
『あなたに捧げるウェディングドレス』柚原テイル
『白無垢は初恋の君と』蒼磨 奏
『黒き怪盗は氷の花嫁を鮮やかに奪う』宮小路やえ
『淫靡なる婚姻~竜の王は騎士王女を一途に貪る~』花菱ななみ

登場人物紹介

ラーマ

"しっかりした真面目な王子様。情熱的。性豪。シータのことが好きすぎてたまに暴走してしまうが、 基本的には優しくマメな性格。"

ローベル

ザルクソン伯爵。庶子のため商家で働いていた。その際にテレセと出会い、仲良くなる。

北大路時雨(きたおおじ しぐれ)

貿易商の北大路家の跡取り息子。幼なじみの香子は親同士が決めた幼い頃からの婚約者。硬派。

レイノルド

有名な交易商「クロフォード商会」の若き会長で、世の中を騒がせている怪盗(義賊)。幼なじみのシンシアとは相思相愛。

ユーゴ

ベルフォート王国の国王だが、実は封印されていた竜の化身。クロエと結ばれるために策を巡らせる。

立ち読み

 大聖堂の控え室。
 花嫁としての準備を整え、私は一人、椅子に座って迎えが来るのを待っていた。
 真っ白いウェディングドレスはこの日のために一年も前から準備された衣装で、マーメイドラインのとても美しいものだ。繊細なレースがふんだんに使われており、刺繍も見事の一言。細身のドレスなので身体の線がはっきりと出るのが恥ずかしいが、皆、褒めてくれたし、私もとても気に入っている。
 いつもは緩く巻いているだけの髪は今日は高く結い上げられ、ティアラとヴェール、そしてロング手袋を嵌め、その時を待っている私は、誰が見ても幸福な花嫁だろう。
 そしてそれは間違っていない。
 今日、私は幼馴染みで恋人でもある隣国の王子へと嫁ぐのだから。

◇◇◇

 初めて彼と会ったのは、私が五歳の時だった。
 友好関係にある隣国、キルケスの国王が、息子を連れて我が国トランを訪ねてきたのだ。
 少し肌の色が濃い、彫りの深い顔。目鼻立ちがはっきりとした彼は、十歳ながらにしてかなりの美少年だった。
「初めまして。ラーマと言います」
「……初めまして。トランの第一王女、シータです」
 子供同士、話が合うだろうということで引き合わされた席で、ビクビクしながらも挨拶をする。
 初めて見た、同じ王族の男の子に、私はどう接すれば良いのか分からず、ただ、戸惑っていた。
 だって、五歳年上の彼は、私には信じられないほど大人に見えたのだ。
 言葉遣いもしっかりしていたし、立ち居振る舞いも完璧なように思えた。
 着ている服装も決まっていて、ようやく淑女教育を始めたばかりの私が太刀打ちできるような存在ではなかった。
 ──どうしよう。変な失敗、しないかしら。
 私が原因で、隣国との関係が悪くなったら……。
 今にして思えば、そんなことあるわけがないと分かるのだが、あの時の私は真剣だった。
 自分が変なミスをすることで、父や母、国民に迷惑をかけるのではないかと、美貌の少年を前に、完全に腰が退けていた。
 だけどそんな心配は不要で、すぐに私たちは仲良くなった。
 緊張する私に、ラーマは優しく接してくれた。
 仲良くしようと手を差し出して、どうすればいいのか分からない私に、王宮を案内して欲しいと言ってくれた。
 案内をしている最中もラーマはずっと優しかった。
 私の話を笑顔で聞いてくれた。大人たちとは違い、つまらなそうな顔なんてしなかった。
 時折相槌を打ったり、質問したりして、きちんと私と向き合い、話をしてくれたのだ。
 そんなことをされれば、私が彼に懐くのは当たり前で、夕方になり、彼が帰らなければならないと知った時には、人目も憚らず、大泣きしてしまったくらいだった。
 嫌だ嫌だと駄々を捏ねる私をラーマは優しく諭した。
「大丈夫。隣の国にいるんだ。会おうと思えばすぐに会えるさ」
「本当? 私のこと、忘れない?」
「もちろん。もしシータが不安だと言うのなら、そうだな……うん、お互い手紙を書くというのはどうだろう。そうすれば、忘れることはないんじゃないか?」
「……うん」
 頷きはしたものの、子供心にも分かっていた。
 これは、私を泣き止ませるために彼が言った、その場限りの慰めの言葉なのだと。
 おそらく私と彼はもう、会うことはないのだろう。
 大人になれば、別の形で再会というのはあるかもしれないが、少なくとも数年は会えない。私たちはここで別れる。この縁はこれで終わりだ。
 そう覚悟していたというのに、それは現実にはならなかった。
 ラーマは約束したとおり、私に手紙をくれた。
 それどころかその中身は、いつも便箋五枚以上にわたっており、とてもではないけれど、手空きの時間に適当に書いたようなものとは思えない。もちろん、代筆でもない。正真正銘、本人が書いた手紙だった。
 私は彼の誠意に喜び、同じく便箋五枚以上の返信を毎回行った。
 手紙の頻度はひと月に一回。いつか終わると思われた文通は、驚くことにそれから先、十年以上も続いた。
 その間、私とラーマは一度も会うことがなかった。
 私たちは、手紙のやり取りだけで十年以上、その絆を繋ぎ続けたのだ。
 そんな彼と再会したのは、初めて彼と会ってから十二年が経った、十七歳の時。
 彼の国、キルケス王国で行われた、国王の在位二十五周年を祝う会に私は両親と一緒に出席することになった。
 もちろん、私は手紙でそのことを彼に報告した。
 十二年ぶりに彼と会えることを喜び、ずいぶんと変わっているから会っても分からないかも、なんて書いて彼に送った。その返事には『君なら、どんなに変わっていても一目で見分ける自信がある。会える日が楽しみだ』と書かれており、喜んだ私は、幼馴染みであり友人である文通相手と十二年ぶりに会える日を、指折り数えて待った。
 そして当日。
 十二年が経ち、二十二歳となった彼は、すっかり大人になっていた。
 驚くほど背が伸びている。印象的だった彫りの深い顔立ちはそのままで、彼を実際より少し年上に見せていた。肌は記憶にあるとおり、日に焼けたような色で、健康的で美しかった。黒髪は艶があって、彼の魅力を引き立たせており、同じく黒い瞳はエキゾチックな雰囲気でドキドキした。
 ──私の幼馴染みは、こんなに素敵な人だったかしら。
 冗談抜きで吃驚した。
 だけど、私の中の彼は十歳のままで時を止めていたのだ。いきなり十二年経った姿を見せられて動揺するのも仕方なかった。
「ああ、シータ。綺麗になったな! もう、すっかり大人だ」
 驚く私とは違い、ラーマは一切動じず、私に笑顔を見せてきた。
 そうして久々に再会できたことを喜び、皆が見ている中、躊躇せず私の手を握ると、肩を抱いた。
「ラ、ラーマ?」
「私たちは幼馴染みだ。これくらい構わないだろう?」
「そ、それはそう……だけど」
 それにしても距離が近すぎやしないだろうか。
 吃驚する私をラーマは中庭へと連れ出した。
 二人きりになったところで、私と向き合い、また手を握ってくる。
「……あの?」
 嫌ではないが、いくら友人でも、子供ではないのだ。異性にしていいことではない。
「ラーマ。駄目よ。私たちは友人同士。あなたにもそろそろ婚約者ができるだろうし、こんなこと、してはいけないわ」
 心からの忠告だったのだが、ラーマが手を放すことはなかった。むしろより強く力を入れてくる。
「ラーマ?」
「君と再会できたら言おうとずっと思っていた。私と、結婚してくれ」
「え?」
 真剣な顔で告げられ、彼を凝視してしまう。
 ──結婚? 私とラーマが?
 全く考えたことのなかった話に驚く私を、彼は愛おしげに見つめてきた。
「父と母にはずいぶんと前に私の気持ちを伝えてある。シータと結婚したいと。二人とも、私たちがずっと手紙のやり取りをしていることは知っているし、なんと言っても君は隣国の王女だ。身分も問題ないから構わないと言ってくれた」
「……」
 言葉も出ない私に、ラーマは更に言う。
「今日の席に、君も来てもらったのは、その……あとで私たちの婚約を発表するためなんだ。もちろん、君のご両親も知ってるし、了承だってもらってる。君が知らなかったのは、私の我が儘だ。君に、直接プロポーズしたくて……」
「お父様もお母様も、ご存じなの?」
「ああ。私となら幸せになれるだろうと、二つ返事で了承して下さったよ」
 知らなかったのは自分だけと分かり、驚愕した。
「……今日の席は、私たちの婚約発表?」
「君さえ、ここで『うん』と頷いてくれれば。駄目、だろうか?」
「……」
 心配そうに私を見つめるラーマ。
 だけど、その手は握ったままだったし、表情のあちこちに自信のようなものが見え隠れしているのは見逃さなかった。
 ラーマは私が断るとは思っていないのだ。
 私が彼の求婚を受け入れ、結婚に同意すると確信している。
 じっとラーマの目を覗き込んだ。真っ黒な瞳は、ゾクゾクするほどに美しく、妖しげな色香を放っている。その目が私だけを見つめ、君が欲しいのだと訴えていた。
 ラーマが我慢できないとばかりに私を急かす。
「シータ。返事が欲しい」
 そんな彼に、私は自分でも意外なくらい冷静な声で言った。
「十二年ぶりに会っていきなり求婚されて、私が頷くと思ったの? 単なる再会だと思っていたからとても驚いたのよ」
「それは、悪かったと思ってる。だけど、私たちにお互いを知る時間は必要ないだろう? この十二年、毎月手紙のやり取りをしていたんだ。相手がどんな人間かなんて、よく分かってる。……そして、何故、文通が今までずっと続いていたのかだって、私たちはもうとっくに理解しているはずだ」
「それは……」
 彼の言うとおりだ。
 十二年間、私たちは文通を続けた。その間、一度も止めることなしに。
 それはどうしてだったのかなんて、言われなくても分かっている。
 私は、ラーマが好きなのだ。彼が好きだから、文通を止めたくなかった。手紙のやり取りだけでも繋がりを維持していたかった。
 そんなこと、文通を始めた当初から、分かっていた。
 でなければ、一回会っただけの少年と、十二年も文通が続くはずがない。
 そしてそれは私だけではなく相手も同じだったということだ。
「ラーマ。あなた私のこと、好きだったの?」
 尋ねると、真顔で肯定が返ってきた。
「ああ。最初に会った、あの日からずっと。私は君のことが好きだし、今は君を愛してる。君を繋ぎ止めたかったから、君との繋がりを絶ちたくなかったから、私は手紙を書き続けたんだ」
 その言葉に、抑えていた喜びが爆発した。
「私と一緒ね。……嬉しい!」
 見栄を張るのはここまでだ。だってもう、我慢できない。
 歓喜が身体中を駆け巡り、堪らなくなった私はラーマの手を振りほどき、代わりに彼の首元に抱きついた。
「わっ……!」
 ラーマは慌てて私を受け止めた。彼に抱きついた私は、その香りをたっぷりと吸い込む。
「私も、ずっとあなたのことが好きだったの。だからすごく嬉しい」
「シータ、本当に?」
「ええ! ラーマ、私をあなたのお嫁さんにしてくれる?」
 頬を染めながら、彼に尋ねる。ラーマは満面の笑みを浮かべて頷いてくれた。
「もちろん。もちろんだ。君も私のことを愛してくれるんだな?」
「そうでなければ、手紙なんてとっくに書くのを止めてしまったわ。それはあなたも一緒でしょう?」
「ああ、そうだな」
 王族は決して暇ではない。
 毎回便箋五枚以上の手紙を直筆で返すというのは、少なからぬ労力がいるのだ。それが苦にならなかった時点で、私がどれだけ彼のことが好きだったか、彼がどれほど私を思ってくれていたか分かろうもの。
「手紙であなたという人を知って、私はよりあなたのことが好きになったの。だから、とても嬉しい」
 顔を見ないやり取りだけでも、十分に恋心を育てることはできた。手紙の行間から、彼の思いを受け取り、私は何度もラーマに恋をした。
「私も一緒だ。君とやり取りするたびに、更に君に恋をした。私は最初から君しか相手に考えていない。結婚しよう、シータ。皆、私たちのことを祝福してくれる」
「ええ」
 頷くと、ラーマの顔が近づいてきた。それに気づき、目を瞑る。
 温かな感触が唇に触れた。愛しい熱に、心が震える。
 初めてのキスに心がフワフワとした気持ちになった。
「君を、大切にする。君だけを愛すると誓う」
「ええ、私も」
 唇が離れ、紡がれた言葉に返事をする。
 大好きな人と結婚することができる。
 自分に訪れた幸福に、私は眩暈がしそうなほどの感動を覚えていた。

◇◇◇

 結婚を誓った私たちは、そのあと会場に戻り、婚約発表を行った。
 挙式は私が成人する十八歳、つまりは一年後と決められ、私はその準備のため、今までが嘘のように何度も隣国に足を運ぶことになった。
 それはラーマも同じで、彼は結納などで私の国を訪れ、会う機会は飛躍的に増えた。
 手紙のやり取りも継続していた。
 せっかくここまで続いたのだ。結婚するまで続けようと二人で決め、相変わらずひと月に一度、文通をしているが、その内容は驚くほど甘くなった。
 互いに思いを交わし、恋人になった。更には婚約して挙式も控えている。私も甘くなったなとは思うが、ラーマはその比ではなかった。
 会った時も、『好きだ』とか『愛してる』とか頻繁に囁くことが多くなった彼だが、手紙でもそれは顕著に現れていた。いや、手紙の方があからさまかもしれない。
 愛の言葉もあるが、やたらと、初夜を匂わせるようなことを書いてくるようになったのだ。
『早く、君と結婚したい。君と同じベッドに潜り、君と共に甘く幸せな夜を過ごしたい』
 ……うん。大概露骨だが、これくらいなら、まだマシな方だ。
 中にはこんなのもあった。
『君の中に子種を注いで、早く孕ませたい。君との子供が一日も早くできるよう願っている』
『君に触れたくて、毎晩苦しくて堪らない。早く結婚したい。君と一日中、寝室に籠もっていたい』
 もちろん、手紙の内容はこれだけではない。
 今まで通りの、『今日こんなことがあった』とか、『次に会えるのはいつだろうか』とか、そういうことも書いてある。
 彼の気遣いや愛情に満ちた手紙は相変わらず私に喜びと幸福を与えてくれたが、それに追加された『孕ませたい』やら『寝室に籠もっていたい』やらは正直言って要らないと思うのだ。
 本人曰く、本当はずっと言いたかったけど、直接会って告白するまではと思い耐えていた……らしいのだが、結婚が決まったからといって、ちょっと本心を晒しすぎではないだろうか。
 私だって、王族として育てられてきた。嫁ぎ先で求められているのが、世継ぎを産むことであることも理解しているし、そのためにどういった行為をするのかだって履修済みだ。
 それは、想像するだに恥ずかしくて、ちょっぴり怖いなと尻込みもするけれど、相手がラーマなら頑張れると思っている。女として、彼の子を産みたいという気持ちもあるし、だから、嫌だというわけではない。
 ないのだけれど。
 ──でも、だからって……。
 今日、ラーマに会った時のことを思い出す。
 挙式の打ち合わせに来たラーマは、私を見つけると、嬉しそうな顔で側にやってきて言ったのだ。
「シータ、会えて嬉しい! 今日も君は可愛らしくて、今すぐベッドに連れ込みたいくらいだ。初夜まで我慢しなければならないのが本当に辛い」
「え……ええ?」
 本気で辛そうな顔をするラーマに、彼ってこんな人だったかしらと真面目に思ってしまった。
「ラ、ラーマ……あ、あまりそういうことはその……恥ずかしいから言わないで欲しいの」
 嫌ではないが、あまりグイグイ来られると正直困る。
 彼が私と結婚するのを楽しみにしてくれているのはよく分かるし、私も心待ちにしているけれど、ここまで明け透けに初夜のことを話題に出されると、逆に不安になってくる。
 ──な、なんかすごく楽しみにされてるけど、大丈夫、よね?
 私には教師が教えてくれた基礎知識ていどしかない。過度に期待されても応えられるとは到底思えない。
 びくつく私に、ラーマが笑顔で言う。
「恥ずかしい? どうしてだ? 君と私は恋人で、もうすぐ式を挙げる婚約者だろう? 私は本当に嬉しいんだ。君を妻として迎えられることが。何せ、幼い頃からずっと願っていたから。それが叶って幸せなんだ」
「それは私もよ」
 ラーマの嘘のない気持ちが嬉しかった。彼は本当に昔から私を好いてくれているのだ。
 彼も私と同じ感情を抱いてくれていたと分かるたびに私はとても幸せな気持ちになれる。
「私だってずっとあなたが好きだった。こうしてあなたと結婚できることになって、私がどんなに嬉しいと思っているか、きっとあなたは分からないわ」
「分かるさ。だって私たちは同じ気持ちを抱いているのだから」
「ラーマ……」
 抱き締められ、うっとりとした。
 恋人同士だからこそ許される甘い触れ合いが幸福で堪らない。ラーマが自然な動きで唇を寄せてくる。それに応え、目を瞑ると、優しい口づけが落ちてきた。
 とても、幸せだ。
 気持ちが満たされ、身体中から力が抜ける。
 彼に酔わされ、陶然とする私に、ラーマが耳元で言う。
「ああ……やっぱりキスだけでは全然足りない。君を一日も早く、全部私のものにしたい。朝まで君と繋がっていたいんだ。愛してる」
「……え」
「初夜では、何回くらいできるだろうか。ずっと我慢してきたから、少し無理をさせてしまうかもしれないけど、初夜ということで許して欲しい。もちろん次の日の朝は、私が君を世話するから」
「は?」
 ふんわりと幸せを享受していた私だったが、今の彼の言葉で一瞬にして現実に立ち戻った。
 ──朝まで繋がっていたいって何!? 無理をさせてしまうって何?
 頬が引き攣った。
 まさかとは思うが、ラーマは初めての私に、朝まで行為を強要するつもりなのだろうか。
 それも、何度も。
 ──えっ、そんなわけないわよね?
 うん、あるはずがない。
 家庭教師からの知識では、初めての時は、かなりその……恥ずかしい場所が痛むらしい。
 だから当然私は、一回で終わるものと思っていたし、時間もそんなに掛けないだろうと勝手に考えていたのだ。
 だってラーマは優しい人だ。きっと私を思い遣って自分を抑えてくれるに違いない。義務としての一回を頑張れば、初夜はそれで終わりなのだと信じ込んでいた……のだが。
 チラリとラーマを見る。
「ん? どうした?」
「う、ううん。何でもない……」
 見なければ良かったと後悔した。
 すごく、すごく、楽しそうだった。
 満面の笑みを向けられた私は、何も言えず、そっと視線を彼から逸らした。
 ──どうしよう。
 自分が青ざめたのが鏡を見なくても分かった。
 ──無理よ、無理だわ。
 一回だけでも恥ずかしいのに、それが初日から何回もとか。
 痛みもあるらしいし、普通に考えて無理である。
 とはいえ、私との結婚を(初夜を?)心待ちにしてくれている彼に、「ちょっと、それは無理かも」とは言いづらいし、私だって言いたくない。
 彼との結婚は私だって楽しみにしているのだから。
 結局私は、ラーマに何も言えず、黙り込むしかなかった。

(『花嫁の大いなる誤算~エッチは一晩待ってください~』月神サキより)

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