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押しかけ妻ですが、きまじめ公爵さまに溺愛されました

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書籍紹介

俺の運命の相手だと確信している!

王命で辺境の地へと飛ばされた公爵・ラインハルトを追いかけたエリアナ。初恋の人の力になりたい……。受け入れてくれるか不安に思いながらも、押しかけたエリアナを待っていたのは「そばにいてくれ。俺の妻になってほしい」彼からの真摯なプロポーズ!! 執拗なキスに胸が高鳴り、巧みな指づかいで蜜口を刺激されると身体は蕩けてしまう――。いきなり始まる極甘▽新婚生活!

ジャンル:
西洋 | ファンタジー
キャラ属性:
王子・王族・貴族
シチュエーション:
玉の輿・身分差 | 年の差 | 幼馴染・初恋の人 | 甘々・溺愛 | 新婚
登場人物紹介

ラインハルト

社交界でも人気の公爵兼騎士団長。他国の皇子に無礼をしたという理由で辺境へ左遷させられる。エリアナとは彼女のデビュタントの際に会い、ずっと覚えていた。

エリアナ

初恋のラインハルトを辺境まで追いかけた行動派の伯爵令嬢。情が深く、少しストーカー気質娘。

立ち読み

 マルティノワ王国では、年頃になると王妃に拝謁するしきたりがある。
 それを終えると正式に社交界に認められた形となり、デビュタントを無事に済ませた令嬢は結婚市場へと足を踏み入れることになった。
 王宮の中央、中庭に面した回廊の一角では、これから淑女となって花開く膨らんだ蕾のような女性たちが並んで、その時を静かに待っている。
 午前から始まった王妃への拝謁は、今年は二十一名で、すでに午後になっていた。
 ────みんな、綺麗……。
 緊張で空腹を覚えるどころか、朝食すら喉を通らない者が多い中、十五歳になったキュフナー伯爵家の令嬢エリアナもまた、緊張の面持ちで立つ。
 白いふくらみの少ないドレスに身を包んで、公式の場では初めて亜麻色の髪をアップにして、花飾りをつけている。
 レースの手袋が持つのは、白い花だけを集めた、小ぶりのブーケ。
 拝謁の装いについて、基本的には白いドレスと花だけと聞いていたので、レース以外の飾りはなかった。
 宝石もリボンもないのはエリアナだけで、他の令嬢はさりげなく品の良い小粒の宝石や、細いリボンがレースの横についている。
 エリアナは鳶色の珍しくない色の瞳で、さりげなく観察するも、もうすでに、そんなところで差をつけられてしまっている気がして、ますます自信がなくなってしまう。
 キュフナー伯爵家の娘エリアナは、いわゆる、ぱっとしない令嬢の一人だった。
 伯爵家が没落気味なわけでも、両親が地味顔なわけでもない。親が野心家でないところは認めるけれど、これから上りつめていく家でないことは確かである。
 今だって、エリアナが並んでいるのは最後尾だ。
 拝謁を終えた令嬢の出口と、これからの令嬢の入口は、同じ金の大扉である。
 中から出てくる淑女は、行きと同じ装いなのに、どこか軽やかだった。
 眩しく思って眺めていると、ついにエリアナの順番がやって来て、背筋を伸ばして開け放たれた扉へと進む。
 扉の左右には、王家使用人用のクリーム色に黄色のラインが入ったお仕着せに身を包んだ、上級使用人達が手をかけている。
 ふらりと吸い込まれるように拝謁の間へ入ると、王妃の香水だろうか……とても、うっとりする花の香りがした。
 高い天井に見事な意匠の柱、天窓からの光が差し込む大きな椅子に、王妃がゆったりと座っている。
 白のシルクドレスには、青色の刺繍が入り、美しい巻き毛は見事な銀髪だった。
 その手には儀式用のサファイアがはまった錫杖を持ち、形の良い唇が笑みを作っている。
 完成された絵画と彫刻の間にあるような圧倒的な存在が鎮座する光景に打たれて、深々とお辞儀をした。
「近くに来なさい」
「はい……」
 そして、王妃の促す声で、片方の手はブーケを胸の前へ、もう片方の手でドレスの片裾をそっと持って、デビュタントの礼をしてから、エリアナは歩き出す。
 ちょうど七歩で、王妃の前へ行き、絨毯の上へ膝をついた。
「貴女は────あら? エリアナじゃないの」
 高圧的だった王妃の声が、親しみの響きに変わる。
「はい、エリアナにございます」
「もう、そんな歳になるのね。そういえば、わたくしのイヴェッタも去年だったもの、ああ、あっという間だわ」
 世間話のように軽やかな口調でも、王妃の威厳は損なわない。
 むしろ、親しみを向けられたぶんだけ、背筋が伸びた。
 ただ────イヴェッタと、王妃の娘である王女と、エリアナは友人なだけである。
 高貴な方の友人が、自分などで良いのかと悩んだこともあったけれど、それは自然と仲良くなったもので、畏れ多くしすぎる必要はない。
 そんなことは、イヴェッタもエリアナも望んでおらず、王妃も、もっと派手で美しく、身分の高い友人を用意することはなかった。
 王女の友人として、王宮に出入りしているエリアナは、王妃と何度も面識があり、一緒にお茶も飲んだことがある。
 ただ、こうして公の場で会うと、いつもよりもさらに硬い態度を取ってしまう。
「そう、貴女が最後なの。エリアナらしい……随分と待たせてしまったわね」
「めっそうもございません、お会いできましたこと、光栄でございます」
 エリアナだって、晴れ晴れとした気持ちがないわけではない。
 支度をしている時は心が躍ったし、大人になることへの期待もあった。
「あら、浮かない顔ね?」
 王妃が、目ざとくエリアナの考えを見透かしたようにふふっと微笑する。
「……いえ……あっ、はい」
 自分で自分を観察する限り、エリアナは十五歳となっても、女性らしい美貌、もたずもたいした身体つきでもなければ、特技もなく、知識もまだまだで、十歳ぐらいから成長をしていない感覚である。
 親の庇護下でなければ生きられない娘で、いつか政略結婚で夫の庇護下となった時に、今の母のように堂々と貴族らしく振る舞い、家の女主人となり子育てをする自信がなかった。
「皆に聞いているの、エリアナ、デビュタントを終えた淑女として何をしたい?」
「責任を持った振る舞いをすることです」
 今日からの抱負を色々と考えた結果、エリアナが行きついたことだ。
「ふふっ、相変わらず、頭でっかちで可愛らしいわね。残念、違います。結婚までのややこしいことは、相手や親に任せておけばいいの。十五歳になった貴女がすべきなのは、恋をすること」
「はっ……?」
 驚いたエリアナを前に、王妃が菫模様の扇を広げた。
「十五歳になった心は、もう立派に恋ができるのよ。小さな失敗は気にせず、心が動いたことを大切にする可憐な淑女となってくださいね。わたくしは、いつだって貴女の味方ですから」
「は、はい……」
 ────恋だなんて。
 気にしたこともない言葉だった。
 エリアナには縁がないと思っていた砂糖菓子のような甘い響き。
 恋をすること……。
 王妃の笑みと、聞きなれない言葉にぼーっとしながら拝謁の間から出ると、先にデビュタントを終えた令嬢は誰一人としていなかった。
 けれど、よく知った顔が柱の横から、エリアナへ手を振ってくる。
「エリアナー、無事に終わったみたいね」
「イヴェッタ様、来てくださったのですか」
 悪戯っぽい笑みを見せているのは、先ほど王妃が話していた王女イヴェッタだった。
 黄緑色に青のレースが入った上品なドレスに、銀の波打つ髪をした絶世の美女である。
 青い大きな瞳は無垢な輝きをしていて、愛されるために生まれてきたような、可憐さを持つ。
 一歳年上の十六歳の王女は、どうやら、エリアナがデビュタントを終えるのを待ってくれていたようだ。
「当たり前でしょう! わたしまで緊張していたわよ。お母様と大人のお話はできて?」
「……え、ええ」
 先に立って歩くイヴェッタへ続くと、中庭のテーブルを目指していることがわかる。
 すでに用意されているティーカップや軽食が目に入ると、空腹なことを思い出す。
「ふふっ、わたしの時もお腹が空いたから、用意しておいたの」
 にこやかに、連れ立って庭へ出た時、腰ほどの茂みからガサッと音がして、エリアナは足を止めた。
「イヴェッタ様お待ちをっ! 失礼っ」
 エリアナが王女の腕を掴んで引き戻すと、イヴェッタが向かっていた場所に、抜いた短剣を持った髭のある顔に黒い服を身に着けた男が飛び出してくる。
 背負った生成りの袋から、装飾品がこぼれ出ていて、物取りの賊のようだ。
 エリアナは常に、自分はイヴェッタの友人でもあり、盾でもあると考えていた。
 だから、ただの微力な令嬢であるが、イヴェッタといる時にはいつも周りを気にしている。
 すぐに賊は、イヴェッタを背にしたエリアナへ短剣を向けていた。
「きゃっ! エリアナ、危ないっ」
「イヴェッタ様は動かずに」
 エリアナはイヴェッタの前に立って、賊と向かい合う。
 街にいる男の人とも、貴族とも違う、恐ろしい殺気を全身に浴びて足が動かなくなった。
 ────怖い……足に力が入らない。
 剥き出しの悪意と、害をなすという気迫に、エリアナは完全に呑まれて、辛うじてイヴェッタを背にかばったままへたり込んだ。
「邪魔するな、女ぁっ!」
 怒号とともに短剣が振り上げられ、エリアナがもう駄目だと目を瞑ったその時。
 ガキンッと弾くような大きな音がした。
 目を開けると、長い剣を手にした騎士が、短剣をその剣で打ち払ったところで────。
 くるくると回って飛んだ短剣は、エリアナとは反対側にある芝生へと刺さる。
「捕縛しろ!」
「はっ」
 長い剣を手にした騎士が短く命じると、他の幾名かの騎士が男を捕らえ、芝生の短剣も抜き、去っていく。
 突然のことだらけで、何が起きたのかわからなかった。
 ただ、助かったということ……彼により助けられたということだけは、わかる。
「ご無事でよかった……勇敢なレディ」
 へたり込んだエリアナへ騎士のごつごつした手が差し出された。王女にはすでに他の騎士が手を貸していて、立ち上がろうとしている。
 彼がレディと言った時に、ちらりと白いドレスと花へ目をやったのがわかったから、デビュタントの令嬢だと認識してくれたのだろう。
 屈強なのに、細やかな気遣いが、アンバランスな魅力となって、つい見惚れてしまった。
 騎士はとても筋肉質で体格がよく、赤茶色の髪をざっくりかき上げて背後に流している。
 その幾本かが額に落ち、清潔感のある襟足は、外套にかからないほどに短く、毛先がツンとしていた。
 その瞳は、強い力を秘めたような緋色で、目が合うと心臓がドキドキと高鳴り始めてしまう。
 黒と銀の鎧、藍色の外套には、騎士団の紋章が入っていて、王宮の直属騎士団なのだとわかった。
「……っ、平気です」
 ────な、なに、これは……。
 さっき恋の話をされたばかりなのに、もう恋なんて早すぎる。
 でも、知らなかった感情でも、恋だとわかった。
 ────ああ、王妃様、できました。
 偶然に決まっているけれど、デビュタントをしたら、恋ができる身体になるの? なぜ?
 絶対に顔は赤くなっているだろう、頬がすごく熱い。
 反射的にエリアナが彼の手を取ると、軽々と引き起こされてしまう。
「助けていただいて、ありがとうございます。その……騎士様」
 恋ならば、こんな時どうすればいいのだろう?
 お礼を言って、改めてどこかで会う約束をするとか……それとも、王女をかばったことを、もっと手柄のようにアピールするとか。
 でも、どちらもエリアナにとっては違う気がした。
「ラインハルトだ。あとは、お任せを。姫もあまり護衛なしで出歩きませんように」
 手短に言い放つと、鎧の音がして、ラインハルトと名乗った男は、すぐに去って行ってしまう。
「あっ……」
 取り付く島もないとは、このことだろうか。
 けれど、異性と長く話しても、会話なんて思いつかないのだから、恋ゆえの醜態をさらさずに丁度いいのだと納得した。
 ただ、エリアナにできるのは、彼の名前を忘れないようにすることだけである。
「ラインハルト様……」
 どこかで聞いたような響きだ。
 すぐに、ハッと思い当たる。
 騎士団長────ラインハルト・デュカス。
 王宮では有名すぎる名だ。
 屈強で当然であった。数々の武功を立てて勲章を幾つも取り、出自もデュカス公爵家。
 先月に二十五歳という若さで、デュカス公爵となり、皆の羨望の的だった。
 未婚であり、貴族の女性に大人気だが、数々のつれない行動をとられたという嘆きを聞く。
 ────彼が……そう。
 その人気なことに納得し、自分もまた恋心を抱いたことに安堵する。
 ライバルが多いということではなく、人並みに恋ができたのだと、大人になれているのだとホッとしたのだ。
 平凡な伯爵令嬢と、騎士団長で公爵、どう見てもつり合わない家柄で、手の届かないことがまた、安心材料となる。
 誰かと競わなくてもよくて、彼に決まった相手ができるまで、その他大勢の絶対にかなわぬ恋として、堂々と見つめていられるのだ。
 皆が焦がれる素敵な殿方、ラインハルト・デュカスに、ちゃんと恋をすることができた。
「悪魔みたいな顔をして愛想がないんだから。護室に運ぶぐらいしなさいよね。大丈夫? エリアナ、さっきはありがとう」
 イヴェッタが手でパンパンとエリアナのドレスの汚れを払い、怪我の確認をしてくれる。
 どうやら、王女は彼に恋をしていないみたいだ。
 イヴェッタの優しさに触れているのに、うっかり彼をかばいたくなってしまう。
「……ラインハルト様は、助け起こす時に、怪我はないか確認してくれたように思うわ」
「そう? 乱暴だった気がするけど、無事でよかった」
 そうしていると、使用人が集まってきて、イヴェッタをかばい、ついでのようにエリアナも気遣われていく。
 普通はこの順序である。しかし、彼は、真っ先に勇敢だとエリアナを助けてくれた。
 賊に一番近い場所にいたからではあるけれど。
 一瞬のことなのに、戦友のごとく誇らしい気分になる。
 まだ、顔は赤いだろうけれど……ずっと熱いのだ。
 彼のことを考えていると、高揚した気持ちが引くことがない。
「わたしの部屋でお茶にするわ、場所を変えて用意して」
 イヴェッタがてきぱきと指示を出している時も、エリアナの視線は、彼が消えたほうを見つめるばかりだった。
「エリアナ、行くわよ────って……えっ? まさか……」
 勘のいいイヴェッタの問いに、エリアナは無言で頷く。
 らしくないと思いながら、けれど、皆が好きな彼なら、充分にらしいと。
 話しぶりからして、イヴェッタはラインハルトを武骨な愛想なしだと思っているみたいだけど、そこは好みが違うみたいだ。
 デビュタントの日に初恋だった。
 王妃と話したせいか、心が軽くて、好きという気持ちに自信が持てる。
「あのね、エリアナ……明日にも発表があると思うのだけど」
 突然、イヴェッタの顔が曇り、すまなさそうな表情をエリアナへ向けた。
 高貴な友人は、いつもくったくのない笑顔なのに、何があったというのだろう。
 イヴェッタが続けた。
「ラインハルトさまは、わたしの婚約者となるの。でもね、わたしが嫁ぐまでの虫よけというか、ただ便宜上のことなのよ」
「えっ……そう……ですか。お似合いだと思います」
 ────ラインハルト様は、イヴェッタ様の婚約者。
 初恋をした瞬間に、失恋した。
 しかも相手が、イヴェッタだったなんて。
 デビュタントとは、こんなに苦しいものなのだろうか……。
 泣きそうになるのに、涙は出ない。胸がぎゅっと何かに握りつぶされたような心地になるだけで。
「本当に、親が決めただけのことで意味はないの、ラインハルトさまも、わたしも、縁談を断る手間が惜しくて────」
 イヴェッタの言葉はちゃんと聞こえていて、理解もできた。
 いわゆる、仮初の婚約というものだろう。
 王女に悪い虫がつかないための、そして、ラインハルトの前にたくさんの令嬢の肖像画で海ができないための。
 けれど、頭の中で二人を隣に並べてみると実にしっくりくるのだ。
 ラインハルトほどの人には、確かに王女がつりあう。
 イヴェッタにも、令嬢の友人の盾ではなく、騎士の盾のほうが強く守れるだろう。
「いいのです、イヴェッタ様。恋ができただけで、充分です」
 あと一日遅かったら、イヴェッタの婚約者と知っていたら、胸がドキドキしなかったかもしれない。
 むしろ、普通に恋ができてよかった。
 そして、何よりも安全な片思いとなって、よかったのだろう。
「わたしが言うのも変だけど、エリアナの恋はお友達として応援するから! ラインハルトさまは苦手だけど、婚約者特権で、三人で一緒にお茶もしましょう」
 エリアナは、静かに笑って首を横に振った。
 ────いいえ。
 そういう、恋ではないのだ。
 ただ、憧れて、気になって、見つめていたい。
 エリアナは、自分に新しく芽生えた恋という気持ちを、大切にすることにした。

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