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きまじめ竜騎士の子作り指南②
新婚編

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書籍紹介

不埒なこと……いっぱいしてくれますか?

竜騎士リューンと結婚したシルフィアは絶賛新婚生活満喫中! 「もっと君の乱れた姿が見たい」唇も肌も、身体の奥まで全部甘く蹂躙され、熱い楔に穿たれる。紳士的な彼が豹変し、貪欲に求めてくれる悦びに震え――。けれどシルフィアは流行中の『眠り病』に倒れてしまう。愛する伴侶を失いたくないリューンが必死に解決の糸口を探れば、実は竜の力が影響していると判明して……!?

ジャンル:
西洋 | ファンタジー
キャラ属性:
ワイルド・騎士・軍人
シチュエーション:
新婚 | 甘々・溺愛 | お風呂・温泉
登場人物紹介

リューン

レスヴィアーザ王国の竜騎士。風竜イヤファを盟友とする。シルフィアと結婚し新婚生活を満喫中だが、流行しはじめた『眠り病』を調査することになり……

シルフィア

竜守の一族の娘。竜騎士リューンと結婚し、新婚生活は幸せいっぱい。けれど流行しはじめた『眠り病』に倒れてしまい……!?

立ち読み

 ヴァリレエ公爵リューンは、レスヴィアーザ王国の高級貴族であり、若く真面目で誠実で、容姿も大変すぐれた独身の青年だ。
 先日、王国唯一の竜騎士として叙任された、最高級の勲章持ちでもある。
 ゆえに、『黒髪』という若干の障害を差し引いても、レスヴィアーザ宮廷には彼に憧れ、ぜひとも射止めたいと考える女性は多い。
 しかも、公爵にはもう両親がおらず、うるさい姑がついてこない。これはレスヴィアーザ一の注目株といっても過言ではない。
 だが、彼は夜会に姿を見せることがあまりなかったし、たまに見かけても、宮廷内で馴染みのない彼の黒髪は、この世のものではないような神秘さがあって近寄りがたい。
 おまけに、普段はビアレンの街を拠点に活動しているので、貴族のご令嬢たちがお近づきになる機会はほとんどなかった。
 そこへきて、降って湧いたような結婚話。
 宮廷内は、上を下への大騒ぎになったものだ。
 いったいどんな令嬢がヴァリレエ公爵を射止めたのかと連日話題になり、正体の見えてこない婚約者に対し、いつしかおかしな噂話までもが横行しはじめた。
 そのためか、ヴァリレエ公爵は一度だけ、婚約者を伴って国王主催の夜会へやってきた。
 ヘンな女が公爵にくっついていたらどう追い払ってやろうかと、意地の悪いことを考える令嬢が皆無だったとは、残念ながら確認できていない。
 ところが、婚約者としてヴァリレエ公爵が連れてきた少女を見て、並みいる女性たちは皆、だんまりを決め込んだ。
 背の高いヴァリレエ公爵と並ぶと、やや身長差が気にはなるが、彼と腕を組んで現れたのは、小柄でたおやかな、はっと目を惹く美しい娘だったのだ。
 レスヴィアーザではあまり見かけない淡い白金色の髪は、画家がこだわりぬいて描き出した創作物のように精緻な艶を放ち、小さな鼻や形のよい唇はとても女らしく、同性でも目を奪われてしまう。
 長い睫毛に縁どられたぱっちりした目、瞳は暁の空を思わせる菫色。
 細くて白いうなじは、大理石の彫刻のようになめらかで、乱暴に扱うことなど許されないと万人が考えるだろう。
 そして、美しい姿かたちに見合った、やさしげな表情。物腰はやわらかく人懐こそうで、あいさつをされると心の底からうれしそうに笑うのだ。
 突然現れて、レスヴィアーザの英雄を横取りしていった小娘が、どれだけ公爵にふさわしくないか確かめてやる。そう揚げ足取りを考えていた令嬢たちは、彼女の姿を一目見るなり、尻尾を巻いて逃げ出した。
 なにより、公爵が彼女を溺愛していることが、一目瞭然なのである。
 堅物として名の通ったあのヴァリレエ公爵が、やさしく笑いかけ、婚約者を手厚くエスコートする姿に誰しも赤面した。
 寄り添うふたりは、絵に描いたような似合いの一対だったのだ。
 リューンの黒髪が深い夜ならば、彼女の白金色の髪はそれを煌々と照らす月。そうして一緒に並んでいることこそ、自然の摂理である。

 その夜会以降、ヴァリレエ公爵の婚約者についての噂はぱたりと止んだ。
 彼女に取って代わろうと考える気概に満ちた女性は、レスヴィアーザにはいなかったようだ。

 

 

 

 鐘の音が、祝福するように晴れ渡ったレスヴィアーザの空に響き渡る。
 今日は、レスヴィアーザ国王の甥リューン・アース・ヴァリレエ公爵と、竜守一族の少女シルフィアの結婚式だ。
 両親のいないリューンと、同じく両親のいないシルフィア。
 ともに親代わりになる人はいるが、ティルディアス村のオジジたちがそろって王都を訪問することが難しく、同じ場所に集って結婚を披露することができなかった。
 そのため、王都レヴィーの神殿でふたりきりの結婚式を挙げることにしたのだ。
 それぞれの身内には挙式後に個別に結婚の報告をし、夜はヴァリレエ公爵家でささやかな宴席を設けることにしている。
 盛大な結婚式をしなかった穴埋めというわけではないが、これまで質素な暮らしをしてきたリューンが、初めて公爵家の特権と財力を惜しみなく注いだのが、新妻に贈った花嫁衣装と結婚指輪だった。
 純白の最高級の絹のドレスは、繊細なレースがふんだんに使われ、小柄なシルフィアの愛くるしさを、これでもかというくらいに強調する意匠だ。指輪に関しては、シルフィアは己を飾る宝石というものに縁がなかったこともあり、目を宝石よりもきらきらさせながら自分で選んだ。
 神殿の窓から射し込む陽光にきらめきを放つ白金色の髪は、小さな真珠の粒がたくさんちりばめられた髪飾りが彩る。
 リューンは、白く華々しいレスヴィアーザ王国騎士団の礼装に身を包んで、彼女の神々しさに自然に寄り添った。
 神前で新婦のベールを上げると、うれしそうに微笑む彼女の菫色の瞳をみつける。
「これから先、どうかよろしく」
「はい! ずっと一緒にいてくださいね」
 返事の代わりに、花嫁の艶めく唇に、リューンはやさしい誓いのキスを重ねた。

   *

 街を守護するリューンが、亡き父の後を継ぎ、竜騎士に叙任されて二ヶ月。
 彼の騎竜である水色の竜が、王都の上空を舞わない日はない。王都に住まう誰もが、新しい竜騎士を熱狂で迎え入れてくれた。
 そんな王国唯一の竜騎士が、今日は竜に新妻を同乗させて街にやってきたものだから、人々は歓声をあげて広場に集まってきた。
「ヴァリレエ公! ご結婚おめでとうございます!」
「なんてきれいな花嫁だろうね、妖精みたいじゃないか。ヴァリレエ閣下は果報者だ」
 たくさんの祝福の声を方々からかけられ、リューンは力強く手を振ってそれに応える。
 中には、酒杯を手にしたまま広場で祝杯をあげる人々もいるほどで、高級貴族であるリューンが庶民に慕われ、親しまれていることが誰の目にも明らかだった。
 ふたりは神殿で結婚式を終えた後、竜の背に乗り込んで街に直行し、風竜を広場の上空に旋回させている。
「さあ、シルフィア」
 きらびやかな花嫁衣装を風になびかせた妻を振り返り、リューンは笑った。
 シルフィアもそれに笑い返すと、風竜の背中いっぱいに積んだ色とりどりの花を、街の広場に降らせた。
 結婚式はふたりきりで、花嫁の幸せをお裾分けするための花を誰にも渡していないので、ビアレンの街でそれを振る舞うことにしたのだ。
 子供や若い娘たちだけではなく、街の人々は老若男女問わずに大喜びで、美しい公爵夫妻の幸せにあやかろうと空に手を伸ばし、降ってくる花を受け取ってくれた。
 花が全部なくなると、ふたりはそのまま北の山脈に向かって竜を駆った。目的地はティルディアスの村だ。
 村では、シルフィアの花嫁姿をティルディアスの三オジジに披露した。
 実の孫のようにかわいがっていたシルフィアが、まさかこんなすばらしい婚礼のドレスを着せてもらえることになろうとは。
 オジジたちが大いに泣いたことは言うまでもない。
 古竜グレヴァからも祝福を受け、ふたたび王都に舞い戻る。
「この後は邸でパーティか。なんだかあわただしい結婚式になってしまったな。シルフィアも疲れたろう。それに、オジジさまがたには申し訳ないとしかいいようがない。せめて、もっと時間を取れればよかったのだけど……」
「大丈夫ですよ、とっても喜んでくれていましたし。それに、竜がいれば王都とティルディアスは目と鼻の先ですから、いつでも顔を見にいけます」
 風竜の背中で寄り添いながら、シルフィアは絹の手袋越しに、夫となった竜騎士の頬に手を当てた。
 元々、結婚したらリューンもシルフィアとともに、竜の棲むティルディアス村に居住を移そうと考えていたのだが、そこは叔父たる国王に反対されて実現していない。
 というのも、現在のリューンは王国でたった一頭の竜に乗る、唯一の竜騎士なのだ。その唯一絶対の存在が王都から離れることを国王が容認しなかったのである。
 万一のときにリューンが王都を離れていたら、誰も彼に急を知らせることができないのだから、当然と言えば当然だろう。
 そこで、国王はリューンに条件を出した。
 風竜イヤファをどこからか連れてきた盗賊が、竜は他にもたくさんいると故売屋に告げたそうだ。その件を暴き出し、王国にふたたび竜をもたらせば、ティルディアスでの居住を許可するというものである。
 ちなみに、国王は火竜ツァイルの存在も把握している。
 火竜は王子の命を救ってくれた恩ある竜だし、彼が街を燃やしたことについては、街の修復費用の大半をヴァリレエ公爵家が捻出している事情もあって、不問としてくれた。
 だが、街の人々はすんなり火竜を受け入れられないだろうと国王は懸念している。ゆえに、ツァイルは現在もビアレン上空を自由に舞うことが許されていないのだ。
 とはいえ、どのみち彼は基本的に人間を嫌っているし、シルフィア以外の人間をその背に乗せるはずがない。火竜が王国の騎竜になることはないだろう。
 王国にふたたび竜騎士団を編成するのはリューン自身の夢で、結婚前にティルディアスへの移住を彼女と約束した手前、国王の出した条件をむしろ積極的に受け入れた。
 現在は調査の途上で、まだ何も解明してはいないが、結婚式はシルフィアが望んでくれたこともあり、予定通り速やかに行われた。リューンのほうが彼女の花嫁姿を見たくて見たくて、我慢がきかなかったのである。

 夜になると、公爵家と親しい貴族や市中警備団の幹部などを公爵邸に招き、ささやかな結婚披露パーティを開いた。
 堅物の上官が射止めた奇跡の少女を一目見ようと、多くの騎士たちが詰めかけたが、ビアレン衛視隊の面々は、シルフィアが「子種を欲して」ビアレンにやってきたことを知っている。
 彼らの上官は果たして美しい少女を射止めたのか、それとも彼女に射止められたのか。
 なんにせよ、上官の深緑色の目には新妻の姿しか見えていないようなので、めでたい席に集った一同は心からの祝福をしたのだった。

   *

 夜が更けて招待客が帰途につくと、リューンは細かな後片付けを明日に回し、早々に下がるよう使用人たちに言いつけた。
 もちろん、早朝から働きづめだった彼らをねぎらう意味だったのだが、誰もふたりの世話を焼く人間がいないと知ると、シルフィアが頬を赤らめながら言った。
「リューン、よかったら一緒に湯浴みをしませんか?」
 ティルディアスの村では水浴びがほとんどで、ゆっくりと湯に浸かるという習慣がなかったらしく、王都滞在中のシルフィアは、殊の外、湯浴みを好んだ。
 ヴァリレエ邸の広い浴室は白を基調とした豪華な設えで、それだけでシルフィアは感動したものだが、リューンが彼女のためにいい香りのする石鹸や髪用の油など、若い女性が好む化粧品類を整えたので、感激もひとしおだったようだ。
 湯にたくさんの花を浮かべさせると、シルフィアは数時間は浴室に籠城するほど気に入ってくれた。
 しかし、これまで幾度となく肌を合わせてはいるものの、一緒に入浴はしたことはない。
「一緒に……?」
「ダメですか?」
 菫色の瞳をきらきら輝かせてお願いされたら、彼に断る選択肢はなかった。
 というわけで、シルフィアに腕を引っ張られて浴室へやってくると、リューンはやや気後れしながら部屋着を脱いだ。むろん、腰布で隠すことは忘れない。
 湯船に浮かぶたくさんの花は、普段からひとりで入浴を楽しむシルフィアのためだったかもしれないが、こうなることが既定路線だったと使用人たちに悟られているようで、リューンとしては赤面せざるを得なかった。なにしろ、結婚前から彼らの仲の良さは、ヴァリレエ公爵家の中では周知の事実である。
 シルフィアはといえば、大好きな浴槽に大好きな花がたくさん浮かんでいるのを見て、一日の疲れもどこへやら、大はしゃぎで部屋着を脱ぎ捨てて浴槽に飛び込んだ。
「本当に湯浴みが好きだね」
 広い湯船のあっちとこっちで微妙に距離をとりつつ、リューンは湯に浮かぶ花を髪に挿して遊ぶシルフィアに笑いかけた。
「実はここだけの話ですが、ずっとティルディアスに住むつもりだったんですけど、湯浴みのためなら、王都にいるのも悪くないと思いました」
 もちろん本気ではないだろうが、シルフィアはいたずらっぽく笑った。
 彼女は竜守一族であるティルディアス村の大事な後継者だ。リューンも納得尽くで結婚したのだが、彼女に王都での生活を気に入ってもらえるなら、それはそれで彼にとってもうれしいことだ。
 これまではシルフィアが週の半分以上、王都にやってきて、リューンの傍で羽を休め、またティルディアスに戻るという、どっちつかずの生活をしていた。
 彼が村へ赴くこともあったが、多忙の身ゆえ長時間の滞在とはならず、短時間の訪問で終わることが常だ。
 今後の生活拠点は、ひとえにリューンの手腕にかかっている。今のところはシルフィアが王都にいて、ときどきオジジたちの様子を見にいくことになっていた。
 彼女を王都に縛りつけるつもりはないし、自由にしていいと言い含めているが、リューンの立場を慮ってくれているのだろう。妻が自由に故郷に入り浸っている様子は、やはり一般的ではないし、結婚前にあったように、根も葉もない噂を流されては面倒くさいと思っているらしい。
 シルフィアは両腕にたくさんの花を抱え、湯の中を移動してリューンの傍へやってくると、彼の黒髪に色鮮やかな花を挿していった。
「リューンの髪は何色でも映えるからいいですね。私もこの色がよかった」
「私は君のこの、金の糸みたいな髪のほうが好きだよ。花よりもずっときれいだ」
 結い上げた彼女の髪にくちづけるリューンに、シルフィアは腕を回して抱きついた。
「私たち、今日から夫婦なんですね」
「そうだよ。城塞で初めて会ったときから、君には特別なものを感じていたけど、まさか妻になってもらえるとは思わなかった」
「リューンがそんなふうに思っててくれたなんて、知りませんでした。でも、初めて会ったとき、私もリューンにとっても惹かれました。子種をわけてもらえないかなって」
 それを話題にすると、ふたりは笑う。
 村の後継者を得るために、シルフィアは子作りの方法など知らずに、男性から子種をわけてもらおうと意気込んで街へやってきた。
 とはいえ、今でこそ笑い話ですませられるが、リューンは依然として複雑なままだ。『偶然』という神の采配がなければ、シルフィアはどうなっていたのだろう。
(まあ、彼女のことだから、なんだかんだと危機をくぐり抜けそうな気もするが……)
 悲劇や絶望といった言葉は、彼の美しい妻には不似合いだ。彼女はいつだって明るくて華やかに笑う、太陽のような娘だ。
 その朗らかさを前にすれば、不運や不幸のほうから尻尾を巻いて逃げ出すだろう。
 薔薇色に染まったきめ細かな頬にキスをすると、シルフィアはリューンの肩に頭をもたせかけ、彼の喉仏を唇で食んできた。
「大好き」
 シルフィアの言葉にリューンは頬を緩め、彼女の小さな頭を抱え寄せて、その額にくちづけを繰り返す。
「私も大好きだよ、かわいい奥さん。君に出会えたことが、私にとって最大の幸福だ」
「それ、私も同じです! ううん、私のほうがもっと幸福です! ずっと、ずっと一緒にいてくださいね……」
 彼の膝の上に乗ったシルフィアが、夫の唇にキスを重ねた。リューンもそれに応じるようにさらに抱き寄せ、舌が絡まり合う濃厚なくちづけを返す。
 お湯が静かに跳ねる音と、唾液の混じり合うかすかな音が広い浴室に反響し、そこにシルフィアの甘い吐息が加わった。
 小さな手のひらがリューンを愛撫していくたび、彼女を求める身体が疼きはじめる。堪えきれずに湯の中で手を動かし、シルフィアのやわらかな乳房を握った。
 ぷっくりと立ち上がった頂はすでに期待に満ちていて、指先でつまむと、彼女は喉の奥で甘えた声をあげる。もっと聞きたくなるような、かわいい喘ぎ声を。
 唇を離すと、シルフィアの菫色の瞳は情欲に滲んでいて、薄く開いたままの唇が艶やかに濡れている。とろんと蕩けた表情が、リューンの鼓動を加速させた。
「リューンの──欲しいです……今すぐ」
 彼女のお尻に当たっているリューンの熱を、腰布越しに手でやわらかく包み込んでくる。
 彼が晩熟のため、シルフィアが先導している──というわけではないのだが、彼女は欲しいものを欲しいと素直に口にする性質なので、遠回しとか駆け引きとか、そういった打算を仕掛けてくることがない。
 それに対し、リューンはじっくり時間をかけてシルフィアを愛でようとするが、彼女が求めてくるほうが早くて、なんとなく引きずられてしまうのだった。
 しかし、リューンは素直な新妻に笑いかけ、滾る欲望を包む手を遠ざけて正面を向かせると、彼女を胸の内に抱き込んだ。
「今夜は新婚初夜だよ、シルフィア。そんなに早く私をばてさせないでくれ」
 彼が膝を開くと、向かい合わせに座らされていたシルフィアの膝も勝手に大きく開く。
 頬を染めるシルフィアの開いた割れ目の中に指を伸ばし、ひっそりと息づく蕾を撫でた。
「あ──」
 ぴくんと華奢な肩が強張る。そんな彼女の耳の後ろにキスしながら、秘裂の中の蕾をやさしく擦り、くるくると指先で円を描いた。
「は、ぁ……っ! あぁああ!」
 身体を許し合ってから、幾たびもの夜をともに過ごした。
 最初はぎこちなかったふたりの秘め事だが、身体以上に心を許し合っているせいか、互いの深い場所も知っている。
 男女の行為に何の知識もなかったシルフィアも、公爵家の侍女たちに女性の身体のことや子作りのことを教わり、己の無知と軽率な言動を深く深く反省したものである。
「……もう、いけないことをして罰せられるかもって……びくびくしなくていいんですね」
「びくびくしてたの?」
「いいえ。だって、リューンにさわられるの好き──あ、あぁん」
 指でくすぐり続けると、シルフィアは彼の肩に手を置いて、刺激されるままに小柄な身体を震わせた。
 すると、決して大きくはないが甘くふくらむ胸が揺れ、リューンの征服欲に火をつける。
「結婚式は外に向けての形式だ。君と愛し合う許可を、他人にもらう必要はないよ」
 自分が女性に対してこんな気持ちになる日がくるなんて、思ってもみなかった。
 彼の黒髪を指して哂い、両親を侮辱する心ない人々に付け入る隙を与えないよう、気を張り続けた十代だった。
 二十歳になり、若くして公爵家を継いでからは、努力の甲斐あって多くの騎士を指揮する権限を与えられた。しかし、それに見合った力を常に誇示せねばならず、奮闘する日々は現在も継続中だ。
 重圧を背負った中で、一度だって女性に目を向けたことはないし、よそ見をする心の余裕も持ち合わせてはいなかった。
 そんなリューンが、たった一目見て心を揺り動かされたのがシルフィアだ。
 この先、何十年生きようと、シルフィア以上に彼の心を惹きつける存在は現れないだろう。そう確信すると愛しさがこみあげてきて、彼女の細い身体を腕の中に閉じ込めた。
 今すぐに彼女への欲に渦巻くものをぬくもりに埋めて、シルフィアの中に存分に解き放ちたいと、暴れる心を抑えつけるのに必死だ。
 さっき言ったとおり、今夜は新婚初夜なのだから。
 結婚式がすむまでは懐妊を避けようと、最初に交わった夜以降は避妊具を使った。
 しかし、もう結婚して誰もが認める仲睦まじい夫婦だ。自制も我慢も必要ない。
 ……と思っていたのだが、初めての夜を長く愛し合うため、やはり自己の抑制に必死にならなければいけないようだ。
 目の前に無垢に捧げられたシルフィアの身体は、触れるだけでリューンの心をくすぐり、あたためてくれた。
 胸がいっぱいになるという感覚は、彼女を前にして初めて知ったことだ。
 手のひらに、やわらかくてふわふわした頼りない感触が馴染む。同じ人間とは思えないほど脆そうなのに、しなやかで、リューンの手に忘れられない感覚を刻みつけた。
 密やかな場所に指を這わせると、甘く誘う吐息とリューンの名を呼ぶ声が彼の芯を焼く。
「あぁ……リューン……」
 誘われるままに蕾の奥に隠されていた蜜穴に指を挿し入れると、細い腰が震えながらリューンを咥え込んだ。
「ね、中……もっと、強くしてください……」
 頬を真っ赤にしてリューンの首に抱きつき、シルフィアは腰を揺らしながら彼の首筋をもどかしそうに甘噛みする。
 吐息は短く、細切れになった。
「こう?」
 シルフィアの中を探っていた指を二本、三本と増やし、とろとろと蜜をこぼす内側の壁をすこし強めに擦る。
「あぁ──っ! あっ、あ」
 無意識のうちにシルフィアは身体を揺さぶり、膣内を乱していく指を絡め取った。ちゃぷんと湯が跳ねて、顔を濡らす。
 湯の中だというのに、彼女の体内ではぐちゅぐちゅと淫靡な音が鳴り、リューンの頭の中を淫らな想像でいっぱいにする。
「今のところ……すごく感じるの……そこ……」
 シルフィアは内側に籠もる熱を、朱に染まった唇からこぼし、潤んだ菫色を彼に向けた。見る者を惹きつける美しい色の瞳に、リューンも意識を奪われる。
 煽られるままに薄く開いた唇を覆い、口の中をたっぷり愛撫して、リューンは彼女の身体を穿つ指を緩急つけて上下に動かした。
 動かすたび、爪弾かれた楽器のようにシルフィアは啼き、リューンの舌を吸いながら非力な腕でめいっぱい彼に抱きついてくる。
「ふぁ……」
 指を抜いた途端、その頼りなげな身体が力を失い、くたっと彼の胸にもたれた。
 白いうなじに水滴が流れ落ち、花で飾った白金色の髪が湿り気を帯びて、リューンの濡れた肩に張りつく。
「どうして、やめちゃうの……?」
 あのまま続けてくれたら──そうシルフィアの顔に書いてある。リューンは彼女の赤くなった耳もとに唇を寄せた。
「君の中、入りたくなった」
 そう囁くと、シルフィアの頬がぱあっとうれしそうに笑う。
 リューンは妻の軽い身体を抱き上げて体勢を立て直すと、腰布を外して隆起した熱の塊をさらし、シルフィアの身体をそこに下ろした。
 待ち受ける棘が彼女の中にめりこんで、湯の中でズブズブと深く結ばれていく。
 頭の芯が焼き切れてしまいそうなほど、深くて──熱い。
 無意識に吐息をついた。
「あ……リューン……」
 シルフィアはきつく目を閉じ、リューンの頭に抱きつきながら、中を穿つ楔の感覚に耐えている。
 彼女の指が肩に食い込んできた。
「痛くない?」
「ぜんぜん……っ、リューンが入ってくると……お腹の中、熱くて……気持ちいいです」
 額に張りついた妻の前髪をかきあげてリューンが腰を動かすと、彼女はため息をつき、眉根を寄せて、その快感を受け入れる。
 ちゃぷちゃぷと水面が跳ねる音と、ふたりの荒々しい呼吸が入り乱れて、互いの昂奮を煽り合った。
「ふぁあ……っ、んっ」
「シルフィア、そんなにきつく締めたら……もたない……っ」
「だ、だって、どうしようもないの……。リューンが、気持ちよくするから、いけないんです……っ」
 目の前で揺れるふんわりした胸を口に含んで、身体を上下に揺さぶりながら彼女の腰を抱き寄せたら、シルフィアは断続的に声をあげて全身を強張らせた。
 リューンの肩に食い込ませた指が震え、彼女が絶頂の波にさらわれているのを感じる。同時に彼の棘もその波に巻き込まれ、存分に昂りを解放した。
「……」
 顔を寄せ合って呼吸音が鎮まるのを待つ。言葉はないままだったが、目が合うとシルフィアは彼の鼻の頭にキスして、その首筋に顔を埋めた。
「すごく──気持ちよかったです……」
 甘い香りに誘われて、リューンは目の前にある妻の耳に唇を寄せる。
「夜はまだこれからだよ」
 耳たぶを唇で食んで引っ張ると、シルフィアを抱きかかえて浴室を出た。そして妻の身体を甲斐甲斐しく拭うと、ともにガウンをまとって寝室へと移動する。
 結婚するまではと、シルフィアは王都にいる間、ずっと客室に滞在していたのだが、今日からは同じ寝室の同じベッドだ。
 使用人たちが新婚夫婦のためにせっせと飾って整えてくれており、シーツや毛布なども真新しくなっていた。おまけに、シルフィアが好むようにたくさんの花が生けられて、リューンがひとりで使っていたときとはまるで様変わりしている。
 控えめなランプの明かりと、かすかに焚かれている香のおかげで、寝室はいかにもといった雰囲気になっており、リューンは内心で頭をかいた。
「わあ……すてきですね」
 浴室での交わりがまだ尾を引いているのか、シルフィアはリューンの肩に頭を預けたまま、吐息を含んだ甘い声で言う。
「気に入ってもらえたならよかった」
「とっても!」
 ベッドカバーは細やかな花柄の刺繍が施されている。リューンの腕からベッドに移ったシルフィアは指でそれをなぞりながら、自身が花のようにあでやかに笑った。
「シルフィア」
 リューンはその隣に腰かけ、結い上げていた彼女の髪を解くと、小さな頭を抱き寄せる。
「あまりこういうことを口にするのは、得意ではないのだが……私と一緒になってくれてありがとう。君が幸せでいてくれれば私も幸せだから、シルフィアがいつも笑っていてくれるよう、末永く仲良くしていけたらと思っている」
 照れくさくはあったが、これが本心だ。すると、抱き寄せたシルフィアが上を向き、うれしそうに頬を染めてリューンの頬に手を当てた。
「私も同じ気持ちです、リューン。あなたが笑ってくれると、私はとってもうれしいし、幸せです。でも私、たぶんこれから先もたくさんご迷惑をかけてしまうと思うんです……。呆れてくださってもいいので、嫌いにならないでください」
「呆れることも、嫌いになることもないよ。むしろ、いつかティルディアスで暮らせる日がきたら、シルフィアに教えてもらわなければいけないことがたくさんある。知らないことは教え合えばいいし、足りない部分は補い合えばいい。互いの存在が、互いにとって欠けてはならないものになっていければ──」
 言い終わらないうちに、リューンの肩に縋りついたシルフィアが、彼の唇をふさぐ。それが彼女からの返事だった。

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