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美貌のきまじめ公爵は愛しい魔女を絶対に諦めない

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書籍紹介

貴女の人生を、全て私にくれないか

天候を変える不思議な力を持つ侯爵令嬢ノア。
魔女と呼ばれ遠巻きにされていたのに、
隣国の公爵ルイスから求婚される。
彼はかつて目の前で嵐を起こし怖がらせた相手。
政略結婚かと思いきや、まっすぐな愛を向けられて!?
「貴女以外の女性は要らない」
濃厚なキスと執拗な愛撫。たっぷり焦らされてから
最奥に甘い楔を打ち込まれれば、たまらない幸せに包まれる。
一途で淫らな結婚物語!

ジャンル:
西洋 | ファンタジー
キャラ属性:
王子・王族・貴族
シチュエーション:
政略結婚 | 新婚 | 幼馴染・初恋の人 | 甘々・溺愛
登場人物紹介

ルイス

クティノス王国の若き公爵。銀髪の美丈夫。かつてノアとの婚約が破談になったが、再度求婚する。真面目でちょっと天然なところも?

ノア

ユンドラ王国の侯爵令嬢。竜の血を引く一族で、天候を操る不思議な力を持つ。そのせいで魔女と呼ばれ、遠巻きにされがち。

立ち読み

「──ノア、顔を上げなさい」
 父のカストロフ侯爵に促され、ノアはのろのろと顔を上げる。
 そこには、ひょろりとした体形の少年が立っていた。
 年齢は十七、八といったところか。色素の薄い銀髪を後ろで一つに括っていて、宝玉ラピスラズリのような青い瞳を持っている。
「この方がクティノス王国のアレハンドル公爵だ。先の戦で父君を亡くされ、若くして公爵位を継がれた御方だよ。そして、お前の婚約者だ」
「ルイス・クティノス・アレハンドルです。よろしくお願いします」
 背中をぴんと伸ばした少年が自己紹介をして、片手を胸に当てながら頭を下げた。
 ノアは消え入りそうな声で「ノアです」と挨拶をしたものの、次の瞬間、ぎりぎりのところで堰き止められていた涙がぽろりと零れ落ちる。
 そこからは防波堤を失ったかのように大粒の涙が流れ落ちてゆき、父がハッと息を呑んで抱きしめてくれた。
「泣くんじゃない、ノア。ゆっくりと息を吸って、感情を抑えなさい」
 父の言葉に、大好きだった長姉ミーシャに言い聞かせられた言葉が重なった。

『いいわね、ノア。自分の感情を抑えて、心を鎮める術を身につけなさい。それが、あなたの大事なものを守ることに繋がるのよ』

 大事なものを守る。
 だが、ほんの一ヶ月ほど前に、ノアはその大事なもの……姉のミーシャを喪っていた。
 その哀しみが癒えていないというのに、クティノス王国の要請で婚約者との顔合わせの場へ連れてこられてしまった。
 これまでは泣くまいと堪えていたが、ノアの心はもう限界だった。
「っ、う……あぁああ……っ!」
 泣き声を上げた瞬間、強い耳鳴りを感じて、肩に垂らしていた金髪が風もないのにふわりと浮いた。
 それから数秒後、まるで地鳴りみたいな雷鳴がゴロゴロと轟いたので、同席していた者たちが一斉に窓へ目をやる。
 快晴だったはずの空があっという間に鈍色の雲に覆われた。
 金色の稲妻が蛇のごとく空に亀裂を作り、恫喝するように轟音が鳴り響く。
 まもなく窓ガラスに雨粒がぽつぽつと当たり始めた。
「ふっ、あっ……うああぁっ……!」
 キィインと、強い耳鳴りが続く。
 ノアの泣き声と呼応して、晴天から雨天へ。
 小降りだった雨が土砂降りへと変わっていく。
 カストロフ侯爵がノアを抱きかかえて、背中をさすりながら必死に宥めた。
「ノア、ノア。泣かないでおくれ。私が悪かった。やはり、今はお前を連れてくるべきじゃなかったんだ。すまない、本当にすまない」
 父の謝罪が繰り返される間にも雷鳴はやまず、バケツをひっくり返したような豪雨が降り注いだ。
 周囲がざわざわと騒がしくなり、荒れ狂う外を眺めていたクティノス王国側の使者たちの声が聞こえる。
「驚いた。こんなことが、本当に起こるなどとは……ほんの数分の出来事だぞ」
「我が国に、このように激しい雨が降ったのは何年ぶりのことか。これが、カストロフの魔女の力なのか」
 カストロフの魔女。
 人智を超えた力を持つものへの畏怖がこめられた、特別な呼称。
「なんと、恐ろしい力だ」
 誰かの言葉が耳に届き、ノアはびくりと肩を揺らす。
 恐ろしい力──確かにその通りだった。
 この大陸には日常的に魔法が使われ、魔力を持つ魔獣が生息していた時代がある。
 しかし今や魔法の知識はほとんど失われてしまい、正しく受け継がれているのは星導士が行なう占星術くらいだ。
 知識の風化に伴い、魔獣たちも次々と絶滅していった。
 魔獣の中で最も知能が高く、自然や天候を操り、人型をとれるほどの魔力を有していた最強の生物“ドラゴン”も一部を残して死滅したとされている。
 その一部というのが、ノアの身体に流れるカストロフ家の血筋だった。
 多くの魔法が失われていく中で、カストロフ家の祖先は人型をとるドラゴンと番いになって子を生した。
 それ以来、カストロフ侯爵家にはドラゴンの血を示す黄金色の瞳と“特別な能力”を有する子供が生まれるようになった。
 ノアも、その一人だった。
 彼女が癇癪を起こしただけで天候が変わってしまう。雷鳴が轟き、豪雨が降って、落ち着くまで空は荒れ狂った。
 しかもノアはまだ、その能力をうまく制御できない。
 ゆえに、そんな彼女を腫れ物のように扱って恐れる者たちは多いのだ。
 父にしがみつきながら泣き顔を上げると、少し離れた場所に立つ少年と目が合った。
 大人たちが一様に外を眺めているというのに、その少年は天候の変化には目もくれず、大海のごとく深みのある瑠璃色の瞳でノアを見つめていた。
 瞬き一つせずに凝視され、勝手に責められている心地になったノアは身震いし、少年の視線から逃れるため父の腕の中にもぐりこんだ。
 それからノアがクティノス王国を離れるまでの数日、激しい雨が降り続いた。
 あまりの雨量に川が氾濫しかけて田畑が水浸しとなり、一歩間違えたら大災害になるほどの規模だったらしい。
 この出来事の一年前にも、ノアと姉のミーシャがクティノス王国と西の皇国ニルヴァンの国境で起きた山火事に駆けつけて、雨を降らせて鎮火させていた。
 これらの出来事から、カストロフ家の女たち──通称“カストロフの魔女”の名はクティノス全土に広まった。
 しかし、その名が人から人へと語られるうちに、
『カストロフの魔女は醜い見た目をしていて、怪しい儀式で雨を降らせた』
『儀式には生贄の人間が必要らしい』
 ──などと、尾ひれのついた根も葉もない噂が流布する。

 やがてカストロフの魔女は“得体の知れない恐ろしい存在”として、クティノス王国の人々に周知されるようになっていった。

 

 

 

「ルイス様、ご冗談でしょう」
 クティノス王国で婚礼を挙げた夜、ノア・ドラゴニア・カストロフは混乱していた。
 感情を表に出すまいと心がけて、無表情を保っている顔が引きつりそうになる。
 ノアをベッドに押し倒し、婚礼用の衣装を脱ぎ始めた銀髪の美丈夫、ルイスがことりと首を傾げた。
「私は本気だが。貴女と仲睦まじい夫婦になれるよう努力するし、貴女が“役目”を終えたあとも妻として大切にするつもりだ」
 ルイスがシャツのボタンを外し、筋肉質な上半身を惜しげもなくさらしたので、ノアは初めて目にする異性の裸体に悲鳴を呑みこんだ。
「ちなみに、貴女の『人里離れた場所で暮らしたい』という願いも、聞くことはできない。今後、貴女には私の側で生活してもらう」
 ルイスは囁きながらノアの胸元に手を添えて、優しく揉む。
 そのままノアの唇を奪い、情熱的なキスをしていく──素肌に触れて、彼は夫婦の営みを始めようとしている──。
 それを察した瞬間、必死に抑えていた感情が大波となって押し寄せてきて、ノアは声を荒らげる。
「おやめください!」
 室内に甲高い声が響き渡った途端、キインと激しい耳鳴りがして、窓の外からゴロゴロと雷鳴が聞こえ始める。
 すかさず窓へ目をやったルイスが眉根を寄せるのを仰ぎ見て、やはりこの結婚は受け入れるべきではなかったのだと、ノアは心の中で嘆いた。
 事の発端は、今から一ヶ月前のことである。

      ◇

 その日、カストロフ侯爵家の三女ノアは、居城からほど近い草原に寝転がって蒼穹を見上げていた。
 初夏の日差しがぽかぽかと降り注いでいた。森から吹いた薫風が背丈の低い草を揺らし、柔らかい草地へ無造作に投げ出されたノアの腕を撫でる。
 心地よいくすぐったさに目元を緩めたノアはゆっくりと目を閉じた。
 ノアの祖国ユンドラは、国土の八割が田園地帯の農業国家だ。
 国土面積はそれほど広くないが、大陸の南寄りに位置しているため通年暖かく、農産物や果物を栽培するのに適している。
 ユンドラ王国の南部にはなだらかな山脈地帯があり、その山を国境線としてクティノス王国と隣接していた。
 クティノス王国は肥沃な大地を持つ軍事国家で、両国は長らく良好な関係にあった。
 十年ほど前にクティノス王国と、西の皇国ニルヴァンとの間で戦があった際も、ユンドラ王国はクティノス側について多くの支援物資を送った。
 その戦が終わった現在も、二国の蜜月関係は続いている。
 そしてノアの実家、カストロフ侯爵家はユンドラ王国の王都郊外に山を所有しており、一族はその中腹に佇む石造りの城で暮らしていた。
 城は切り立った崖の上に建っていて、麓の街へ行くにも一時間ほど山道を進まなくてはならない。
 だが、自然に囲まれたその城はノアにとって心休まる場所だった。
 草原に横たわったまま周りの音に耳を澄ませると、さああと草の揺れる音に交じり、枝から飛び立つ鳥の羽ばたきが聞こえる。
 バサバサッと飛び立ったあと、反動で撓った梢が周りの枝に当たって深緑の葉がこすれ合う。さわさわ、さわさわ。森の囁き声だ。
 蒼天を横切った鳥がピューヒョロヒョロと鳴き、それに応えるように森の中から同じ鳴き声が聞こえる。
 ノアは目を伏せたまま、かすかに口端を緩めた。
 自然の中に身を投じて瞑想すれば、木々や動物たちの営みに溶けこんで心が鎮まる。
 ──今日は森も鳥もお喋りね。
 渋みのある草の匂いを胸いっぱいに吸いこんで、ノアは笑みを深める。
 するとノアの軽やかな心情に呼応してか、草原の中に咲いた秋桜が小さく揺れ、どこからともなく小さな花が舞ってきた。
 森から春風のような暖かい風が吹き、周りで花がふわふわと浮かぶ。
 嬉しい時や楽しい時に、ノアを取り巻く自然は彼女の明るい感情に反応を示す。
 ここには心を煩わせるものは何一つない。
 だから一日に一度、この草原に足を運んで瞑想を行なうのが習慣だ。
 さほど時間が経たぬうちに人の声が聞こえたので、ノアはぱちりと目を開けた。
 小さく指を振ると、暖かい風に乗って周囲に浮かんでいた花が森の中へ戻っていく。
 緩慢に身を起こしたら、城へと続く林道のほうからメイドが走ってきた。
 住みこみの城仕えをしているメイドのマルタだ。ノアを捜しに来たらしい。
「お嬢様! ノアお嬢様〜っ!」
「ここよ、マルタ」
 ノアは返事をして立ち上がる。若草色のイブニングドレスの裾を持ち上げて砂や草を払い落とし、もう一度だけ蒼天を仰いだ。猫みたいな吊り目を眩しげに細める。
 ノアの瞳は太陽の光を閉じこめたような黄金色で、日射しを浴びるときらきらと光彩を放つ。
 飛び去る鳥を見送り、彼女は蜂蜜色の髪に縁どられた繊細な美貌を綻ばせた。
 しかし、すぐに笑みを消して心を引き締めると、長いストレートの髪を靡かせながらマルタのもとへ歩み寄った。
「マルタ、どうしたの?」
「先ほど王城から使者がいらっしゃったのです。お嬢様宛てに、フィオナ様からの書簡を持ってこられたようなのですが、なんでも急ぎの用らしく、使者の方がすぐに内容を確認してほしいと」
「フィオナお姉様から急ぎの書簡だなんて、何事かしら。お父様は何か言っていらした?」
「それが、侯爵様には国王陛下から書簡が届きまして、すぐに目を通していらっしゃったのですが、その……何やら、ご立腹されているようで……」
 ノアは柳眉を寄せた。
 カストロフ侯爵家の次女フィオナは、ノアより三つ年上だ。今はユンドラ国王のもとへ嫁ぎ、王妃となっている。
 その姉から届いた、急ぎの書簡。
 父が立腹しているのなら良い知らせではなさそうだ。
「なんだか嫌な予感がしてきたわ」
 心を落ち着かせようと右手の中指に嵌めてある指輪を弄ってから、足早に城へ戻った。
 父の書斎へ直行すると、カストロフ侯爵が腕組みをしながら部屋をうろうろと歩き回っていた。
 侯爵は歴史学と魔法学の博士号を持っており、普段は城に閉じこもって研究を行なっている。学者らしく気難しい面もあるが、妻を亡くしてからは独り身を貫き、娘想いのよき父親だった。
 部屋に入るやいなや、侯爵が「フィオナからお前宛ての書簡だ」と言い、白い封筒を差し出してくる。
 ノアは封を開けて文面に目を走らせると、父を見やった。
「──お姉様の書簡によると、クティノス王国のアレハンドル公爵様と、わたしの婚約の話が出ているそうです。お姉様は反対していらっしゃるようですが、国王陛下が前向きに検討したいとおっしゃっていて、すぐに城へ来てほしいとのことです。お父様は陛下から書簡を頂いたのでしょう。そちらには、何と書かれていたのですか」
「お前とアレハンドル公爵との結婚を許可してくれと。文面こそ懇切丁寧に書かれていたが、ここでお前を嫁がせなければ、クティノス王国との国交に悪影響を与える、今後は資金援助も受けられぬと……まったく、脅しも同然ではないか」
 侯爵がそう吐き捨て、苛立ったように灰色の髪をかき上げる。
「すぐに支度しろ、ノア。ひとまず城へ行くぞ。国王陛下と直に話をするしかあるまい」
「分かりました、お父様」
 ノアは足早に自室へ向かった。顔には出さなかったものの胸中は複雑だった。
 アレハンドル公爵の本名は、ルイス・クティノス・アレハンドル。
 隣国クティノス王の甥で、十代の頃にニルヴァン皇国との戦で父親を亡くし、公爵位を継いだ男性だ。
 今や王国軍の軍隊長として才を発揮しており、クティノス王の信頼も厚いと聞く。
 ノアはルイスと面識があったが、正直なところ二度と会うことはないと思っていた。
 というのも、幼少期にルイスとの婚約が打診されて顔合わせまでしていたが、すでに破談になっていたからだ。
「あの方、まさか、今更わたしとの結婚を望んでいるのかしら……いったい、どういうつもりなの」
 一度は婚約を破棄しておきながら、またしても“カストロフの魔女”と結婚しようなどと、本気で思っているのか。

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