新しくカートに入れた電子書籍 すべて見る
カートを見る 合計金額(税込)0円
新しくカートに入れた電子書籍 すべて見る
カートを見る 合計金額(税込)0円

寂しがり王子様は私にだけ甘えたいらしい

本を購入

本価格:770(税込)

カートに追加しました
電子書籍を購入

電子書籍価格:770円(税込)

獲得ポイント:7pt
電子書籍を閲覧するにはビューアアプリ「book-in-the-box」(SHARP)をインストールしてください。
書籍紹介

君が撫でるのは俺だけで良くない?

女好きで有名なジュリアン王子の婚約者候補に選ばれたプリムローズ。
実際に会ってみると、どうやら人嫌いらしく、噂は嘘だとわかって――。
優しくお世話していたらワンコのように懐かれてしまい!?
「君だけが俺を甘やかせるんだ」
壁ドンからの、蕩けるような囁きとキス。
巧みな愛撫に初心な身体は火照り、情熱を受け入れたら幸せに満たされて。
甘えたがり王子様の超・執着愛!

ジャンル:
西洋 | ファンタジー
キャラ属性:
王子・王族・貴族
シチュエーション:
玉の輿・身分差 | 新婚 | 甘々・溺愛
登場人物紹介

ジュリアン

女好きと噂なのに婚約者候補を次々と断っている王子様。いつも複数の女性を侍らせているけれど、一定の距離以上は決して近づかせないことをプリムローズに気付かれて……。

プリムローズ

クレイブマートル伯爵家の長女。面倒見の良いお姉さん。報奨金目当てで婚約者候補になるが、ジュリアンと実際会ってみると、噂とは違うようで……?

立ち読み

 チェスナット王国。
 宝石や鉄鉱石が豊富に採れる、大陸の北側に位置する国だ。
 交易が盛んなので国は豊かだが、気候は厳しい。
 特に冬は長く、耐えがたい寒さが続くことで有名だ。
 三百年前に中立を宣言してからは戦争らしい戦争はない。もちろん国内でのもめ事は多少あるけれど、国同士の諍いに比べれば些細なものだ。
 そんな国の、クレイブマートル伯爵家の長女として生まれたのが私、プリムローズ・クレイブマートル。
 金髪に薄い茶色の目。
 この国では比較的よく見る色合いで生まれた私には、四人の弟妹がいる。
 弟がふたりに、妹がふたり。
 家族仲は良いが、我が家はとても貧しかった。
 伯爵家といっても、名前だけ。
 二十年前に祖父が新しく立ち上げた事業に失敗し、財産の九割を失ってしまったことが原因なのだけれど、今もその時の借金が残っているので、貧乏暮らしが続いている。
 歴史だけはある大家族の貧乏一家。
 それが現在のクレイブマートル伯爵家なのである。
 給金を払えないという理由で、使用人だって五人しかいない。
 五人……正直、屋敷を維持するには厳しすぎる人数だ。
 何せ、広い屋敷には人手と金が必須なので。
 どうにかお金を工面しなければならない。だけど父は城に勤めてはいても、閑職にも等しい、王城にある図書室の司書。
 更に言えば、野心なんて微塵もなく、暮らしていけるのならこのままでも良いじゃないかと本気で言ってしまえる人だった。そしてそれは母も同じで。
 そういうわけだったから、貧乏から抜け出せる予兆もなく、私は弟や妹の世話をしながら家族と日々を細々と暮らしている。
 生活に不満があるわけではない。
 私自身、贅沢は好まないし、家族が大好きだから。だけどもう少し生活が裕福になれば、弟や妹たちに好きなものを買ってあげられるのになと考えることはあった。
 貧乏が理由で、欲しいものを我慢させることも多かったから。
 我が家の財政事情が厳しいから仕方ないのだけれど、それだけは可哀想だなと、そう思っていたのだ。
 そんなある日、城に勤める父が、とんでもない話を持って帰ってきた。

◇◇◇

「プリム! プリム!」
 玄関ロビーで父が私を呼んでいる。
 末の弟に強請られ、ソファで膝枕をしてあげていた私は、頭を撫でていた手を止めた。
「あねうえ」
 不満そうに弟が私を見る。手を止められたのが嫌だったのだろう。
「ごめんね、アッシュ。お父様が呼んでいらっしゃるみたい」
 退いてくれる? とポンポンと優しく肩を叩くと、弟は「はあい」と身体を起こした。
 まだ六歳の弟は、とても甘えん坊だ。
 手の回らない両親に代わり、ほぼ私が育てたせいで、特に私に対しての甘えが酷い。
 まあ、特に困ってはいないのだけれど。
 好意を前面に押し出して懐いてくる弟は可愛いのひとことに尽きるから。
 ごめんねともう一度弟に謝り、ソファから立ち上がる。
 私がいるのは子供部屋だ。
 部屋の中にはぬいぐるみや玩具が溢れている。どれも使用人や私のお手製だ。
 使い込まれた古びたベッドではもうひとりの弟が昼寝をしていた。
 部屋にはふたりの妹もいたが、彼女たちは私が先日作ってあげた手縫いの人形で遊んでいて、私のことなど見向きもしなかった。
 そっと部屋を出る。
 絨毯も敷いていない廊下を歩くと、時折床が軋んだ音を立てた。そろそろ手を入れなければならなさそうだ。
 古い屋敷なのであちらこちらにガタが来ている。修繕はしているけれど、なかなか追いつかないのが現状だった。
「お父様、お帰りなさい」
 階段を下りる。玄関ロビーには父だけではなく母の姿もあり、父の上着を受け取っていた。執事は馬車を戻しにいったのだろう。
 使用人が足りない我が家では、ひとりひとり、複数の仕事を掛け持ちしなければ成り立たないのだ。
 私の姿を認めた父が「プリム」と呼ぶ。
 私はプリムローズという名前だが、家族にはプリムという愛称で呼ばれているのだ。
 父は私にただいまのキスをすると、じっと私の目を覗き込んできた。
 ちょっと困ったような顔をしている。
「ただいま。実はね、プリムに話があるんだ」
「話、ですか?」
「うん。あまり、良い話とは言えないんだけど」
「?」
 母を見る。
 すでに父から聞いているのか、母は微妙な顔をしていた。
「お母様?」
「まずはお父様から話を聞きなさい」
「……はい」
 窘められ、頷いた。父を見る。父は眉を下げ、どこか申し訳なさそうな顔をしながら言った。
「実はね、お前に婚約の話が来たんだよ」
「……え」
 婚約。
 突然出てきた言葉に動揺した。予想すらしなかったからだ。
 私は今年十九歳になる。
 普通の貴族令嬢になら、婚約者くらいいても当然の年齢なのだけれど、何せうちは貧乏伯爵家。
 持参金など用意できるはずもない。しかも借金だって残っている。
 そんな家の娘を貰おうなんて奇特な家などなかなか現れるはずもない。だから私自身、結婚はまだ当分先だろうなとなんとなく思っていた……のだけれど。
「えっ、えっ……婚約って……相手はどなた、ですか?」
 結婚願望自体は人並みにある。
 子供は好きだし、いつか家庭を持ちたいと思っていたので、純粋に結婚相手が気になった。
 借金があるような家の娘を貰おうなんて、一体どんな物好きなんだろう。
 年の離れたお爺さんだろうか。それとも性癖に問題のある人?
 父がそんな話を持ってくるとは思わないが、母が微妙な顔をしていたことを思い出せば、期待はできなかった。父も、良い話ではないと言っていたし。
 ドキドキしながら父を見る。
 父は言いづらそうに口を開いた。
「……婚約とは言っても、実際は婚約者候補というお話なんだけどね。それで分かってくれたと思うけど、お前のお相手はジュリアン殿下だ。お前も知っているだろう? 我が国の第一王子にして王太子。あのお方だよ」
「ええっ!?」
 予想の斜め上すぎる名前が出てきて目を丸くした。
 ジュリアン王子。
 今年二十五歳となる我が国の第一王子を、もちろん私は知っていた。
 黒い髪と新緑の瞳が有名な、甘いマスクが魅力的な王子様。
 優秀な頭脳を持ち、将来有望とされる我が国の跡継ぎである彼は、同時に大の女好きとしても知られていた。
 整った容貌と王太子という立場の彼は、当たり前だがモテる。
 寄ってくる女性は星の数ほど。そしてそんな女性たちを彼は笑顔で侍らせていると、そういう話なのだ。とはいっても、誰かを愛妾に召し上げたという話はまだ聞かないけれど。
 その第一王子であるジュリアン王子が私の婚約者? そんな馬鹿な。
 将来を期待される王子の妃として宛がわれる女が、借金持ちの貧乏伯爵家の娘とかありえない。
 信じられなかった私は父に詰め寄った。
「冗談でしょう、お父様。殿下と婚約なんて……誰が見たって不釣り合いです」
 伯爵家というだけなら釣り合わないこともないが、そこに『借金』がつくと話は別だ。
 没落し切った家の娘が王子に相応しいはずがない。
 だが父は首を横に振って否定した。
「残念ながら冗談ではないんだよ。その……だね。お前も殿下が女性をお好きなのは知っているだろう?」
「……ええ、それは……はい」
 王子の女好きは国民の多くが知っていることだ。
 頷くと、父は頬をポリポリと掻きながら言った。
「殿下が常に女性を侍らせているというのは嘘ではない。だけどね、その噂には間違いがひとつあって」
「はあ……」
 怪訝な顔で父を見る。
「殿下は、今まで一度も女性たちに手を出したことがないんだよ。本当に、誰ひとり。ただ、側に置いて楽しんでいるだけなんだ」
「はあ? 女好きなのに?」
「ああ。陛下も宰相も言っていたから間違いない。手は出さず、ただ侍らせているだけなんだとか」
「……」
 言葉の意味が、本気で分からなかった。
 だってチェスナット王家は、直系男子が多くの女性に手を出し、子を作ることを喜ぶ風潮があるからだ。
 そもそも王家は婚約自体、肉体関係を持たなければ正式に認められない。
 それまでは婚約者候補という扱いで、性的な関係に発展して初めて、正式な婚約者とみなされるのだ。
 その後に結婚。
 それがチェスナット王家の婚姻のしきたり。
 大昔、愛のない結婚をし、故に性的な関係を持たず、結果的に後継者が生まれなかった王族がいた。
 王家はそこで直系が途絶え、大変困ったことになったとか。
 結局、傍系の男子が王位を継ぎ、なんとか現在まで血を繋いでいるのだけれど、二度とこんなことがあってはならないと、それ以来、きちんと性的関係を結ばないとまず婚約すら許さないという話になったのだ。もちろん、愛妾だって大歓迎だ。
 少しでも多くの子供を残してくれる方が良い。そういう考え方なのである。
 理屈としては分かるし、王家が途絶えるなんてことになっては大問題。
 だから私も王子が女好きと聞いても、「ああ、そうなんだ。まあ王家のためにはそれくらいの方がいいよね」としか思わなかったのだけれど。
「え、え、え……? どういうことなんです、それ?」
 もしかして王子は不能だったりするのだろうか。
 言葉にはしなかったが言いたいことは伝わったようで、父は苦笑しつつ首を横に振った。
「いや、至って健康だそうだよ。どこにも問題は無い。それなのに頑として受け付けないという話でね。しかも、普段侍らせている女性たちだけではなく、今まで殿下の婚約者候補として挙がった全員。結果として皆、手を出されず、婚約を結ぶことができないままその座を降りているんだ。その数なんと二十人以上」
「にじゅうにんいじょう……」
 とんでもない数だ。戦く私に父が更に言う。
「しかもその全員が殿下の閨にさえ立ち入らせて貰えていない」
「嘘でしょ。どんな気難しい方なのよ。一体何が気に入らなかったの」
 思わず突っ込みを入れてしまった。父が苦笑しながら答える。
「それは誰にも分からないよ。聞いても答えて下さらないらしいから。でもね、結果として、どんどん殿下のお相手となる令嬢がいなくなって、今や誰も候補にすらなりたくないと敬遠されているのは事実なんだ」
「うわ……」
 それはそうだろう。
 婚約者候補として招かれているのに、閨にすら立ち入らせて貰えないのだ。
 女性としてのプライドはズタズタだし、しかも何が気に入らないのか分からないとか、難易度が高すぎる。
 そんな男、いくら顔が良くても誰だって断ると思う。
「当初目を付けていためぼしい令嬢たちは全滅。だけどこのままにはしておけない。陛下が次の相手をと言い……」
「お父様に声が掛かったという話、なのですか?」
 確認すると、父はこっくりと頷いた。
「そうなんだよ。そういえばお前のところには年頃の娘がいたな、と宰相が仰って。……陛下も期待した顔で私を見てきて、とてもではないけれど断れる雰囲気ではなかったんだ」
 それは父を責められない。
 国王に期待した顔をされて、「いいえ」が言えるだろうか。
 私が父だとしても「はい、喜んで」一択だ。
「難しく考えなくていいんだ。嫌な言い方だけど、お前も今までと同じで、お声が掛からないまま、婚約者候補を辞退するという話になるだけだと思うからね」
「それはそう、でしょうね」
 私が見初められるとは思わない。
 特別優れた容姿というわけではないし、家柄も没落した伯爵家では、王子だって嫌がるだろう。
 どうして王子が女性たちを拒んでいるのか知るよしもないが、私が行ったところで彼の琴線に触れるとは思えない。
 それに、それにだ。私だって王子が相手なんてごめんなのだ。
 結婚に憧れはあるし、できれば子供だってたくさん欲しいと思うが、それは自分に釣り合う相手がいればという話。
 王子の妃なんて考えたこともないし、私に務まるとも思えない。
 私が渋い顔をしていることに気づいた父が慌てたように言う。
「だ、だけどね、悪い話でもないんだよ。婚約者候補として城に上がる期間は最長半年。その期間を勤め上げれば、報奨金を出すと宰相が仰って下さって」
「報奨金?」
 現金な話だが、思いきり反応してしまった。
「そんなものがいただけるのですか?」
「それくらい、もう相手になる令嬢がいないということなんだよ。婚約者候補としてきちんと扱って貰えないことに耐えかねて、半年どころか二週間やひと月で自分の屋敷に逃げ帰る子もいると聞くからね」
「……」
 最初に選ばれた子たちは、当たり前だが家柄抜群、容姿端麗の令嬢ばかり。
 皆、婚約者になれる自信があったのだろう。だが、王子は閨を訪れないし、立ち入らせてもくれない。
 やがて耐えきれず彼女たちは……ということらしい。
 規定では半年手を出されなければ婚約者候補失格、という話だが、それまで耐えられた子の方が少ないと聞けば、乾いた笑いしか出なかった。
 しかし、父から聞かされた報奨金の額はなかなかで、無視できないものがある。
 借金を返せるほどではないが、日々の生活を豊かにはできる。そんな絶妙な金額なのだ。
 今、季節は春。半年後、冬がやってくることを思えば、貰えるお金は貰っておきたい。
 暖房のための薪だって決して安くないのだ。
 チェスナットの冬は長く厳しい。そのため、屋敷に籠もって過ごす日が増えるのだけれど、その時、懐を気にせず部屋を暖かくできるのは有り難いなと思った。
 それに、どうせ断れないわけだし。
 引き受けてくれたら──なんて言っているが、実際はもう決まった話なのだ。私に拒否権などなく、行く以外道はない。
 半年勤め上げれば、冬を越せるだけの資金が手に入る。そう考えれば、多少やる気にもなるというもの。
 ちらりと母を見る。母はすっかり期待した顔で私を見ていた。
 報奨金が嬉しいのだろう。分かる。
 だから私はこう答えるしかなかった。
「……分かりました」
 積極的に行きたいわけではないけれど、決まってしまったことだし、何より報奨金が美味しいから。
 短期間の仕事だと割り切れば、なんとかなるのではないだろうか。
「お城に行きます」
 殿下の、名ばかりの婚約者候補として。
「助かるよ、ありがとう!」
 父が涙目で私の両手を握る。その表情を見て、これは相当締め付けられたのだなと理解した。
 王子の婚約者候補なんて、普通は誉れ以外の何ものでもないはずなのに、我が国での扱いはこれとか、ため息しか出ない。
「でもまあ、大丈夫でしょう」
 これは、仕事だ。半年限定の仕事。
 そう、自分に言い聞かせる。
 こうして私は、泣きながら反対する弟妹たちに見送られ、不承不承ながらも半年頑張ればお役御免の仕事を引き受けることとなった。

おすすめの関連本・電子書籍
電子書籍の閲覧方法をお選びいただけます
ブラウザビューアで読む

ブラウザ上ですぐに電子書籍をお読みいただけます。ビューアアプリのインストールは必要ありません。

  • 【通信環境】オンライン
  • 【アプリ】必要なし

※ページ遷移するごとに通信が発生します。ご利用の端末のご契約内容をご確認ください。 通信状況がよくない環境では、閲覧が困難な場合があります。予めご了承ください。

ビューアアプリ「book-in-the-box」で読む

アプリに電子書籍をダウンロードすれば、いつでもどこでもお読みいただけます。

  • 【通信環境】オフライン OK
  • 【アプリ】必要

※ビューアアプリ「book-in-the-box」はMacOS非対応です。 MacOSをお使いの方は、アプリでの閲覧はできません。 ※閲覧については推奨環境をご確認ください。

「book-in-the-box」ダウンロードサイト
一覧 電子書籍ランキング 一覧

ジャンル・シチュエーション検索

 

ジャンル

キャラ属性

シチュエーション