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様子のおかしい陰キャを助けたら、ハイスペックイケメンだった件 王太子様は愛しの彼女を射止めたい 3

第三話

 

「美味しい……」
 アンドレアは、たまらない実感とともに告げた。
 今まで生きてきて、これほどまでに美味しく感じられるものを食べたのは初めてだ。
 たっぷりとスープを吸いこみ、柔らかくなったパンを噛みしめ、鳥肉の弾力も楽しむ。きのこに、さまざまな薬草の味も広がっていく。
 力がますますみなぎっていく感覚があった。
 食べ慣れないものもあったので、食べても大丈夫か、と一応は心の奥底で心配もした。だが、空腹のほうが遙かに勝る。それに毒殺するぐらいなら、わざわざ自分を連れて帰らずにあのまま放っておいて、餓え死にさせただろう。
 ――彼女は命の恩人だ……!
 アンドレアはなおも忙しく立ち働くマルティナを、目の端で捕らえた。
 彼女は市場で買ってきたものを、台所のあちらこちらに収納しているらしい。すんなりとした手足がよく動く。働き者だ。
 大きく澄んだ青い瞳は聡明そうだったし、桜色をした艶めいた唇が愛らしかった。あの顔をもう一度よく眺めてみたい。
 だが、なかなか直視することはできない。若い女性に慣れていなかったからだ。
 アンドレアは王城の奥深くにある王族だけが出入りするエリアに住んでおり、日ごろ身の回りの世話をしてくれるのは、万が一の事故を避けるための配慮がなされた年配の侍女ばかりだった。
 そんなアンドレアだったから、若い女性と触れ合う機会は舞踏会やパーティぐらいしかない。それでさえ、ほとんど出席せずにきたのだ。
 だから、片付けを終えたマルティナが同じテーブルに座っただけで、どきどきと心臓が鳴り響き、やけに緊張した。
「な、……なにか」
 見られているのを察して、アンドレアはその視線を避けて深くうつむいた。
 だが、視線の先に彼女の腕があった。自然とそこへ視線が引きつけられる。腕まくりをしていたので、肘から先が露出していた。
 白くて細い指と、その先についている桜色の爪を凝視してしまう。
 若い娘というのは、その肉体の隅々まで眩しいものだと思い知る。
 アンドレアはぎこちなく、指先からも視線をそらした。その途端、口に含んでいたパン粥が気管に入ってしまったらしく、咳きこんだ。
「…うっ、……っぐふ、ふ、ふ」
「大丈夫?」
「あ、ああ」
 アンドレアは手で口元を覆った。
 だけど、それくらいでは彼女の視線は遮断できない。
 視線に視線をぶつけて対抗できないかと、アンドレアは分厚い前髪の間から、そうっと彼女をうかがい見た。
 その途端、まばゆさに圧倒された。
 ――これは、何だ。
 飾り気のない素朴な美しさが、アンドレアの心をわしづかみにする。
 化粧をしていないのに、艶やかな桜色の肌とその深い青の瞳を引き立てる長いまつげ。
 若い女性というものは、これほどまでに魅力的だっただろうか。
 顔立ちもそうだが、その身体つきも魅力的だった。
 ほっそりとした首から肩にかけての、流れるようなライン。ボディスにつけた紐で、その魅惑のラインが強調されている。ボディスはその腰の細さだけではなく、胸の豊かさも伝えてくる。
 アンドレアは頭が真っ白になったまま、視線をそこからどうにかもぎ離した。
 ドキドキが収まらない。ずっと若い女性を避けて生きてきた。王城の舞踏会で顔を合わせる女性は、分厚くて動きにくそうなどっしりとしたドレスに身を固めており、素地がわからないほどに化粧を施していた。だから、彼女たちと相対しても、このように瑞々しさを感じたことはなかった。
 だけど、マルティナは夜露を宿す、摘みたての野の花のようだ。
「美味しかった?」
 見とれすぎたせいで、いったいどう返事していいのかわからなくなって、アンドレアはコクコクとうなずいた。それから、答えないのは失礼かもしれないと思って、あわてて言葉を継ぐ。
「とても美味しかった。入っていた薬草は、ソルガムか? それと、デフレグサ。……独特の苦みがあるのは、テフの根だ」
「そうよ。よく知っているのね。もっと差し上げたいけど、餓えきった後はあまり食べ過ぎないほうがいいから、今はそのパン粥だけよ。テフの根は苦いって嫌われることが多いけど、口に合った?」
 くすくすと、笑いまじりに話しかけてくれるのが嬉しい。その声をずっと聞いていたいと思いながら、アンドレアはうなずいた。
「とても美味しかった。テフの根を、こんなにも美味しく食べたのは初めてだ」
 初対面の人間と、しかも若い女性と話すのは苦手なはずだったが、ふわふわと全身が浮き上がって感じられるほどの高揚に包まれている。
 彼女と話すのはとても緊張するのだが、限りなく心地良いから、ずっと話していたい。
 アンドレアの言葉に、彼女が嬉しそうに微笑んでくれるからなおさらだ。
 視線を合わせるのは限りなく緊張するから避けたいのに、彼女の表情を一瞬でも見逃したくなくて、アンドレアはぎこちなく顔を向けた。
 その途端、彼女の瑞々しい笑顔が目に飛びこんでくる。
 分厚い前髪が顔面を覆っているから、彼女のほうからはアンドレアの表情はあまりうかがえないはずだ。
「私はマルティナよ。この薬草院で働いているの。ここの責任者はカルロといって、私のお師匠さまなんだけど、今は留守」
 彼女はもう一度名乗ってくれる。
 瑞々しい肌に、大きく聡明そうな目をした彼女には、ぴったりの名に思えた。マルティナ、と心の中で唱えただけで、心臓が止まりそうなほどの甘ったるい痺れが広がっていく。
「マルティナ」
 思わずその名を声に出してみたら、息が詰まった。
 ――なんだこれは。
 アンドレアは自分の異変に内心で驚く。先ほどから心臓がドキドキと鳴り響いて、落ち着かない。ふわふわと全身が宙に浮かんでいる気がする。熱病にかかったときのように、身体が熱い。
「僕はアンドレアだ」
「アンドレア。どこから来たの?」
 屈託なく尋ねられて、どう答えようか悩んだ。
 王城の外に出たら、自分の身分を隠す必要があった。それでも、マルティナに嘘は言いたくなかったので、奇妙な言い回しになった。
「来たのは、王都のあたりからだ。……僕はアンドレア。単なるアンドレアだ」
 フルネームを名乗ったら、その身分がわかってしまう。
「ふぅん?」
 それを警戒したからだと解釈したのか、マルティナは少し意地悪な表情になった。彼女の勘の良さが伝わってきたので、アンドレアは何だか息苦しいような気分になる。
 マルティナはアンドレアの顔をまっすぐに見据えて、ハッキリ言った。
「どこぞのお貴族さまのご子息かは知らないけど、別に玉の輿なんて期待してないから、警戒しないでいいわよ。私はここでの生活が、とても気に入っているの。ここから離れることなど、望んではいないわ」
 この国の貴族の子息は、年頃になると花嫁探しの旅に出るらしい。おまえもその一人かと、何度も旅の途中で尋ねられた。
 自分の風体は、いかにもそのように見えるのだろう。
 ――だが、そうではないのだ。
 自分はもっと、重大な使命を帯びている。
 浮ついた気分で旅をしているのではない。自分がその目的を果たすことができるかどうかに、この国の将来がかかっている。
 ――隣国の皇女を、軍事同盟のために娶る必要がある。
 なのに、どうして先ほど会ったばかりのマルティナのことがこんなにも心に残るのだろう。
 その視線にさらされるだけで、限りなく鼓動が高まる。
 緊張に、心身が引きしまる。
 だけど全てが未体験だったから、これが恋の萌芽なのだと、アンドレアが自覚することはできなかった。

 

 

 この薬草院に来た初日のアンドレアは、ぐっすり眠って英気を養ったが、翌日は朝早くからたたき起こされて朝食を振る舞われた。
 その後で、マルティナに薬草院内のあちこちを案内される。
 四方をしっかりとした石の壁に囲まれた、相当に広い施設だ。
「この薬草院の建物は、古代帝国時代に建てられたそうなの」
 アンドレアが見ても、ここが古代帝国の建築様式をそのまま受け継いでいるのがわかる。
 巨大な岩が組み合わされて、アーチを作っている。その岩はバルカン市の郊外から魔法を使って運ばれたと、書物で読んだ記憶があった。正確な切り出しやアーチ型に組み合わせるのにも、魔法が使われたそうだ。
 魔法なしで人力で石を運んでいたら、これほどまでの建物を市内の至るところに建てるなど不可能だったことだろう。
 建物の壁を支えるアーチの正確さや、そこに施された装飾など、アンドレアはその一つ一つに見とれて、目を見開いてしまう。
 古代帝国の施設や建物について本で知ってはいたが、実際に目にするのは初めてだ。王都には、新しい建物しかなかった。
 装飾のための大理石などは『暗黒期』に他の建物の建材として流用されてしまったそうだが、その基礎構造に使われた花崗岩の細工だけでもかつての栄光が感じられた。古びてはいたが、趣向を凝らした当時のモザイクなどが建物のあちらこちらに残っている。
「すごいな」
 このバルカン市に入ってからというもの、アンドレアは道の左右に建ち並ぶ巨大建造物と、その建築様式の優美さに圧倒されていた。
 この大陸を隅々まで支配していた古代帝国は偉大だったのだと、頭では理解したつもりでいた。だからこそ、このリパブルク王国に引き継がれた古代の書物をかき集め、特にその魔法についての研究に没頭してきたのだ。こうして目に見える形で突きつけられると、ただただ驚嘆する。
 マルティナが案内してくれた薬草院も、王城の中にある薬草園より規模が大きい。しかも、その中庭では図鑑でしか見たことのない、一際貴重な薬草が育てられている。
 薬草はどれも生き生きと育っている。
 まさに朝露を浴びたばかりという濡れた薬草の前で屈みこんで、アンドレアは言った。
「すごいな、ここは。こんなにも量があったら、水をやるだけでも大変だろう?」
 世話になるからには、対価を労働で支払ってくれとマルティナは言っていた。アンドレアにとっても、薬草は興味の対象だから、その世話をするのはやぶさかではない。
 しかし、これほどの種類と量のある薬草を育てているとは思わなかった。
 どこを案内してもアンドレアの称賛の声ばかり聞いてきたマルティナは、くるりと振り返って自慢気に腕を組んだ。
「そうでもないわ。ここには、古代帝国の水やりシステムが使われているの。とあるシステムを起動させるとね、……それだけで水が撒けてしまうのよ!」
 マルティナは楽しげにスキップを踏むような足取りで、アンドレアを中庭の隅にある柱の前まで案内した。
 そこにある給水の弁らしきバルブを、つかんで左に回していく。
 途端に、中庭の天井に張り巡らされた管から細かな水滴が降ってきた。その光景に、アンドレアは目を見張った。
「何だこれは」
「古代帝国のシステムよ! 仕組みはよくわからないんだけど、ここを回せば水が出てくるの。出てくる水は、タンクに補充してやる必要があるんだけどね」
 だが、アンドレアはその仕組みを調べずにはいられない。
 爛々と目を輝かせて配管を探りながら、その仕組みについて読み解こうとする。
「まず給水管は、圧がかかった状態で待機されている。こうしてバルブが動かされると、給水管越しに水が供給されて雨が降る。水が減ると、その圧力の低下を魔法で検知して、貯水槽から水が供給されるのか」
「魔法?」
 不思議そうに、マルティナがつぶやく。
 それには答えずに、アンドレアは給水管をたどって、地下にあった貯水槽までたどり着いた。そこの蓋を外して、中の仕組みを探っていく。
「貯水槽の中には魔法で制御された羽根車があって、遠心力も利用して水を吸いこんだり、吐き出したりを同時に行っているのか。大気圧も有効に利用しているな……!」
 まさに、物理と魔法のハイブリッドだ。
 失われし古代帝国の魔法技術を、こんな形で目にするとは思わなかった。
 古代帝国は魔法と技術を駆使して、生活しやすいようにあらゆるものを改善していった。そのための専用チームがあったらしい。システムさえ整えたら、魔法を使える人間でなくても、それはずっと使える。まさに今、マルティナが中庭に雨を降らせたように。
 その奇跡のシステムが、おそらくこのバルカン市内のあちらこちらに残っていることにアンドレアは興奮せずにはいられなかった。
「素晴らしい! 素晴らしいな、古代帝国は!」
 どうしてもっと早くバルカン市に来ていなかったんだと、身を床に投げ出して嘆きそうになる。王城から出なかったのは、ひとえに引きこもりだったせいだ。ひたすら古代帝国の書物を解析することのみに没頭してきた。
 だが、このようなものが今もなお動いているのを確認すると、街へ飛び出してそれらを確認したくなる。
「すまないが、マルティナ。僕はちょっと出かけてくる」
 いてもたってもいられなくなって、いそいそと早足で出口へと向かおうとしたアンドレアの襟首を、マルティナが無造作につかんだ。
「っぐ」
「どこに行くのよ」
 今までにこにこしていたマルティナが、こんなにもおどろおどろしく、怖い声を出せるとは知らなかった。
 動けずにいると、脅すようにささやかれる。
「あなた、身体で支払ってくれる約束でしょう? ここでの滞在費代わりに」
 マルティナの声が怖くて、反論などできそうにない。すぐにでも外に出て、この街のハイブリッド施設を見て回りたかったが、それは無理だとアンドレアは悟った。
「そ、……そのつもりだが」
「冬を迎える前に、ここにある草や実を採取して、貯蔵しておく必要があるの」
「な、なるほど」
「だけど、その薬草の採取や、木の実の収穫は、水やりのように簡単にはできないの。どうしても、人の手が必要なのよ」
「ああ」
 理解してうなずけば、マルティナがアンドレアの襟首をつかみ直してぐいと引いた。それからパッと手を離され、ふらついて両足を踏みしめると、その手に大きな籠が渡された。
「収穫するわよ。今から、昼過ぎまで」
 逆らうことは許さない、といったマルティナの迫力に、アンドレアは呑まれてうなずいた。
「……ハイ」
 薬草院の広い中庭に連れていかれて、大きなスペースを占めている薬草を片っ端から摘むことを指示される。
 それを行っていると、向かいで同じように摘み取るマルティナに尋ねられた。
「このバルカン市には、何の目的で来たの?」
 どう答えようかと、アンドレアは考えた。
 国の存亡がかかった問題だ。口外するわけにはいかない。だけど、嘘は言いたくない。
「このバルカン市には、古代帝国の遺産が残っている。それを調べて、蘇らせたい魔法があるんだ」
 今、国内で魔法はまず使われてはいない。子供が聞かされるおとぎ話の中に残っているだけだ。だから、魔法のことについて口にしただけで、相手はとんでもない時代遅れの遺物を目にしたような顔をするのだが、マルティナはすんなりとうなずいた。
「王様の命令で、古代帝国のあれこれが研究されているんですってね。そういう目的の人が、このバルカン市にいっぱいいるわ。それもあって、ここでは魔法薬にしか使わない珍しい薬草も育てているの。実際に、魔法がどこまで使えるようになっているかは、わからないんだけど」
 それでこの反応か、とアンドレアは納得した。
 実際に仕組みがわからなくとも、それを利用したシステムがバルカン市のあちらこちらに残っているから、マルティナは魔法についてすんなりと受け入れられるのかもしれない。
 それにバルカン市内には、古代帝国の魔法を復活させようとする研究者が大勢集まっている。マルティナは彼らと身近に接しているのだ。
「だったらあなたは、研究目的なのね。路銀を盗まれてすっからかんになっているみたいだけど、どこかの施設に所属するんでしょう?」
「あいにく僕は一匹狼で、好きに動くことを許可されている。ただ、問題は路銀だな」
 バルカン市は、国王の直轄領だ。その統治を国王に委託されている国王の従兄弟にあたる長官が、ここを取り仕切っている。長官とアンドレアは、幼いころから面識があった。
 その長官に、アンドレアが閲覧したい資料を保有していそうな施設への紹介状を書いてもらうつもりでいた。
 そのときに路銀を失ったことを話せば、用立ててくれるだろう。王都とも定期的に連絡を取っているはずだから、王城への手紙を託して、送ってもらってもいい。
 ――そうか。金が届くまでは、長官のところで世話になってもいいのか。
 アンドレアはそのことに初めて気づいた。
 旅に出てからというもの、通貨が果たす役割に驚き、その効果を疑わずにきた。それを全て失ってしまった自分は無力だと絶望していたが、アンドレアには王太子としてのツテがある。
 ――だが、長官のところで世話になってしまったら、マルティナとはこれっきりだ。
 薬草を用立ててもらうときに顔を合わせることはできるだろうが、彼女が作ってくれる粥をご馳走になったり、より長い時間を過ごしたりすることはかなわなくなるだろう。
 それがアンドレアにとっては、何より我慢がならないことだった。
 他人と一緒にいることを望むなんて、まずないことだ。何事も一人で動くのが楽だ。この旅に出るときも、供のものがついてくるというので必死で早起きして抜け駆けしたくらいなのだ。そのおかげでポンペオ砂漠を渡るのに難渋したが、それでも一人旅がいいと思っていたのに。
 そこで、アンドレアは力強く言った。
「路銀のあてはない!」
「だったら――」
「身体で返そう! しかし、申し訳ないが、毎日ずっと働くわけにはいかない。僕には、しなければならないことがある。午前中なら、何でも君の言う労働をしよう。だが、午後は僕の自由にさせてくれないだろうか」
 他人との接触が苦手なアンドレアにしては、堂々とよどみなく言えたと思う。
 だが、この条件はアンドレアにとって絶対だった。マルティナのために全てを擲(なげう)って労働したくもあるのだが、国を救うための手立てについても研究しなければならない。
 若い女性は苦手なはずだ。どうしてマルティナとそんなに一緒にいたいのかわからない。一人のほうが好きなはずなのに。
 マルティナが身勝手な自分の条件を、どう考えてくれるのか不安になる。
 息を詰めて返事を待っていると、あっさりうなずかれた。
「わかったわ。だったら、午前中は働いてくれるのね」
 どこか嬉しそうに言われて、アンドレアはその表情に魅了された。
 ――その条件でいいのか?
 マルティナから視線をそらすことができないまま、呆然とうなずいた。
「ああ。午前中は、全身全霊で労働する。何でも、君が言うがままにつくす」
「よかった」
 さらにマルティナは、アンドレアの言葉にとても嬉しそうに笑ってくれた。
 ドキィィンと、心臓が止まりそうになる。
 自分の反応が、彼女を喜ばせたのだろうか。
 そう考えただけで、ぞくりと背筋に鳥肌が立った。もっともっと、彼女を喜ばせたくなった。
 ――何だこれは。
 彼女を前にすると何も考えられなくなるし、ただうなずくだけのことを繰り返してしまうのだ。

 

 

 


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