王子様から逃げ切った転生シンデレラですが、魔法使いの公爵閣下と溺愛ハッピーエンドを目指します 1
私は、アタナシア・モルベルト。
アダム・モルベルト男爵の娘で、とある秘密を持って生まれてきた。その秘密の箱の鍵が開いたきっかけは、お母様の死だった。お母様は、私が十歳のときに流行り病で亡くなり、そのときに自分が何者であるかを思い出したのだった。
お母様が亡くなったその日。私は不意に自分の前世を思い出し、そしてこの現世は童話『シンデレラ』の世界であり、主人公のシンデレラに転生している事実に気がついた。
前世の私は日本人のファッションデザイナーだった。そして二十九歳のときに交通事故に遭い、目覚めたらこの世界に生まれ落ちていた──というわけだ。
十歳まで自分がシンデレラであることに気がつかなかったのは、なんの因果なのだろう?
そもそも、物語の人物に転生するなんて非現実すぎるのだが、現実の話だった。私はシンデレラとしてこの世界に存在する。
(どれだけシンデレラに縁があるのよ……)
私には前世でやり残してきた仕事があった。
ファッションデザイナーだった私は『シンデレラ展』に出品するドレスの製作を任されていた。
ドレスを製作中の深夜。エナジードリンクがそろそろ効かなくなってきたなと思うほど徹夜続きで、ふらふらになりながら帰宅している途中、車に轢かれそうな猫がいた。その猫を助けるためにとっさに道路に飛び出し──私は車に撥ねられて死んでしまった……のだろう。
(そういえば、あの猫ちゃんは無事だったかしら……)
そして自分がそのシンデレラに転生したと気がついた二年後に例の継母たちが登場したのだけれど、私が知っている『シンデレラ』とは少し違う展開があった。
──なんとこの世界の『シンデレラ』には、スーパーダーリンな幼馴染がいたのだ。
その幼馴染は、父が王弟であり外務大臣でもある公爵の子息、シリウス様だった。
いやいや、そんなキャラクター『シンデレラ』に出てこないでしょ。と、思っていたのだが、私が十歳のときには彼はすでに幼馴染として登場していて、仲良く一緒に遊ぶ関係だった。
癖がなく艶々したブルーシルバーの髪と宝石のように輝く緑色の瞳を持つ、眩しいくらいに美しすぎる幼馴染は、少なくとも私が過去に読んだことがある絵本の『シンデレラ』には登場しなかった。とはいえ、現世でシリウス様が登場していたのは私にとっては救いで、お母様が亡くなる前から、彼にはまるで妹のように可愛がられていた。
シリウス様のお父様と、私のお父様が外務省で働いていたから、二人仲良く王城の庭で遊んでいた。それというのも、夫が外務省に勤める夫人たちのお茶会が度々開かれていて、それには子供同伴が可能だったので庭で遊ぶことができたのだ。
それはそれはマイペースに庭園の花を摘んで花束や花冠を作ったり、秋には木の実を取ったり走り回ったり、やりたい放題だった。
あるときはシリウス様が王立図書館から植物図鑑を持ち出してきて、私たちは花を観賞した。花の名前を教えてくれるシリウス様と一緒に過ごすのは本当に楽しかった。彼が最初に名前を教えてくれたガーベラは、私の大好きな花になった。
だけど、そのシリウス様と離れ離れになってしまう。
シリウス様は、彼のお父様が複数持つ公爵領のうちのひとつを十六歳のときに継承し、そこの領主になった。そして、領主としての勉強と引き継ぎのために、彼は王都から離れ公爵領に行ってしまったのだ。
それは、モブキャラの彼が『シンデレラ』から退場するための出来事だと思わされた。
──と、私は考えていたのだが、その後、考えていたものとは違う展開がやってくる。
私とシリウス様は、『シンデレラ』の一大イベント“ガラスの靴を落として、王城から逃げ出す”が発生後、再会することになった。
零時が過ぎてしまって帰りの馬車を無くした私を、シリウス様が助けてくれた。モブキャラであるはずの彼が再登場する場面だった。
そうして私とシリウス様は、隠れ家にすべくキープしておいた私の家へと向かった。
◇◇ ◇◇◇ ◇◇
私は新しい人生をスタートさせるために、あらかじめ店舗兼住居を確保しておき、そこでドレスショップを始めるつもりだった。
子供相手に物件を貸してくれるところなんてなかったから、私は普段から相談相手としてお世話になっていた、料理屋のアレッタ・マウエンさんに仲介をお願いして、物件を紹介してもらった。
持つべきものは親切な大人の知り合いである。買い出しのついでに料理屋でご飯を食べていたおかげで知り合えたのだからラッキーだ。(家では継母が意地悪をして、食事を私に作らせておきながら、私には食べさせないということをしていたのよ)
そして物件を借りるためのお金は、お母様の遺品の貴金属を換金して捻出した。
放っておいても継母たちに売られてしまうのだから、先手を打ってお母様の貴金属類はいつか家を出るときのためにと、お母様が亡くなってすぐに秘密の場所に隠しておいた。
お父様がお母様を溺愛していたので、お母様に湯水のごとく宝石やドレスをプレゼントしていたからジュエリーの類は山ほどあった。それこそ慎ましく暮らせば一生を賄えるくらいに。
──そうして紹介してもらった家に私は逃げてきて、シリウス様とふたりきりの時間を過ごしていた。
「…………もう、本当に離れ離れにならなくていいんですよね?」
私は、シリウス様が腕につけている紫の石がついたブレスレットに触れながら聞いた。
このブレスレットは、シリウス様が公爵領に旅立つときに、私がプレゼントしたものだった。
自分の瞳の色と同じ、紫の石がついたブレスレットに願いを込めていた。二度と会えなくなっても、シリウス様が私を忘れませんように──と。
「もうどこにも行かない。もし、どこかに行かなければならないようなときは、必ず君を連れて行く」
「はい」
「アーティも、これからはずっとつけていて欲しい」
私はエメラルドのネックレスをつけていた。それに彼の指が触れてくる。
──このネックレスは私がブレスレットを渡したときに、彼がプレゼントしてくれたものだった。
ティアドロップ型にカットされたエメラルド。その宝石がついたネックレスを私はとても気に入っていた。だから継母たちの目にとまらないように、身につけず隠していた。見つかれば取り上げられ売られてしまうからだ。
これが彼との唯一の繋がりのように思えていたから、絶対に失いたくなかった。
「……一度くらい、王都に戻ってきて欲しかったです」
私の恨み節に、彼は苦笑していた。困らせてしまったかな? でも再び出会えるのであれば、シリウス様を思い出して心を痛めることもなかったのだもの。
「ああ。私も……戻ってきたかったし、アーティに会いたかった。だけど一度箍が外れてしまえば、自分の感情をどうにもできなくなるとわかっていたから、戻らなかったんだ。それくらい、アーティが好きだった」
顔がボッと熱くなる。甘い言葉には慣れない。というか、箍が外れるってどういうことかな?
「い、忙しかったというわけではなかったんですね……」
「それなりに忙しかったが、それでも王都に戻れないほどは忙しくはなかったよ……まぁ、アーティが泣き言のひとつでも手紙に書いてくれれば、飛んで帰ってきていたかもしれないけどね」
ふふっと笑って彼が言う。
……そうだなぁ……普通の十二歳の女の子だったら、寂しいという言葉ひとつくらいは書いたかもしれない。
だけど中身がアラサーでシンデレラの私は、その類の言葉は徹底的に手紙に書かなかった。
無邪気にもなれず、物語から退場したとばかり思っていたシリウス様に、甘えられなかった。それでも寂しかったのは事実だったので、彼に感情のまま伝えておけば良かったと思った。
「すっごく寂しかったです……」
「……家のことも、辛かったね。助けてあげられなくてすまなかった」
「あぁ……カルラさんたちのことはいいんです。財産目当ての結婚なのは、初めからわかっていたので」
「それに君を使用人扱いして働かせていたんだろう? 手もこんなに荒れて……かわいそうに」
「……大丈夫です。これからはシリウス様が傍にいてくれるから……」
不意に視線が絡み合う。緑色の瞳が甘く輝いている。
「アーティ、愛している」
彼からの愛の囁きは心地いい。心を丸ごと抱き締められている感じがするから。
「……大好きです。これからも、ずっと」
シリウス様の顔が近付いてきて、唇にキスをされる。初めてのキスは胸がきゅんと切なくなって、蕩けそうだった。
「大好きです……」
嬉しい、幸せ。そんな感情で心の中がいっぱいになっていく。
そしてシリウス様はいつの間に用意していたのか、ダイヤモンドの指輪を私の左手の薬指に嵌めた。
大きいダイヤモンドの周りを小さなダイヤモンドがぐるりと囲っていて、キラキラと眩しく輝いている。とんでもなく豪華な指輪だった。
「綺麗……素敵です」
「君のために作らせたんだ……結婚しようね。アーティ」
再びキスされて、今度はベッドの上に押し倒される。
緑色の彼の瞳が私をじっと見つめていた。心臓は緊張からかドキドキと鼓動がうるさかったが、私は彼の背中に腕を回した。
「幸せすぎて怖いくらいです」
シリウス様がそっと私の頭を撫でてくれる。
「君は“この家”に住みたい?」
「……住みたいというか……私ここでドレスを作って販売したいと思っているんです」
「ん、そうか」
「……だめ、でしょうか?」
私は不安でいっぱいの表情をしたが、彼は優しく微笑んでくれる。
「いいや、アーティの好きにすればいいよ。ただ、住む所は私の邸にして欲しいけれど」
「はい! それはもちろんです。ありがとうございます! 本当、大好きです、シリウス様っ」
私はぎゅううっとシリウス様を力いっぱい抱き締める。
(んんん~……やっぱり、思っていたより……逞しいわ)
肩や腕や胸にしっかりとした筋肉を感じる。男性はみんなこんなものなのだろうか? 前世でも男性を抱き締めた経験がないのでわからない。
急に自分の行動が恥ずかしくなって腕の力を弱めれば、彼が耳元でそっと囁いてくる。
「どうした? もっと強く抱き締めてもいいんだよ」
「あ、あの……ちょっとだけ、恥ずかしくなりました。大胆すぎかなって……思ったので」
シリウス様がふふっと笑う。
「今夜は寝かせるつもりはないから、大胆なくらいでちょうどいいよ?」
「えっ、それって、どういう……」
顔に火がついたように熱くなる。彼は、といえば艶めかしい表情でこちらを見ている。
待って! それって、それって……私がシリウス様に抱かれるってこと?
いくら中身がアラサーとはいえ、ファーストキスを終えたばかりの私には刺激が強すぎる。
「あ、の……シリウス……様?」
「言っておくけど、我慢はできない」
ちゅっと短いキスが与えられる。何度かそれが繰り返されて、シリウス様が私の瞳を覗き込んでくる。
「あぁ……凄く可愛いね、アーティは。それに……とても綺麗になった」
「……本当に、そう、見えますか?」
そうだとしたら、嬉しい。
「もちろんだよ。小さい頃から君は可愛かったけど、今はすっかり素敵なレディになった」
ネグリジェの前ボタンを次々と外していきながら、開けた部分にシリウス様が唇を滑らせていく。
「アーティ……好きだよ」
「わ、私も……好、き……ひゃっ」
ネグリジェの布越しに乳房が揉まれる。ふにっと彼の手の中で胸の形が変えられて……妙な感覚が湧いた。
「ふ……ぁ」
彼の指先がまだ固くなっていない乳首をこね回す。
(……っ、恥ずかしい……シリウス様は……今何を考えているのかしら)
右手で顔を隠しながら、ちらっとシリウス様の様子を窺っていると彼は笑う。
「どうかしたのか?」
「……私、凄く恥ずかしいのですが……こんなとき、シリウス様は何を考えているのかなって……思っています」
「考え……? あぁ、そうだな……どうしたら君の無垢な身体を蜜で濡らせるのだろうかと考えているよ」
「ひゃっ……」
想像以上の恥ずかしい言葉が彼の口から出てきて、羞恥心からか身体が火照った。
「なっ、何を仰るんですか!」
「アーティが聞くから答えたんだけど?」
聞かなければ良かったかも……と思っていたが、シリウス様は私のゆるくウエーブがかかったプラチナブロンドの髪に口付けたり、耳朶にそっと舌を這わせてきたりする。
(せめて前世で一度でも体験していれば、もっと落ち着いていられるんだろうけど……)
残念ながら仕事一筋で生きてしまったので、最後の最後まで男っ気なんてなかった。
素肌を触れ合わせるためにお互い全裸になると、緊張は頂点に達した。怖いわけではないが、身体がぶるぶると震えてしまう。
「大丈夫だよ。可能な限り優しくするから、怖がらないで」
「こ、怖くはないんですが……緊張してしまって……」
「……大丈夫……まだ挿入しないから」
シリウス様の指が花芯に伸びてきて、そこに触れる。じんわりとした快感が湧いて、つま先まで痺れるようだった。
「……っん」
甘い息が漏れている唇を塞がれる。ぬるりと濡れた舌が口腔内に入り込んできた。優しくついばむような口付けとは違って、舌を絡ませ合うそれは、幸福感よりも興奮が上回ってしまう。
(……ディープキスって、こんな感じだったの……?)
ひたすら仕事に忙殺される日々で、愛を探し求める余裕などなかった前世。そのことに後悔はないけれど、シリウス様みたいに美しい男性から激しい口付けをされれば、自分自身を丸ごと求められているような錯覚に陥って、それが悦びへと変わっていた。悦に浸る自分の感覚には慣れない。でも、もっと欲しいという感情が湧き上がってくる。
「う、うぅん……シリウス様……好き、大好きです……」
誰かを心から好きだと思ったり、欲しいと思ったりするのも、彼が初めてだった。自分の心が、シリウス様に魅了され惹き寄せられる。身体の快楽以上に、心が揺さぶられて切なくなる感覚が気持ち良かった。
シリウス様に好きだとか可愛いとか言われるたびに、胸が甘く痛む。その感覚さえ愛おしい。もっと言われたいし、言葉通りに愛されたいと思えた。
「愛してる……シリウス様……」
「あぁ、愛しているよ……アーティだけが愛しい」
「……嬉しいです……」
愛される悦びに心が震えた。愛から溢れる言葉の甘い蜜を味わい尽くしたいと考えるほどに、シリウス様の言葉に酔わされる。そして身体の快楽も増していって、触れられるところがどこも気持ち良く感じた。
「……っう、ん……」
「指を入れるよ……」
「……は、はい」
身体の中にシリウス様の指が入ってきた。じゅくっと音がしたのは、自分の内部が蕩けているから? 心臓がバクバクと早鐘を打っている。
「ふっ……う、あ……」
「……アーティの中……温かいね。早く君のぬくもりに包まれたいよ」
言い回しが上品なのはさすがだと思ってしまう。
今は恥ずかしい言葉を言われても、媚薬にしかならないだろうけど、下品さはシリウス様には似合わない気がした。
彼はいつもキラキラしていて、綺麗で、眩い宝石のイメージだった。
陶磁器のような彼の白い頬に唇を寄せると、優しく微笑んでくれる。こういう場面であってもシリウス様の笑顔は美しく、愛おしいと思わされて胸がきゅんとする。その胸の震えがまた気持ちがいい。
「んん……もぉ、本当に好きでどうにかなっちゃいそうです」
「どうにかなってもいいよ? どんなアーティでも大好きだから」
最奥に彼の指が触れてきたから、ひくっと身体が揺れた。くらくらと目眩がする。甘ったるい快感が湧き上がって、支配されるのに時間はかからなかった。花芯と同時に最奥に触れられれば、腰の痺れが強くなっていく。
「あ、待ってください……どうにか、なりそう……」
「どうにかしようとしているんだよ」
ふふっとシリウス様は優しい声で囁いてくる。
体内がかき回される。花芯に蜜を塗りたくって、彼は指の動きを速めていった。
……もうこれは、彼の動きに身を任せるしかない。
そう思った次の瞬間、パチンと身体の奥の何かが弾けた。なんだか凄く強い感覚に身体を支配されて、堪らず声が上がった。
「ああああああ……あっあ!」
ずるっと彼の指先が体内から抜けてすぐに、シリウス様の逞しいモノが一気に入り込んできた。
「ひゃああああっ」
凄く硬いモノが挿入ってきたと思った。これが男性の身体なのかと驚かされた。
おんなじ人間が持つものとは到底考えられないと、私は実に処女らしい感想を抱いた。初めての挿入時は痛いと聞いていたが、そこまでの痛みは感じなかった。圧迫感は凄かったけれど。
「……大丈夫?」
シリウス様の囁きを聞いて瞳を開けると、すぐ目の前に綺麗な緑色の瞳があった。じっと見つめると自分の顔が映っているのが見えた。
「大丈夫です……シリウス様の瞳に、私が映ってる……不思議な感じです」
「アーティの瞳には私が映っているよ。君の紫色の瞳はキラキラ輝いていて本当……綺麗だね」
「私……凄く幸せです……」
身体が交わる行為が、こんなに素敵なものだなんて知らなかった。繋がっているのが嬉しくて幸せで、今、この瞬間、お互いを独占しているという事実が何より幸せだと感じた。
ぎゅっとシリウス様を抱き締めれば、彼も同じように抱き締め返してくれる。
「大好き、好きです。シリウス様」
「ふふ……会えなかった四年分、甘えてくれていいよ」
「はい、いっぱい甘えたいです」
昔からただひたすら、シリウス様は私を甘やかしてくれていたような気がする。
(この四年間、よく我慢できたわね……私……)
手紙に書かれていた『大好きなアーティへ』という文言を真に受けてはいなかった。社交辞令だと思っていた。だから私も同じように『大好きなシリウス様へ』と返していた。
──でもシリウス様のそれは社交辞令ではなかった。なんて素敵なことだろう。
「幸せすぎて、夢を……見ているみたいです」
「夢なんかじゃないよ」
ちゅっと額にキスを落とされて、シリウス様は身体を揺らし始めた。ほんの少しの痛みと大きな快感が、身体を包み込む。
「あっ、あ……気持ちいい……っ」
「……私もだよ、アーティ」
「あ……あぁ、凄い、もう……なんか……わかんないけど……ん!」
つま先がびくっと跳ねる。
「……っは……っぁ」
「あ、あああっもう、ああ……」
さきほど感じた強い感覚が再び私を襲う。シリウス様が激しく腰を動かし、最奥を突いてきて、その気持ち良さが頂点に達する。
「あああああっ……や、ぁ……いいっ」
「はぁっ……アーティ……私も、もう……」
蕩けるような大きな快感の後、体内に生ぬるいものを感じた。息を荒らげたシリウス様が達したのだろう。
実体験はなくても、行為のあれこれを多少は知っている。
(あぁ、私の中にシリウス様が吐精されたのね)
なんだか凄い、ただひたすらに凄い行為だと思った──。
そしてその後も、こんなにたくさん愛されていいんだろうかと思うくらい抱き合って、空白の四年間を埋めるように一晩中彼に抱かれ続けたのだった。