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没落令嬢ですが、エリート魔術師(童貞)のえっちな被験体になりました 2

第二話

 

 

 ユベールはリゼを見るなり眉を寄せたが、小さく頷いてフォークを壁に立てかけた。
「お父様が酷いの。わたしに黙って──」
 リゼは早口に、無理矢理婚約させられそうになったこと。相手の少年が偉そうで、声が大きくうるさかったこと。相手の母親の化粧が濃かったこと。父が婚約を薦める理由。
 感情のままに、とりとめなく今日あった出来事を話した。
 別に父のやり口を批難してほしかったわけではない。『大変でしたね』と言ってくれるだけでよかった。けれど話が途切れるまで黙って耳を傾けていたユベールが口にした言葉は、リゼが期待したものではなかった。
「……お嬢様の将来を考えているのだから……旦那様の言うとおりだと思います」
 ユベールは抑揚のない声で言った。
「……お父様の言うとおりって。わたしに、あんな子と結婚しろって言っているの?」
「はい」
 期待と違う反応をされ、耳の裏が熱くなる。
 失望感と羞恥、苛立ちと悲しみ。今日あった不愉快な出来事を上回るほどの、感情の波がリゼを襲ってきた。
「あら、そう。なら、もういいわ」
 リゼは吐き捨てるように言い、ジークフリートのいる馬房へと向かった。
「……? お嬢様……? 何してるんですか」
「気晴らしに乗馬をするの」
「ジークフリートの調教、まだ終わってないです」
「ジークフリートは賢いもの。大丈夫よ」
「危ないです。お嬢様」
 人を乗せる調教が終わっていない馬に乗る。それが危険な行為だとは知っていた。
 ひと通り習ってはいるものの、リゼ自身も決して乗馬に長けているわけでもない。
 けれどもジークフリートは他の馬たちよりも一回り小さかったし、自分ではなく父に賛同したユベールを困らせてやりたいような……そんな身勝手な気持ちになっていて、冷静な判断ができなかった。
 リゼは止めようとするユベールの手を振り払い、ジークフリートに鞍をつける。
「やめてください!」
「どきなさい。危ないわよ」
 リゼはユベールの制止に耳を貸さず、ジークフリートに乗った。
「ジークフリート、行くわよ」
 ジークフリートはリゼを乗せて厩舎を出た。
 穏やかな気質の仔馬は、リゼを乗せて緩やかに歩く。
 もう少し速度を上げたほうが心地がよさそうだったが、さすがに怖いのでやめておく。
(ほら、ジークフリートは賢いもの。全然、危なくなんてないわ)
 ふふっと笑みを浮かべたとき、一陣の風が吹いた。
 風の強さに思わず目を閉じると、近くでバサバサという大きな音がした。慌てて目を開くと、鷹だろうか。大きな鳥が目の前を横切っていくのが見えた。
 直後、ヒヒンとジークフリートが嘶いた。
「……っ!」
 リゼはジークフリートを宥めようと、慌てて手綱を強く引っ張った。しかし乱暴なその行為が余計にジークフリートを怖がらせてしまう。
 ジークフリートは勢いよく駆け出し始めた。
「ひっ」
 リゼは振り落とされまいと必死に、ジークフリートの背にしがみついた。
「お嬢様っ!」
 遠くでユベールの声が聞こえる。
(もう……だめっ……!)
 震動に耐えきれず、身体が滑り落ちていく。
 地面に叩きつけられる寸前、眩しいほどの光がリゼの身体を包み込んだ。
 ふわりと身体が浮き上がり、温かなものに抱かれる。
「…………っ!」
 息を呑む音が近くで聞こえた。
「……ユ、ユベール?」
 なぜか遠くにいたはずのユベールがすぐ近くに……リゼの身体の下にいた。
「お嬢様……お嬢様、お嬢様、お嬢様。怪我は? ないですか? 痛いとこはないですか? お嬢様?」
 ユベールがリゼの顔をのぞき込み、必死な顔つきで矢継ぎ早に問いかけてくる。
「え、ええ……痛くはないわ。あなたが下敷きになってくれたから。あなたこそ大丈夫なの? 怪我はない?」
「平気です」
「よかった……。……っ、ジークフリート!」
 ホッとするのと同時に、愛馬の存在を思い出す。
 慌てて周囲を見回すと、リゼたちより少し離れたところに横たわっているジークフリートが目に飛び込んでくる。
 リゼはユベールの上から下り、白い毛並みに躙り寄った。
「……ジークフリート?」
 息はある。鼾をかいていた。
 顔つきは苦しそうでもなく、眠っているように見えた。
 ユベールも寄ってきて、慎重にジークフリートの様子を観察する。
「寝てるみたいです」
「よ、よかった……」
 ユベールとジークフリートに怪我を負わせてしまっていたら……。考えるのも恐ろしい。
「ごめんなさい……ユベール」
 リゼは肩を落とし、謝る。
 危険な目に遭ってようやく、リゼは自身の軽率さに気づいた。
「僕はいいです。でも……次はこんなこと、やめてください。お嬢様だけじゃなく、ジークフリートだって……怒られてしまいます」
 もしも仮にリゼが落馬をして怪我をしていたら。その状況を招いたのがリゼだったとしても、ジークフリートはおそらく処分されてしまう。
「そうね……本当に、そう……」
 リゼは心から反省し、噛みしめるように呟いた。
「ジークフリートが目を覚ましたら、厩舎に戻します。お嬢様は帰ってください」
「でも……」
「いつ目を覚ますか、わからないですし……。心配なら、明日、ジークフリートに会いに来てください」
 ジークフリートが気になるけれども、リゼがここにいるほうがユベールの邪魔になるのかもしれない。
 厩番は二日酔いで、ユベールに作業を任せ早くに帰ったという。自分のせいで、彼が父親に怒られることはなさそうだ。
「ごめんなさい、ユベール」
 リゼは目を真っ赤にして改めて、ユベールに頭を下げた。
 ユベールはぶんぶんと頭を横に振る。
「お嬢様が無事でよかったです」
 ジークフリートへは明日謝ろう。
 屋敷に戻るため足を踏み出そうとして、リゼはふと先ほどの一件の不可解さに気づき足を止めた。
(わたし……どうして落馬しなかったの?)
 なぜ、離れた距離にいたユベールが自分の下敷きになっていたのか。
 なぜ、暴走していたジークフリートが眠っているのか。
 地面に打ち付けられる寸前に、身体を包んだ光は何だったのか。
「……お嬢様?」
 ぼんやりと考え込むリゼをユベールが訝しむ。
 リゼは彼の綺麗な青い目をじっと見つめ返した。
「ねえ、ユベール。あなた、さっき、何をしたの?」
「何って……」
「落馬しそうになったとき、わたしの身体が光に包まれたの。そうして気づいたら、あなたがすぐ傍にいた。ジークフリートは? あんなに興奮していたのに、どうして眠っているの?」
「…………わかりません。僕はただ……お嬢様が危ないと思って……それで気づいたらお嬢様の傍にいただけだから……」
 ユベールは困惑の表情を浮かべている。嘘を吐いている様子はなかった。
「もしかして…………魔法?」
 古の時代、大陸に住む者はみな魔力を持って生まれ、魔法を使っていたという。けれど時代とともに魔力を持つ者は少なくなっていった。
 今では魔力を持つ者は、およそ百人に一人くらいらしい。魔術師の数が国力に比例するとも言われていた。
「魔法……? 僕、魔力なんて持っていません」
 ユベールがリゼの問いかけに、目を丸くする。
 魔力は生まれつき備わっているものだが、魔力があるかどうかは見た目では判断できない。魔力持ちだと自覚しないまま成人する者もいるらしい。
 基本的に魔法は訓練しないと使えない。しかし自身に危険が生じたとき、咄嗟に魔法を使い、それをきっかけに魔力の存在に気づく者もいるという。
「魔力検査は? 受けたことあるの?」
 優れた魔術師になるには、できるだけ幼い頃から訓練を積んだほうがよいとされている。
 そのためマトール王国では、二十年ほど前から民に対し魔力検査を推奨していた。
 新生児だけでなく、マトール王国民であれば誰もが魔力検査を受けられる。
「……たぶん、ないです」
 多くの国と同じく、マトール王国でも魔力を持って生まれる者は珍しい。
 魔力持ちだと判明すれば補助金が出る。けれども魔力検査には少額ではあるが、費用が必要だった。彼の父親はその金を惜しみ、魔力検査をユベールに受けさせなかったのかもしれない。
「ねえ、魔力検査を受けてみたら? お父様に頼んでみるから」
「……でも……たぶん、時間の無駄です」
「さっきの、絶対魔法よ。わたしは小さい頃に魔力検査を受けて、魔力がなかったの。魔法を使ったの、ユベール以外いないわ」
「…………ジークフリートかも」
「ジークフリートが自分が眠る魔法を、自分にかけたというの? ありえないわ。ね、一度調べてみましょうよ。調べておいて損はないわ!」
 魔法を使った自覚がないせいか、ユベールの反応は鈍い。
 根負けしたように「検査だけなら」と、気乗りしない様子で頷いた。
 屋敷に戻ったリゼは、早速父に会いに行く。
 乗馬の件は隠しておきたかったが、この際仕方がない。自分が軽率だったと前置きして、ユベールに助けられたことを話す。
 父はリゼを心配するだけで、叱らなかった。それどころかリゼが無茶な真似をしたのは、強引に婚約を進めようとしたせいだと落ち込んでいた。
 そしてユベールへの感謝とリゼへの負い目からか、魔力検査をすぐに手配してくれた。
 翌日、検査官が屋敷を訪れ、その場でユベールに魔力があるという結果が出た。
 魔力認定書が届いたのは、それから三日後。魔法学院への入学書も同封されていた。
 魔法学院は王都にある。入学するならば親元を離れて寄宿舎で暮らさねばならない。
 雑用を任せていた息子がいなくなるのだ。厩番が反対するかもと案じていたが、学費は無料で保護者にも定期的に補助金が出ると知ると、機嫌良く承諾したという。
 暴力的な父親の元を離れ、学ぶことができる。
 ユベールにとって、またとない好機だった。
 だというのに──。
 父からユベールが学院に入るのを渋っていると聞いたリゼは、厩舎へ向かった。
「来年の春まで……じっくり考えようと思って」
 餌やりが終わるのを待ち、問い詰めると、ユベールは気まずそうにボソボソ声でそう答えた。
「優れた魔術師になるには、早くから学んだほうがいいのよ。じっくり考えているヒマはないわ」
 魔法学院は六歳から入学が許可されていた。ユベールは十三歳。魔法学院に入るには遅いくらいだ。
「勉強についていけるか不安があるのかもしれないけれど、先延ばしにしたって仕方がないわ。それとも一人暮らしが不安なの?」
「……そういうわけでは……。僕は……ただ……父さんが心配で……」
 飲んだくれの父親を一人にするのが不安なようだ。
「たくさん勉強したほうが、お父様のためになるわよ」
 厩番も立派な職業だ。けれども魔術師は誰しもがなれる職業ではない。
 働き口には困らないし、将来は安泰だ。
「立派な魔術師になれば、お父様だって喜ぶわよ。そうね……国家魔術師を目指したらどうかしら。国家魔術師はエリートだもの。立派なお屋敷だって持てるわ。お父様を王都に呼んで、一緒に暮らすことだってできるわよ」
 大人になったユベールを殴りはしないだろう。ユベールだってさすがに抵抗するはずだ。
「……エリート……。……お金持ちになれますか?」
「もちろん、なれるわ! 好きなものは何だって手に入るわ! もちろん、あなたの頑張り次第だけれど。でもユベールなら、立派な国家魔術師になれると思う」
 国家魔術師は、国に雇われた魔術師のことだ。給金がすこぶるよく、あらゆる面で優遇されていて貴族のような扱いを受けるという。
 しかし学院を出たからといってみながみな、国家魔術師になれるわけではない。
 国家魔術師になれるのはごく一部の優秀な者だけ。正直なところ、他の人たちより遅れて学び始めるユベールが、国家魔術師になれるとは思えなかった。
 暴力的な父親からユベールを解放したい一心で、リゼは「ユベールなら大丈夫」をくり返した。
 そのときは迷うように視線を揺らすだけだったのだが、リゼの励ましが効いたのかその気になったようだ。
 翌日、リゼは父親からユベールが魔法学院に向かったと報される。
 昨日の夜に決断し、朝一番の辻馬車で王都へ発ったらしい。
 あまりに急な旅立ちに、リゼは耳を疑った。
 そして驚きが一段落すると、次は空しさが込み上げてきた。
(お別れも言わずに、行くなんて……)
 魔法学院に行くと決めたのなら、報告してくれてもいいはずだ。
 せめて『さようなら』の挨拶はするべきではないのか。
 使用人の子どもと、雇い主の子ども。立場の違いはあれど、リゼはユベールを友人のように感じていた。
 けれどもユベールにとって自分は、別れすら言わなくていい存在だったのだ。
 王都に行くよう勧めたのはリゼだ。喜ぶべきなのだろうが、裏切られたような、そんな気持ちになってしまった。
 慌ただしく出発したため、言うヒマがなかっただけかも……と思い、一度だけリゼは魔法学院にいるユベールに手紙を出した。しかし返事は来なかった。
 ユベールと再会したのは、それから二年後。彼の父親の葬儀のときだった。
 息子が魔法学院に入って以降も、彼の父親はレスコー伯爵家で厩番として働いていた。若い女に入れ込み借金を抱えてしまい、補助金だけでは生活できなかったらしい。
 長年の不摂生が原因か仕事中に突然倒れ、すぐさま医者を呼んだが、厩番はその日のうちに亡くなってしまう。
 葬儀は、一人息子のユベールに報せを出し、彼の帰りを待って執り行われることになった。
 ユベールが帰ってくる──
 二年ぶりだ。ユベールは十五歳になっている。
 元気だろうか。虐められてはいないだろうか。身長は伸びただろうか。勉強にはついていけているだろうか。
 ユベールは父親の訃報を聞き帰ってくるというのに、不謹慎にもリゼは彼との再会を心待ちにしていた。
 そして緊張とともに葬儀に参列し、祭壇近くに立っている青年の姿に目を瞠った。
 すらりとした長身の青年が、こちらを向く。
 青年は整った綺麗な顔立ちをしていた。
 リゼの知っている少年の顔と、青年の顔が重なる。
「…………ユベール?」
 少女のような雰囲気は消え、凜々しくなってはいたが面影はある。けれども見違えるほど背が伸びているし、いつも薄汚れていた灰色の髪は艶やかな銀色になっていた。
 学院の制服だろうか。銀色の刺繍が施された黒い上下を纏う青年が、小さく頭を下げた。
「ご無沙汰しております」
 声変わりしたのか、声音まで低くなっている。
「立派になって! 見違えたわ。…………お父様、残念だったわね」
 感嘆したあと、ここが葬儀場だと我に返り慌ててお悔やみの言葉を口にした。
 それが取って付けたように聞こえたのか、ユベールは不快げに目を眇め、リゼから目を逸らした。
 それっきり一度も視線は合わないままで「何かあったら、相談してね」「元気で頑張るのよ」と言っても、返事はなかった。
 空気を読めなかったリゼに呆れていたのか。
 それとも学院に行ったことを後悔していて、熱心に勧めたリゼを恨んでいるのか。
 ユベールは唯一の肉親の死に目に会えなかったのだ。離れて暮らさず傍にいれば、父親の様子に気づき、急死を防げたかもしれない。
 ただ単に、偉そうに話しかけてくるリゼが鬱陶しかった、リゼに興味がないだけだった可能性もある。
 どれが正解なのかはわからない。しかしユベールがリゼに素っ気なかったのは、紛れもない事実であった。
 彼の父親が死んだというのに、この再会をきっかけに交流が持てるかもしれない。そんな浅ましい期待をしていたのが、リゼは恥ずかしかった。
 そして──ユベールの態度に傷ついたことによって、リゼは自身の本当の気持ちに気づいた。
 自分と同じで母親がいなかったから。年が近かったから。彼の境遇が酷かったから。話しやすかったから。
 ユベールを気にかけていた理由はいくつかあって、それらの小さな想いが積み重なり、いつしか共感や同情とは違う、別の淡い感情を抱くようになっていたのだ。
 だからこそ彼の将来を必要以上に案じ、別れの言葉もなく出て行ったユベールに対し未練のようなものを抱き続けていた。
 リゼはずっと、あの気弱で可哀想で優しい男の子が好きだった。彼への想いが初恋だったのだと、気づいた。
 そうして時が過ぎ、四年ほど前だろうか。
 リゼは父から、ユベールが魔法学院を卒業して国家魔術師になったと聞いた。
 父に、お礼の手紙を送ってきたらしい。
 わたしには手紙をくれないくせに、とイラッとしたけれど、彼の成功は誇らしかった。
(元気にしているかしら……)
 今は魔術師団に所属しているとも耳にしていた。
 リゼより二つ年上なので、今は二十二歳。
 十五歳のときですら、見違えたのだ。再会しても、誰だかわからないかもしれない。
 小柄で可愛らしくて、たくさん青あざを作っていた少年との思い出を振り返っていたら、結構な時間が経っていた。
「また夜に会いに来るわね」
 リゼはジークフリートを見つめ、声をかける。
 白馬は珍しいとのことで、ジークフリートは屋敷とともに高利貸しが買い取ることが決まっていた。
 間近に迫った別れを察しているのか。それともリゼの気持ちが、そう感じさせるのか。
 ジークフリートは寂しげな目で、リゼを見返していた。

  ◆ ◇ ◆

 予定どおり、高利貸しが屋敷を訪ねて来た。
 屋敷の権利書を高利貸しに渡し、承諾書にサインをする。
「馬車を用意していますので。そちらで向かいましょう」
 ひょろりと背の高い仲介人の男が、リゼを仕事先まで連れて行ってくれるという。
「はい。よろしくお願いします」
「ああ、荷物はあとからお送りしますよ」
 リゼが両手に提げていた鞄に目を留め、高利貸しが言った。
 荷物を載せるには、馬車が狭いのかもしれない。
 父からの贈り物など、金目の物はすべて売り払っている。鞄の中にあるのは、愛用の日用品や着替えだ。
 ないとこれからの生活には困るものの、どうしても持って行きたいほど大事なものでもない。
 リゼは荷物を玄関に置いた。
「あの……最後にジーク……馬にお別れを言ってきてもいいでしょうか」
 屋敷の玄関を出たところで、リゼは足を止めた。
「馬にお別れですか。御者が待ってますので、急いでいただけると助かります」
 仲介人はどこか呆れたように笑み、肩を竦める。
「いえ、急いでいるなら大丈夫です」
 後ろ髪を引かれたが、御者に迷惑をかけたいわけではない。
 リゼは頷き、仲介人とともに馬車に乗った。