こっそり夫(元勇者)の推し活をしていたら、いつの間にか執着溺愛されていました 1
その夜、王都は激しい嵐に見舞われていた。屋敷の中にいても、叩きつける風雨の音が聞こえてくる。
大きな雷の音が何度もドーンと鳴り響く度に、ヘリオット伯爵夫人であるオフィーリアはその美しい顔をしかめた。不快そうな素振りを隠しもしないオフィーリアに、侍女は恐る恐る声をかける。
「オフィーリアさま、そろそろお時間です」
「分かっているわ。何もかもが腹立たしいこと」
それは天候のことでもあり、彼女の置かれている立場に対してでもあった。
侍女が取り成すように慰めの言葉をかける。
「勇者であるライバックさまの御子を、王国中の誰しもが望んでおりますから」
「全く。月に一度は閨を共にしなければいけないなんて。王国中の誰もが望んでいても、わたくしと彼は望んでいない行為でしょうに」
「潤滑剤と痛み止めは用意してあります」
それを聞いたオフィーリアは、ため息を吐きながらもソファに座る姿勢を崩さない。背筋がピンと伸びていて、誰も見ていなくても美しく振る舞う所作が染みついていた。
「はあ……、体格差というものは厄介なものね。わたくしにあの方は大きすぎるのよ」
それでも渋々立ち上がって、夫婦の寝室の間に向かおうとする。
侍女が後ろから声をかけた。
「一応、大魔導士ネアンさまが開発された媚薬も用意してございます。苦痛なく殿方を受け入れられるとか……」
「嫌よ!」
大きな声で拒絶して、後ろを振り返ろうとする。その時、落雷の衝撃音が大きく響いた。近いところに落ちた、というかこの屋敷に落ちたのかもしれない。ドーン、バリバリバリと他の音が聞こえなくなる程の轟音が響き、同時に衝撃も感じられた。
それから、魔道具で照らされていた部屋の灯りがフッと消えて暗闇に包まれた。目の前が真っ暗になり、興奮して振り返ったオフィーリアはバランスを崩してしまった。
「あっ……」
壁際にあった本棚にぶつかり、運悪く分厚く重い本が頭の上に降ってきた。思い切り頭を打ってしまい、激しい頭痛がした。
本が床にドサッと落ちると同時に、またドーンと激しい雷鳴が轟く。
その瞬間、オフィーリアは前世を思い出していた。
前世の自分は、日本という国で一人暮らしをして働く大人の女性だった。その頃のことが走馬灯のように一気に脳内を駆け巡ったのだ。
(痛~い! いや、待って。ちょっと待って! 勇者ライバックに大魔導士ネアンて。それって『勇者伝』のキャラ名なのでは!?)
思わず頭を抱えてしゃがみこむと、魔術で制御されている灯りが復旧した。
すぐに侍女が駆け寄る。
「オフィーリアさま! どうされましたか」
「ちょっと頭を打ったのよ。ソファに座らせてちょうだい……」
「はい、すぐに。医師か治療魔術師を呼びましょうか?」
なんと、元勇者のお屋敷には医師と治療魔術師が常駐していて、夜でも診てもらえるようだ。
それは断って、よろよろとソファに座る。
「少し休めば、大丈夫よ。あの、ちょっと頭を打って混乱しているのだけれど。勇者ライさまは、結婚されていた……?」
「は、はぁ……?」
侍女は戸惑って言葉を失ってしまった。
オフィーリアが前世で愛読していた『勇者伝』は、勇者ライバックが魔王を倒すまでを綴った大人気ライトノベルだった。本は売れ、漫画にもアニメにもなったし、舞台化や映画化などあらゆるメディアミックスがなされていた。
濃密なキャラクター関係とサクサクと展開していく爽快なストーリーに、前世のオフィーリアも夢中になったものだ。勿論、推しは主人公であるライさまだ。
原作ストーリーが完結したのは、魔王が倒されて平和になった時だ。すっぱりと思い切り良く終わってしまったので、ファンたちは惜しがったものだ。そして原作の中では、ライバックは結婚していなかった。
勇者パーティのメンバーのうち、紅一点の聖女がライバックと良い仲かと思っていたのに、二人はくっつかなかったらしい。そしてオフィーリアとかいう公爵令嬢と政略結婚をした。
(まあその公爵令嬢って私のことなんだけど! どうしよう、急に推しと結婚しているとか言われても~! どうして今まで思い出さなかったんだろう!)
頭を押さえて俯くオフィーリアに、侍女は不審げに話し掛けた。
「あの、オフィーリアさま。いかがなさいましたか?」
「ちょっと、頭痛で混乱してしまって」
「オフィーリアさまが、旦那さまを『勇者ライさま』と呼ばれるなんて……」
(あっ、しまった。二人は不仲で、そんな呼び方を絶対しないんだった)
急いでオフィーリアとしての以前の言動を思い出し、前世の記憶と両方を混ぜて定着させていく。つまり、オフィーリアであることは変わりがないままに、前世のことを思い出した状態だ。
いつものオフィーリアらしく、スッと背筋を伸ばして不機嫌そうに命じる。
「手鏡を持ってきてちょうだい」
「……はい、すぐに」
侍女は不審そうではあるが、そのことを問いただせる立場ではないと理解しているようだ。オフィーリアの要望に応え、すぐに隣室の化粧台に置いてあった手鏡を持ってきてくれた。
鏡を見て、オフィーリアは感心した。
(我ながら、美人だわ)
まず印象的なのは棗の形をした青色の瞳だ。少し釣り目がちだがぱっちりとした目が、猫のようだ。小さな顔に通った鼻筋、ぽってりとした唇が美しく配置されている。それに豊かな金色の髪が艶やかに輝いている。おまけにスタイルも良い。大きな胸に思わず釘付けになってしまうではないか。
まじまじと己の姿を見た後、一応頭が何ともなっていないか見る。本の表紙が頭に当たったようだが、たんこぶは出来ていなかった。本の角が突き刺さらなくて良かった。
(でも、名前がなあ。オフィーリア、どうにも悲劇的な印象のある名前よ)
しかし、改名などこの身分と立場では難しそうだ。
オフィーリアはため息を吐いて侍女に手鏡を返却した。
「ありがとう、もういいわ」
「もうお時間ですが、どうされますか」
言い難そうに、でもきっちり質問してくるのは彼女が仕事の出来る女性だからだろう。
もう、夫婦の寝室にライバックが来る時間だ。
二人は不仲なので、彼が屋敷にいる時は別々の部屋で寝ている。しかし、月に一度は閨を共にして子作りをしなければいけない契約があった。
(どうしよう、いきなり推しとえっちとか! しかもライさまと仲悪い状態って!)
これをすっぽかしては、この政略結婚をまとめた国王陛下に呼び出しをくらうこと間違いなしだ。
オフィーリアは動揺しながらも、侍女に命じた。
「少し、遅れるとあの方にお伝えして。これから支度をするわ」
その言葉に、侍女はあからさまにホッとした様子を見せるのだった。
夫婦の間である寝室に、オフィーリアは先に入って準備を済ませておいた。
しばらくすると、扉がノックされた。
「……どうぞ」
声に緊張が混じったのは仕方がない。
まさかまさか、前世の推しと同じ次元にいて対面どころか、これからえっちなことをしてしまうなんて。想像すらしなかった人生に、ドキドキが止まらない。
扉が開いて、ラフな格好のライバックが入室してきた。チラッと見て、直視せずそっぽを向く。
「遅れると聞いたが、俺の方が遅かったようだな」
「構いません」
部屋の灯りは既に消して、サイドテーブルの小さな魔道具の光だけを灯してある。明るい場所でライバックを直視したら動揺しすぎて挙動不審になる自信があるからだ。
それに、妙な言動をすれば怪しまれると分かっているので自重する。
過去に、魔族が工作員として人間になりすまし、活動していたことがあった。原作内のストーリーと同じく、勇者一行がその魔族の悪事を暴き解決していた。読者としてはとても面白い展開だったが、この世界の中では発覚した後、大きな騒動になった。
今はまだ、魔王軍との戦いが終わったばかりなのだ。様子がおかしくて魔族による入れ替わりを疑われたら、どのような尋問を受けるか分からない。人間だと分かっても、異常であると断じられて幽閉される、なんてこともあるかもしれない。
前の世界では、女性を魔女と決めつける『魔女狩り』があったと世界史の授業で習ったが、こちらの世界でも似たような話はある。気に入らない人物に『魔族なのでは』と言いがかりをつけて失脚させようとするのだ。もしオフィーリアがそのような噂を流されでもしたら、たとえ無実を証明出来たとしても、貴人としての評判は地に落ちるだろう。
危ないことはしないに限る。前世の記憶が蘇ったことは誰にも明かさず、そして誰にも気付かれないように生活を続けるべきだ。
色んな意味で緊張しながら、ベッドの上で四つん這いになるとライバックにお尻を向けた。
「準備は既にしているわ。このまま挿入してちょうだい」
「……!」
流石にライバックも驚いたようで息を呑んだ。
前回は、オフィーリアは非協力的で、ただ寝そべるだけだった。それも、嫌々だという態度を前面に出していた。対するライバックも嫌そうで、眉間に皺を寄せて渋面を隠さなかったが、何とか完遂はしていた。
(オフィーリアの身体は極上だもんね。態度が悪くても首から下だけ見て突っ込めば何とかなるはず。まあ私の身体なんだけど)
オフィーリアは四つん這いのまま、着ていた薄いネグリジェを腰まで捲り上げた。
下着も履いていないお尻が彼の目前に曝け出される。
部屋はシーンとなったままだ。ライバックがうんともすんとも言わないからだ。
(流石に恥ずかしいんだけど! ライさま、何とか言ってほしい)
薄暗い部屋で後ろから突っ込んでもらい、さっさと終われば不審がられることはないだろうと考えたのだが、こういう申し出はおかしかっただろうか。
「…………」
早く、とかさっさとしてくれ、的なことを告げるべきだろうか。
考えていると、やっとライバックが動いた。
ベッドに乗ったのであろう重みが足元で感じられた。
そして、彼はオフィーリアの腰を片手で掴み、もう片手で陰部に触れたのだ。
「準備はもうしているのか? いきなり挿れると痛いだろう」
「潤滑剤を、入れておきました」
「あんなに嫌がっていたのにか? 確かに、ヌルヌルだが」
そう言うと、ゆっくり指を蜜孔へと挿入してきた。
オフィーリアは息を押し殺して、声を出すのを必死に我慢した。
指一本挿入されただけで、めちゃくちゃ気持ちが良かったのだ。
推しに腰を掴まれている状況にも、推しの声にも、全てに興奮してしまう。顔を見せずに後ろ向きになって正解だった。
その指が増やされ、中を確かめるようにかき混ぜられると、更に快感に耐えることになった。
お腹の奥がきゅんきゅんして、もっとしてほしいと身体がねだっている。
(どうしよう、めちゃくちゃ気持ちいい。こんなの初めて。オフィーリアの記憶だけしかなかった時は、恐怖や屈辱でいっぱいだったのに)
ゆっくりと探るような動きだった指は、出し挿れを繰り返して滑らかに蜜孔の中を動くようになる。すると、指は遠慮なく奥まで侵入してきた。彼の指がずぼずぼと押しては引いての動きを繰り返すと、気持ちが良すぎて肉壁がおねだりするようきゅうっと収縮する。ライバックの指に纏わりつく蜜孔は、もっとしてほしいと無言のおねだりをしていた。
それに応じるように、ライバックは指の腹でいわゆるGスポット、比較的浅い腹側にある窪みの部分をくいっと押したのだ。
「っ!」
もう少しで下品な喘ぎ声を出すところだった。必死に声を抑えて息を吐き、静かにしようとする。
ライバックはそれに気付いているのかどうなのか、オフィーリアの弱い部分を重点的になぞって指を往復させている。
(ヤバい、こんなのすぐイっちゃう。早く挿入してもらわなきゃ)
ライバックの雄は大きく、圧迫感がものすごいのだ。苦しい思いをした方が、感じるより良いだろうと判断したオフィーリアは出来るだけ威厳のある声を出した。
「……っ、もう、結構よ……っ」
「ほぐさなくて大丈夫か? 痛みがあるだろう」
「構いません。どうぞ早く子種を出してちょうだい」
いつものオフィーリアの物言いはこんな感じだ。
それでいて、実際に痛かったら眉間に皺を寄せて『痛いっ! 早く終わらせてちょうだい!』と怒るのだ。
ライバックもいい加減にしろと言いたいところだろう。しかし彼は元勇者とはいえ身分が低い平民出身。彼の後ろ盾になっている公爵家の令嬢であるオフィーリアには強く当たれない。
彼はようやく指を引き抜いてくれた。その動きにも感じてしまったが、何とか声は出さずに堪える。
ライバックがベルトをはずし、下衣をくつろげる音がした。オフィーリアが四つん這いのままじっと待っていると、熱く硬いものが蜜孔に擦り付けられた。
彼の雄が、宛がわれている。
(勇者ライさまとセックスとか、ほんとどんな展開なの!? 前世ではえっちなことしても、痛かったし苦手な記憶しかないけど、ライさまに抱かれると思うとドキドキするっ)
ライバックの手に腰を掴まれていると思うと、そこだけ熱く感じる程だ。
ドキドキしている間に、彼の雄の先端が蜜孔に侵入してきた。
(キツいっ、というかすごい太いっ……! 入るかな)
オフィーリアが嘆いていた通り、体格差もあるし彼の立派な雄は普通の女性には受け入れ難い。しかし、それはグッと挿入されてきた。思わず腰が逃げそうになるが、しっかり掴まれた腰の手が動くのを許さない。
「痛くないようゆっくりするが、やはり狭いな」
押しては引く動きを何度もして、少しずつ彼の雄が挿入される。やがて、キツく狭かった部分を抜けるとずるりと奥まで入ってきた。
「っ……!」
「はぁっ、挿入出来たな。痛みはないか」
「ええ、大丈夫、よ……っ」
本当は大丈夫どころではなかった。
蜜孔の感じる部分がしっかり雄に当たっているのだ。大きすぎる雄を、媚肉がきゅうきゅうと健気に締め付けている。
返事を聞いて、ライバックが腰をゆっくりと動かし始めた。
本当にゆっくりだ。ゆっくりと雄を引き抜き、抜けそうになる直前まで動かすとまたゆっくり挿入していく。奥まで慎重に挿れて、コツンと当てるとまた抜いていく。
オフィーリアは身悶えそうになるのを必死に堪え、息を殺していた。
(どうしよう、全部が気持ちよすぎるよぉっ……! 抜かれるのもたまらない、でも奥まで入ってくるのも良い。もっと早く激しくされたら、すぐにイっちゃいそう)
しかし、いきなり感じてイきまくったら絶対怪しまれる。何も感じないふりをして耐えるしかない。
だが、もどかしい快楽に息が上がってきた。
「っ、はぁっ……、う……っ」
「痛みがあるか? ゆっくりとしているんだが……」
(痛いんじゃなくて、気持ちいいのを我慢してるだけだから気にしないでっ!)
本音を伝えるわけにいかないオフィーリアは、必死に呼吸を整えながら返事をした。
「っ、お喋りは、結構よ。早く、終わらせて……っ」
「…………」
ライバックは黙って動きを再開してくれた。
彼の大きい雄によって、蜜孔のいいところが全部擦られ、腰がひくつく。奥の疼いている部分には、あまり衝撃を伝えないように雄の先端が少し当たるとすぐに引き抜かれるのがまた良すぎる。
本当は、もっと激しく強く腰を動かしてほしい。
そんな言葉を発しないよう唇を噛みしめ、快楽に耐えているが身体は正直だ。
蜜孔から蜜がとめどなく滴り落ちて、結合部を濡らしていく。
ライバックが動く度に、じゅぶっじゅぼっと聞くに堪えない水音が部屋に響く。
しかも、声が抑えきれなくなってきた。
「うっ……、あっ、んっ……っ、あぅ……っ」
「オフィーリア? 本当に大丈夫か?」
「う……んっ、えぇ、大丈夫……っ」
「しかし、こんなに濡れるのは異常ではないのか。出血ではないだろうな」
結合部から垂れる蜜を指で拭い、薄暗い中で色を見極めようとしているライバック。
オフィーリアは一気に頬が熱くなるのを感じながら言い訳した。
「それはっ……、潤滑剤を、入れすぎたみたい。気にしなくて、いいわ……」
「そうか、それで引っ掛かりもなく動けるのか。本当に痛みはないんだな?」
「くどいわ」
「だったら、続けるぞ」
またライバックが動き始めた。さっきよりは、気持ち速く感じる。ズプッと奥まで挿れられ、ぐちゅぐちゅとかき混ぜられるとたまらない。
オフィーリアは腕の力で支えることが出来なくなり、枕に顔を突っ伏した。枕に顔を埋めると、息は苦しいけれど声は我慢出来る。
掴まれた腰だけを上げ、快楽に耐えているがこれでもまた段々我慢しきれなくなってきた。
ライバックが遠慮して、奥を突かないようにしているからだ。掠めるようにコツンと当たるが、すぐに腰を引いて雄が突き上げないよう気を遣っている。奥は痛いと嫌がったオフィーリアの為だろう。
だが今のオフィーリアは、もっと速く動いて奥も突いてほしかった。
疼きの根源に、掠めるだけの刺激を与えられもどかしくて仕方がない。
「はぅっ、う……っ、ふーっ、ふーっ……」
「苦しいんだな。はぁっ、すまない」
「いいから、早く、終わらせて……っ、はぁっ……」
「少し、激しくなるがいいのか?」
「いいって、言ってるでしょっ……!」
その言葉と同時に、彼は腰を思い切り突き出した。
パンッと肉がぶつかる音がして、オフィーリアは疼いていた奥に、求めていた刺激を与えられたことを知った。そのまま、パンパンッと何度も腰をぶつけられる。
「っ……! ぅっ、うっ……」
枕で声を押し殺さなければ、下品な声が大きく出るところだった。
(信じられない、おく、きもちよすぎて……っ、ヤバい、イきそう……っ!)
ずぼずぼと激しく動かれ、蜜孔全体が雄に擦り上げられている。それも気持ちいいし、奥を突かれるのも良すぎる。
このままでは、達してしまう。
必死に堪えようとグッと身体に力を込めて耐えると、ライバックの声が聞こえた。
「はぁっ、力を入れすぎだ。呼吸して、緊張をほぐせ」
(そんなことしたら、すぐイっちゃう……!)
オフィーリアはもう少しで喘ぎ声を出しそうになるのを、息を吐いてやり過ごす。
「っ、く……ぅっ……」
すると、彼は結合部に手をやって柔らかく撫でて囁いた。
「声を出すのも堪えるな。出した方がいい」
「あっ……! はっ、はぁっ、あ~っ……!」
「ここは感じるか」
濡れそぼった敏感な突起を撫で回され、同時に腰の動きは止まってくれない。
中と外の感じる部分を両方刺激され、オフィーリアの身体がガクガクと震え始めた。
(きもち、いい……っ! 奥、突かれたら、ダメ……っ!)
次の瞬間、ズプンッ! と疼きの根源であった最奥を、ライバックの雄が突き上げていた。
「んぐぅっ……! あっ、ひっ……、あーーー……っ」
枕をぎゅうっと握って顔を突っ伏しながら、耐えきれず絶頂していた。
「くっ……! 締めすぎだ」
「あうっ、んぁっ……! ふっ、ふーーっ……」
身体のビクビクが止まらないし、無意識に中の雄を締め付けてしまう。
(どうしよう、イってる……っ! あーっ、イったばっかりで止まってほしいのに、あっ、やだぁっ、待って……っ! こんなの、感じすぎちゃうよぉ……っ)
ライバックはリズミカルに腰を打ち付け、奥を突きながら中の感じる媚肉を全て擦り上げている。オフィーリアが欲しかった強さとスピードで、ずぽずぽと蜜孔を捏ねられるのはたまらなかった。
「大分こなれてきたな。奥で出すぞ」
「っ、う……っ」
じゃあそろそろ終わるのだろう。オフィーリアが希望に縋ろうとした時、ライバックが体重をかけて上に伸し掛かってきた。今までは、オフィーリアに負担をかけないよう一切の重みを加えていなかったのだ。
体重をかけた今でも、決してオフィーリアが苦しくないようにはしている。だが、上がっていた腰はベッドにペタンとつき、がに股の状態で脚を開いて動けない。どちゅどちゅと奥を突かれ、彼が動く度に滑らかな絹のシーツに敏感な突起が擦り付けられることになる。ぷっくりと膨れたそこは、シーツに擦られ包皮が剥きあげられた状態になっていた。
(ダメっ、またイくっ……! もうやだっ、無理……っ、我慢しなくちゃなのに……っ!)
「あっ、あっ、あぅっ……! はひっ、ひぃっ……!」
少しでも快楽を逃がそうと、前にずり上がろうとするオフィーリアの腰を掴み、ライバックが最奥を突き上げる。
「逃げるな。出すぞ……っ!」
「あっ、あひっ……! あーーーっ!」
(イくっ、イっちゃう……っ! 感じすぎて、我慢とか無理……っ!)
再び達し、身体がガクガクと震える。ぎゅぅっと中の雄を締め付けると、その締め付けに逆らわずにライバックも達したらしい。
最奥をぐりぐりと押されながら、彼が全てを放つのを待っている間も達した余韻で身体がヒクつくのを止められなかった。
ようやく最後まで出したライバックがずるりと引き抜くが、それさえも感じてしまう。
「はぅっ、んっ……」
「しまった、またヤりすぎたか。なんて格好だ」
その言葉でハッとする。ライバックから見たら、ベッドに突っ伏して股を開いた状態で身体がヒクッヒクッと動いているのだ。
でも、余韻で身体がヒクつくのを止められないし、彼から丸見えの秘所を隠す体力もない。
それでも、オフィーリアは何とか気力を振り絞って言い放った。
「はぁっ、終わったのなら、出て行ってちょうだい……っ」
「身体を清めて、水を……」
(そんな気を遣わなくていいから、出て行ってくれ~)
そう伝える前に、蜜孔から今しがたライバックが注いだものがぽたぽたっと漏れ零れた。
気のせいか、ゴクリと喉が鳴る音が背後から聞こえたように感じた。
しかしオフィーリアは息を整え、振り返りもせずに再度命じる。
「構いません。少し、ここで休んでいくから、貴方は部屋に戻ってちょうだい」
「そう、か……? いつもなら、先に出て行くのに」
戸惑ったように言われて、確かにいつもと違う言動だとヒヤリとする。
貴族社会では、身分の高い者が後から来て先に帰るのだ。
しかし、今すぐ立ち上がって部屋に戻るのは無理だ。足腰がカクカクして立ち上がることも出来ない。
「くどいわ」
「………………」
言い捨てると、衣擦れの音がする。無言のまま、ライバックは身繕いをして、そして扉が開いてパタンと閉められた。
ようやく、今月のノルマが終わったのだ。
月一の閨という大問題をこなして、オフィーリアは大きく息を吐いた。
「はぁ~っ、はぁ……っ」
そしてゴロンと寝返りを打って仰向けになる。
(はぁ、推しとのセックス、ヤバすぎ。あんなの感じすぎるし、気軽にヤれるもんじゃないわ。次はまた来月。それまでに、慣れるなり状況を変えるなり、何とかしないと)
そもそも、ライバックもこの政略結婚は渋々引き受けたものだ。オフィーリアだって、他は更に最悪な未来しかなくて、その中ではまだマシな勇者の相手を務めただけだ。
しかし、記憶を取り戻したならオフィーリアの気持ちはまた変わった。
今現在の状態から、最良を選択するべきだろう。
(前世の記憶を思い出したのは、悪いことではないと思う。でも、もうちょっと早くに思い出していたらここまで拗れることもなかったんだけどな~)
オフィーリアは深く息を吐き、ベッドでごろごろしながら、これまでのことを思い返し始めた。