イゼル=レマンの完璧な人生計画 不運な年上騎士と結婚したら想定外の溺愛に困惑しています! 3
イゼルとレイスの結婚式は、あまりにも無駄がなく、簡素で、迅速に終わった。
すべてはイゼルの計画通りであり、これは大変満足のいく結果である。
順調で、破綻もなく、完璧だった。──にもかかわらず、イゼルの心はなぜだか少し落ち着かない。
「騎士団の式典も、これくらい早く終わりゃいいのになぁ」
理由は、隣でぼやいているレイスのせいだ。
二人は式を終え、馬車で新居へと向かっている。
降って湧いた結婚の話に戸惑っていたレイスだが、提案を呑んでからは驚くほど協力的だった。
イゼルが計画した式は、お世辞にも一般的とは言えないにもかかわらずである。
ヴィルガータでは、結婚する二人が教会で夫婦の誓いを立てるだけで婚姻が成立する。
だが多くの人は誓いの場に家族や友人を招き、自分たちの幸せな門出を見届けてもらう形をとる。式の後宴を開くのも、一般的だ。
宴は新婦側が取り仕切るのが通例で、後日新郎側が別の宴を開くことが多い。
貴族ともなれば、自分の財力と人脈を示す機会でもあり、あえて派手で長い式と宴を行うのが通例である。
だが、イゼルに必要なのは結婚だ。
ならば必要最低限の誓いだけですませようと決めたイゼルに、レイスは何も言わなかった。
そもそも、レイスはあえて誇示せずとも財力も人脈もあるし、実家と疎遠なため宴を開くつもりもなかったのだろう。
むしろイゼルの家族の方が『もっとちゃんとしなさい!』と文句を言ったくらいだ。
それでも自分には必要ないと断言し、『後日宴だけはやる』と家族を納得させ、レイスと二人きりでさっさと誓いを立ててしまった。
計画通りの、完璧な式だった。誓いのキスもしない簡素さに周りは絶句していたが、それでいいのだ。
ただ一つ問題があったとすれば、完璧すぎたことかもしれない。
(まさか、これだけのために礼服を着てきてくれるとは思わなかったわ)
体格が良すぎる彼は既製品のタキシードがあわず、結局騎士団の礼服で式に出ることとなった。
そして礼服姿のレイスは、それはもう男前だった。
彼が纏っていたのは、王から直々に送られた、黒獅子の異名を取る彼のためだけに作られた特別な逸品である。
騎士団の礼服は白を基調としたものだが、彼のものだけは黒と赤の布地でしつらえられ、銀の刺繍がさしてある。
派手すぎず、しかし纏う者が特別だと示す高貴さを感じる礼服は、本来特別な儀式にしか纏わない。
騎士団に勤め始めて二年が経つが、見たのはたった一度きり。当時はまだ、彼の補佐官となる前だった。
あのとき、イゼルは生まれて初めて異性に見惚れるという経験をした。
上司となった以上、異性として意識しないようにしていたが、イゼルだって年頃の女性である。息を呑むほど凜々しい男が側にいれば、平常心ではいられない。
「ん?」
その上目が合うと、レイスはこれまでとは雰囲気の違う顔をするのだ。
いつもよりほんの少し下がった目尻は優しげなのに、何かが違う。
(なんだろう、見慣れた顔のはずなのに、落ち着かない)
そしてそんなレイスを見ていると、必要もないからと、安物の白いドレスを選んでしまった自分を、ほんの少しだけ恥ずかしく思う。
(でも計画通りではあるし、これでいい)
必要なのは結婚の誓いを立てること。それに宴よりも子作りのための初夜の方が大事なはずだ。
子をなすのは女の義務であり、特に貴族の娘は最低三人産めという風習がこの国にはある。
レイスの身体次第ではあるが、可能な限りその風習を守り、子をなすのがイゼルの希望だ。
だからできる限りのことはせねばと、式よりも初夜の準備に力を入れたほどだ。
(……そう、大丈夫。計画通りだから大丈夫)
この後も問題は起きないはずだとイゼルは自身に言い聞かせる。
「そろそろ着くぞ」
考え事をしている間に時間がたっていたのか、ふと見れば車外の景色が変わっている。
(あれ……?)
だが町並みを見て、イゼルはある違和感に気づく。
「道を、間違えていませんか?」
二人が向かっているのは、レイスの所有するアパルトメントのはずだった。
一般的な邸宅よりは広くないが、騎士団に近く、利便性は良い。
イゼルも騎士団の仕事をしばらく続けるつもりだったため、こちらで暮らそうという話になっていた。
「間違ってない。もうすぐ新しい家に着く」
「でも、このあたりは貴族の邸宅街ですよね」
それもイゼルの屋敷のすぐ側だと思ったとき、まさに見慣れた実家の前に馬車が止まる。
「えっ、やっぱり……」
「住むのは、こっちだ」
通りを挟んで反対にある、恐ろしく巨大な邸宅をレイスが指さす。
「ここって空き家では?」
「だから買った」
「買った!?」
あまりに予想外の言葉に、珍しくイゼルの表情筋が仕事をした。
「急だったから改装の終わってない箇所もあるが、やはりあの狭いアパルトメントで暮らすのはどうかと思ってな」
それに……と、レイスがイゼルを見て微笑む。
「大好きな家族とすぐ会える距離の方が、お前さんは嬉しいだろう」
「もちろん嬉しいですけど……」
「計画とは少し違うが、これくらい許容範囲だろ」
言うなりイゼルの手をとり、レイスは馬車を降りる。
見れば、向かいの実家の窓から家族たちが手を振っている。
どうやらイゼル以外には、ここに住む話が伝わっているようだ。
「彼らを夕食に呼んである」
「で、でも計画では、この後……」
「お前さんの計画は変更しないさ。ただ、夕食の時間を少し長めに取るだけだ」
さすが二年の付き合いだけあって、どう言えばイゼルが納得するかレイスは心得ている。
「ひとまず家に入ろう」
この後の計画をずらさないためにもと言われてしまえば、イゼルは受け入れるほかない。
「こっちだ」
優しく手を引かれ、イゼルは新しい我が家に踏み出す。
(このお屋敷、中はこんなに豪華だったのね)
玄関ホールだけで実家の三倍はあることに、イゼルは驚きを隠せない。
そういえば、この家は元々ヴィルガータの国務大臣のものだった。
だが妻を亡くし、一人で住むには寂しいからと家は売られ、以来空き家になっていたのである。
買い手がつかなかったのは、この豪奢な邸宅を維持するのが難しかったからだろう。
(でも、私たちに管理ができるのかしら?)
建物の広さや築年数から、維持にかかる費用を割り出そうとしたところで、レイスが突然大げさな動きで胸を張る。
「安心しろ、俺は運はないが金はある男だ」
多分イゼルの不安を察しての言葉だろうが、なんとも格好がつかない台詞である。
「なんだ、その悲しいものを見るような目は」
「いえ、胸を張って言う台詞ではないなぁと」
「開き直って胸張るしかねぇだろ。下手すりゃ、また情けない姿をさらす羽目に──」
言い終わる前だったが、イゼルは見てしまった。
改装資材を持った使用人が、すぐ側で転んだところを。
「レイスさんっ!」
使用人の手から離れたバケツが、まるではかったようにレイスの方へと飛んでくる。
レイスも気づいたようだが、彼はあえて逃げなかった。
(えっ?)
代わりに、イゼルをかばうように彼は身体を移動させる。
立ち位置的に自分も危なかったのだと気づいた直後、イゼルを抱え込んだレイスの頭にバケツが激突する。
「なんだこりゃ」
どうやらバケツには、壁紙を貼る糊が入っていたようだ。
それも魔法薬を用いたものらしく、レイスの頭から滴るそれは妙にヌルヌルしている。
かばわれたイゼルは袖が少し汚れた程度ですんだが、服の価値を思えば自分がかばうべきだったのかもしれない。
「旦那様! 奥様! おけがはありませんか!?」
倒れた使用人と共に、イゼルたちへと近づいてきたのは若い執事だ。
レイスに並ぶ体格の良さと右目を走る大きな傷のせいで、執事と言うより騎士のような男だった。
「マティアス、イゼルに拭くものを」
「いや、レイスさんが先です」
言いながら、イゼルは服が汚れることもためらわずに、レイスの頬についた糊を袖で拭う。
「こら、服が汚れるぞ」
「でも、レイスさんがヌルヌルになったのは、私をかばったせいでしょう?」
多分イゼルさえいなければ、レイスはバケツを避けられただろう。こうした不測の事態に遭いすぎている彼は、こうした状況を回避するのも得意だ。
「ここでイゼルをヌルヌルにしたら、またブライトに殴られる」
「大丈夫ですよ。母が、結婚初日はヌルヌルでドロドロになるものだから、汚れるのは気にしちゃいけないって言っていました」
「待て待て待て!」
レイスは何やら慌てているが、問題はない。
「何でヌルヌルになるのかはよくわかりませんが、ともかく何が起きてもいいようにと覚悟はしていたので、汚れても大丈夫です」
レイスが気にしないようにと思って伝えたのに、なぜだか逆に困っているようだ。
何か変なことを言っただろうかと悩んでいると、「こほん」と小さな咳払いが聞こえた。
「とりあえず拭くものをお持ちしました。湯もすぐに準備させていますので」
マティアスと呼ばれていた執事が、恭しくタオルを手渡してくれる。
最初は騎士のようだと思ったが、美しく丁寧な所作は確かに執事のそれだ。
「まだ若いが、マティアスはこの屋敷の執事頭だ」
そのほか、使用人に関しても信頼の置ける者たちを選んだと、レイスは教えてくれる。
「イゼルの侍女だけは実家から来てもらったが、他に必要な人材がいれば言ってくれ」
レイスはそう言うが、既に十分すぎるほどだ。
アパルトメントに住むつもりだったため、使用人は少なくて良いと思っていたイゼルである。
必要でも一人か二人になるだろうから、まずは結婚してから適任者を探そうと計画していた。
「むしろ、何から何まで本当にありがとうございます」
心からの感謝だったが、なぜだかレイスには不安そうに見つめられる。
「だが、これは計画外のことだろう。不安なことがあったり、不快だったらちゃんと言って欲しい」
計画外のことだが、より効率的に物事が運ぶならイゼルも割り切れる。
むしろその点、レイスは普段からイゼルが決めたいこと、気にすることをふまえて行動してくれるので、不安はなかった。
「レイスさんのことは信頼しているので、大丈夫です」
そう言って、改めてレイスのヌルヌルを拭いていると、あまりに情けない出で立ちにじわじわと笑いがこみ上げてくる。
「……ふ、ふふっ」
こわばった顔が少しずつ緩んでいくのを感じ、イゼルは慌てて咳払いをした。
「ごめんなさい、私のせいなのに」
「俺の運のなさが招いたことだろ。それにこういうとき、イゼルが笑ってくれると嬉しい」
不意に名を呼ばれると、甘くくすぐったい気持ちが胸に広がる。
初めての感覚に戸惑うも、同時にもう一度名前を呼んで欲しいと思わずにはいられなかった。
「ともかくまずは風呂だな」
「そうですね、この後予定も詰まっていますし」
むしろこれからが本番だったと思い直し、イゼルはまずレイスを浴室に送り出した。
そして運んでもらった荷物を引っ張り出し、夜に備えた準備をし始めた。
このとき、イゼルはまだ、この準備が計画外の甘く激しい夜をもたらすことを知らなかった。
そしてそこから始まる新婚生活が、想像以上の波乱と幸せに満ちることも、まったく想像していなかった。
◇◇◇ ◇◇◇
身体を重ねる行為は、時に激しく、人を獣に落とす。
初夜の予習として読んだ本に書かれていた一文を、イゼルは今身をもって体験している。
「……あっ、やぁ、も、う……ああっ、あ、あ」
自分のものとは思えない声を絶え間なくこぼしながら、イゼルはもうずいぶん長いこと、甘い責め苦を受けている。
ベッドに入ったときのレイスは優しく紳士的だったが、多分媚薬を飲ませすぎたのだろう。
普段はない色気を放ちながら、彼はイゼルを見て怪しく笑っている。
だがおかしいと言えば、それはイゼルも同じだ。
「大分緩んできたが、もう少しか」
夫となったばかりの男の前で股を開き、普段は排泄するための器官に指を入れられているのに、この心地よさは一体何なのだろうか。
「あ、ッ、そこ……」
「イゼルは、中も弱いな」
甘い愉悦が広がる箇所を二本の指で攻めながら、向けられた笑顔は妖艶だった。
いつもの優しくて気の良い笑顔とは違う、情欲の滲む雄の顔だ。
(あぁ、やっぱり……精力剤はやり過ぎだった……)
時間をかけてキスや愛撫でイゼルを蕩けさせているが、彼の方はもう準備はできている。
むしろとんでもない自制心で、イゼルへの挿入を待ってくれていた。
チラリと見れば、彼の太くて逞しいものは硬く勃ちあがっている。本来ならばすぐにでも入れたいだろうに、処女であるイゼルを傷つけないようにと彼は苦しげな息をこぼしながら、指を入れるだけで我慢してくれていた。
「……ひ、ぃ、あっ!」
指先で最も感じる場所を強く押され、イゼルは大きく身体を震わせる。
先ほどから、彼にキスや愛撫をされていると、時折自分が自分でなくなるような、不思議な感覚を覚えていた。
それが達するということなのだろうと知識では知っていたが、その激しさに臆し、身を硬くすることしかできないイゼルは、その境地まで至れていない。
怖い、恥ずかしい、なのに気持ちが良い。
相反する感情と激しい愉悦に混乱していると、イゼルをレイスは優しく抱きしめる。
「少し、休むか?」
媚薬のせいで色々と辛いはずなのに、イゼルが身体をこわばらせると、レイスはすぐに手を止めてくれる。
それにほっとしつつも、このままでは初夜は永遠に終わらない。
(ちゃんと、しなきゃだめ……)
今日結婚し、初めての夜を迎える。
その計画だけは曲げまいと、イゼルはレイスの腕をそっと掴む。
「大丈夫だから、続けてください」
「いいのか? そろそろ俺も、止めるのが難しくなってるぞ」
「止めなくていいです」
言いながら、一度離れたレイスの手を掴み、自分の襞にその指を添わせる。
「ここに、あなたのものを挿れてください」
「その言葉は、反則すぎる」
ぐちゅっと音を立てて、レイスの指先が隘路を再び割り入る。
「あっ、指、じゃなくて……」
「わかってる。だがその前に、もう一度だけ緊張をほぐそうな」
手を返し、二本の指で隘路をかき混ぜながら、レイスの親指が肉芽に延びる。
先ほどから時折触れられてはいたが、この芽を刺激されると、イゼルはおかしくなってしまう。
「あっ、やぁ、あっ、あ……ッ」
気持ちよさを超えた、暴力的な愉悦に悲鳴を上げて、イゼルは腰をビクビクと揺らした。
レイスは巧みな指使いで、腰のぜん動にあわせて、より深いところまで指を入れていく。
「ま、たッ、私……変、にっ……」
「そろそろ一度達くんだ。そうすれば中も緊張もほぐれて楽になる」
楽になるどころか、レイスの指使いが激しくなると、切なくて苦しくなる。
跳ねる身体を止めたくてシーツをギュッと握るも効果はなく、持ち上げられた脚を揺らしながらイゼルは甘い悲鳴を重ねていく。
(あぁ、なに、これ……)
絶頂の兆しだと思っていたものは、どうやらまだまだ序の口だったらしい。
肉芽への愛撫と共に愉悦はどんどん大きくなり、イゼルの意識は淫らな悦びに塗り替えられていく。
「身を委ねれば、怖くない」
いっそ荒々しいだけなら恐怖で戻れただろうけれど、レイスに優しく微笑まれたらもうだめだった。
「……ッ、ああ────ッ!」
初めて迎えた絶頂は、あまりにも激しくイゼルを焼いた。
意識が真っ白になり、身体には得も言われぬ心地よさだけが満ちていく。
自分の身体なのに思うように動けず、糸が切れた人形のように、ガクガクと下肢を震わせ喘ぐことしかできなかった。
「頑張ったな」
そんなイゼルの頭をレイスに優しく撫でられると、絶頂で感じたものとは違う喜びが胸に芽生える。
(いつもいつも、レイスさんは私を優しく導いてくれる……)
でも自分はまだ、それに応えられていない。
そう感じたイゼルは、重い腕を必死に持ち上げ、レイスの首に腕を回した。
「次……は、レイスさんの番、ですよ……」
夫婦という者は、互いに肌を重ね、心地よさを覚え、絆を深めるものだと本にはあった。
ならば自分だけではなく、レイスにも気持ちよくなって欲しいとイゼルは思ったのだ。
「今度は、私……が、がんばり、ますね……」
そう言ってままならない身体を動かそうとすると、ギュッとレイスがイゼルを抱きしめる。
「こういうのは、どちらにせよ男が頑張るものだ」
「そう、なんです……か?」
「ただ初回は痛みを伴うから、無理を強いるが」
「痛いのは、平気です」
痛みの先で、レイスが心地よさと幸福感を感じてくれるなら、イゼルはきっと苦しいとも思わないだろう。
「くそっ、ここまでの我慢が無に帰しそうだ」
大きく息を吐いたレイスは、己の先端をイゼルの隘路に沿わせる。
「ここからは、優しくできない」
「優しくなくて構いませんよ?」
「お前さんは、余裕のない男の怖さがわかっていないな」
ぐっと、彼の先端が襞を割る。
引きつれるような痛みを感じた瞬間、彼のものが一気に根本まで埋め込まれる。
「あ、……ッ、くは……」
「お前さんが苦しむとわかっていながら、俺はこんなことをするような男なんだよ」
だから恐れろと、イゼルをのぞき込む眼差しが告げている。
(でも、痛いけど……怖くない……)
むしろ余裕を失いつつあるレイスの表情を、もっと見たいとさえ思ってしまう。
だってこの顔は、きっとこうして肌を重ねる相手にしか見せない顔だ。
本来ならイゼルが見ることができなかったそれを、こんな間近で見られたことが、なぜだかとても嬉しくて幸せだった。
「もっと……」
だから欲望の赴くまま、イゼルはより強くレイスを抱き寄せる。
「レイスさんの余裕のないところも、怖いところも全部見たい」
そして彼をもっと知りたいと願った瞬間、レイスが歯をむき出し唸る。
「俺は、とんでもない妻をもらったようだ」
そしてイゼルの腰をきつく掴み、より深いところを肉棒で抉る。
「こんなにきついのに、それでもいいのか?」
「それでも、です」
「なら、容赦はしない」
レイスは言葉と共に楔を先端まで引き抜き、そしてズンッと一気に最奥まで突き入れる。
言葉通り容赦なく、何度も何度も、肌を打ち合う音が激しく響くほどの荒々しさで、イゼルを突いた。
「あっ、ぃ、あぁ、やぁ……ッ」
痛みは激しいが、レイスが自分をうっとりと見つめ、少しずつ余裕を失っていく顔を見ていると、そんなことはどうでもよくなってくる。
「あぁ、イゼル……ッ」
腰を打ち付けながら、名前を呼ばれるだけで、イゼルの痛みは喜びに変わる。
「きもち、良い……です、か?」
「ああ、最高だ」
「よかった、……っあ、ひぁッ!」
「でも、まだ先に行きたい」
イゼルにより深く覆い被さり、レイスが激しく腰を振る。
彼のものは逞しさを増しながら、イゼルの感じるところを的確に攻めた。
「あっ、だめ、ま、たっ……!」
「それが俺の望みだ」
共に果てようと、レイスの眼差しが訴えている。
(一緒なら、きっと怖くない)
むしろもっと、素晴らしい場所に行ける気がして、イゼルはレイスに身を委ねる。
太ももを掴まれ、わずかに角度を変えながら、レイスはイゼルを犯す。
先ほどより深い場所を穿たれ、気がつけば痛みは快楽へと変わっていく。
絶頂の兆しを感じた直後には法悦が目の前に迫り、イゼルはレイスの背中に爪を立てながらよがる。
「あ、ああッ、もう……」
「いけ、イゼル」
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この続きは10月7日頃発売のティアラ文庫『イゼル=レマンの完璧な人生計画 不運な年上騎士と結婚したら想定外の溺愛に困惑しています!』でお楽しみください!