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騎士王さまと甘恋旅行③
薔薇の王国で永遠の愛を誓う

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書籍紹介

三部作堂々完結! 最高のハッピーエンド!!

ジリアン一行はオーウェンが治めるロサ国へ到着する。開かれた豪華な夜会を抜け出し、逞しい彼の腕に身を委ねて。改めて真摯に愛を告げられ、幸せに包まれていると父が倒れたという火急の知らせが!? すぐに祖国へ戻り、彼とは離ればなれになってしまう。「また君に会える日を待っている」再会の約束を心の支えに日々を過ごし――。寡黙な騎士王との甘い恋物語、感動の最終巻!

登場人物紹介

オーウェン

ロサ王国を治める騎士王。心優しく精悍だが、寡黙なため相手に威圧感を与えてしまうことがある。小柄なジリアンと並べば子供と大人くらいの差が出るほど長身。

ジリアン

ガレオス王国第二王女。明るく聡明だが、実姉アレクサンドラの影響でつい高慢ぶってしまうのが短所。国の決まりで騎士王オーウェンと他国を巡る旅に出る。

アレクサンドラ

ジリアンの姉。プライドが高く、相手を見下した態度を取ることもある。

スコルピオス

ミッドバルの国王。アレクサンドラとは喧嘩ばかりしているが……?

リラ

島国ユーノの女王。美しいが表情に乏しく冷たい印象の女性。王として国民の生活を守ることを第一に考えてきた。

立ち読み


 第一話

 ミッドバルの砂漠を越え、なだらかな山岳地域にある国境の砦を抜けてロサ王国の領地に入ってから、気候はがらりと変わった。
 空は突き抜けるような晴天で、じりじりと肌を焦がすような暑さはなりをひそめ、ぽかぽかとした心地よい日射しが降り注いでいる。
 灼熱の太陽から肌を守るためのショールも必要なくなり、過酷な砂漠越えとは打って変わって進みやすい旅路だった。
 砦を過ぎてほどなく石と砂が多い山岳地帯も終わり、青々とした森に入った。
 幹の太い広葉樹が増え、あちこちで鳥や野ウサギといった小動物の姿を見かけるようになる。
 ジリアンは森の空気を胸いっぱいに吸いながら、馬の手綱を操った。
 乗馬は得意だから同乗しなくていいと主張したら、あっさりと要望が通り、ジリアンは一人で馬に乗っている。砦で乗り換えた馬の足取りも軽快だ。
 オーウェンは先頭で馬を進め、殿はヴィンセントが守るという形で、一行はパッカパッカと馬の足を鳴らして進んでいく。
 太陽が中天を通り過ぎた頃、木漏れ日が射しこむ一角を見つけて、前を歩いていたオーウェンが馬を止めた。
「この辺りで休憩を入れよう」
 地面に降りたオーウェンが、ジリアンの馬の真横に立って腕を伸ばしてくる。
「さぁ、ジリアン」
「一人で降りられますよ」
 ジリアンが最後まで言い終わらぬうちに、オーウェンが彼女を軽々と持ち上げて地面に降ろした。そして、ジリアンの頭をよしよしと撫でてから馬の手綱を取り上げ、木の枝に繋いでくれる。
 ジリアンは撫でられた頭に触れて、オーウェンの動きを目で追った。
 砂漠越えの時からそうだったが、駱駝の乗り降りをする際も、オーウェンは必ず手を貸してくれた。自分でできると言い張っても、何度聞き流されたか分からない。
 おそらく騎士道として身体に染みついているのだろう。
 普通ならば身分の高い女性は一人で馬の乗り降りなんてしないから、降ろしてもらうことに関して文句はないが、恭しく手を取られて木陰まで連れて行かれたりすると気恥ずかしくなる。
 木陰で休憩を取りながら、ジリアンは控えめに切り出した。
「オーウェン様。エスコートしてくださるのは嬉しいのですが、私にずっと付き添ってくれなくてもいいのですよ」
「迷惑だったか?」
「そういうわけではありませんが、何から何まで手を貸してもらうと、なんだか申し訳なくて……」
「気にするな。俺が好きでやっていることだ」
 オーウェンが恥ずかしげもなく答えたので、ジリアンは軽く口を尖らせつつも言い募らなかった。
 サンドイッチと干し肉で軽めの昼食をとったあと、オーウェンが剣を持ち、離れたところで休んでいるヴィンセントを呼んだ。
「ヴィンセント。少し付き合え」
 剣を掲げて見せると、ヴィンセントも意図を理解したようで、ゆっくりと立ち上がる。
 二人が対峙して剣を構えるところを、ジリアンは双子と共に木陰から眺めた。
「兄さんと手合わせするのは久しぶりだ」
「ああ。腕が鈍っていないか、確かめてやる」
 彼らは剣先をカチンと合わせると、構えたまま動かなくなった。
 先に仕掛けたのはヴィンセントだった。剣を振り上げて斬りかかるが、オーウェンはその斬撃を簡単にいなし、剣を斬り上げるようにして反撃する。
 森の中に剣戟の音が響いた。互いに相手の剣を打ち返し、牽制しながら次の一撃を繰り出す。
 使用しているのは抜き身の剣なので、ともすれば相手を傷つけかねないが、二人は互いの剣先をぎりぎりのところで受け止めて次の攻撃に繋げる。
 王女として生きてきたジリアンは剣術を嗜んだことはない。
 しかし、素人目でも彼らの剣術が卓抜したものだとは理解できた。
 緊迫した斬り合いがしばらく続き、ほどなくオーウェンの剣を受け止めたヴィンセントが力負けしてよろめいた。
 オーウェンはその隙を見逃さず、ヴィンセントの手から剣を弾き飛ばす。
 くるくると回りながら宙を飛んだ剣が草の上に落ちて、手合わせの勝負がついた。
 固唾を呑んで手合わせを見守っていたジリアンは、どちらも怪我することなく決着がついたのを見て肩の力を抜く。
「鈍っているな、ヴィンセント。剣筋にも迷いがある」
「しばらく鍛錬していなかったし、手合わせもしていなかったから。そういう兄さんは相変わらずだな。一撃が重くて、手が痺れているよ」
 互いの肩を叩き合う兄弟を横目に、ジリアンは自分の両手を見下ろした。
 ミッドバルで、彼女は姉のアレクサンドラと共に誘拐された。
 あの時は為す術もなく連れ去られ、ジリアンはアレクサンドラを狙った凶刃の間へと割って入って大怪我をした。
 その瞬間のことを、ジリアンは鮮明に覚えている。
 彼女には自分の身を護る手段がなく、これまでは、それを口惜しく思ったこともない。
 祖国で暮らしているだけならば、王女のジリアンに護身術など不要だっただろう。
 だが、今回の旅を通して、いざという時に彼女自身が少しでも己の身を護る手段を知っていれば、ただ傷つけられるだけでなく手を打てるのではないかと思うようになったのだ。
 ジリアンは両手を握りしめると、すっくと立ち上がった。
「オーウェン様。私にも剣を教えてくださいませんか」
 唐突な申し出に、オーウェンの動きがぴたりと止まる。傍らに控えていた双子たちも瞠目した。
「ジリアン。いきなり、何を言い出すんだ」
「今の手合わせを見ていて、私にも身を護る術が欲しいと思ったのです。ミッドバルで誘拐された時のように、いつ何が起こるか分かりませんし」
 誘拐された時のように──その言葉を聞いて、ヴィンセントが顔を背ける。
 オーウェンは珍しく渋面を作り、彼女の願いを却下した。
「ダメだ」
「っ、どうしてですか?」
「ここはもうロサ王国の領地で、君が危険な目に遭うことはない。それに、ジリアン。剣を扱うということは君が想像しているよりも危険で、時として怪我をする可能性もある。だから、剣術を教えることはできない」
 いつになく強い口調だった。
 きっぱりと言いきるオーウェンを前にして、ジリアンは食い下がる。
「では、剣じゃなくても構いません。何か護身術を教えてください。それくらいなら問題ないでしょう。ちょっとした体術とか、その程度でいいですから」
 オーウェンが大股で近づいてきた。腕組みをするジリアンの正面で立ち止まり、威圧的な眼差しで見下ろしてくる。
「護身術も、君には必要ない」
「オーウェン様!」
「この話は終わりだよ」
「でもっ──」
「これからは、俺が側にいて君を護る。二度と危険な目には遭わせない」
 だから聞き分けてくれ、と。
 優しい声でそう窘められたら、ジリアンに返す言葉はなかった。


 半日かけて森を抜けると、草の生い茂る平原が遠くのほうまで広がっていた。
 平原を通り過ぎれば麦やトウモロコシの植えられた農耕地帯が待ち構えており、ようやく農村が見え始める。
 一行は長閑な街道を馬で進み、モーテルで休みをとりながら、数日の行程を経てロサ王国の王都に至る。
 王都の入り口には巨大な石造りの門があって、見張りの騎士が常駐していた。
 前もって到着の知らせを受けていたようで、騎士たちは先頭を歩くオーウェンに気づくと一斉に敬礼する。
 薔薇の模様が描かれた鎧姿の騎士がずいと前に歩み出て、一行を出迎えた。
「おかえりなさいませ、陛下」
「ああ、ステファン。今、戻った」
 ステファンと呼ばれた騎士は胸に手を当て、馬上から声をかけるオーウェンに向かって騎士の敬礼をした。
「城にて、宰相殿が陛下のお帰りをお待ちしております。門の裏手に馬車が待機しておりますので、そちらに乗り換えて移動してください」
 街道に出てからはフードを被って顔を隠しているとはいえ、立派な馬に乗った集団は目立つ。
 王の一行だと騒ぎになる前に、馬車に乗り換えて移動するのが得策だ。
 ステファンはきびきびとした口調で話し、殿を務めるヴィンセントを見た瞬間、ハッと息を呑んだ。
「よもや、あなた様は……!」
「ステファン。詳しい話は後だ。今は城へ向かう」
 亡くなったはずの王弟を前にして驚きを露わにするステファンを、オーウェンが小声で窘め、門の裏手に用意されていた馬車に乗りこんだ。
 ジリアンは動き出す馬車の窓からロサ王国の街並みを眺める。
 建物の造りは、ガレオス王国やエーデルシュタインと似ていたが、二国と比べたら明確な違いが一つあった。
 ロサ王国の王都はあちこちで花が咲いているのだ。
 街路の花壇だけではなく、民家の軒先に置かれたプランターや、大通りに軒を連ねる店頭でも花瓶に花が生けられている。
 見かける花の種類は様々だが、とりわけ目を惹くのがロサ王国名産の薔薇だった。
 庭の垣根で大輪の薔薇が咲いている民家も多くて、他国では高額で取引されるロサの薔薇が、当たり前のように街の至るところで咲いていた。
 美しい薔薇は華やかで存在感がある。素朴な街の景観に鮮やかな色彩を付けていて、目を楽しませた。
 王都で暮らす人々の表情まで心なしか明るく、穏やかに見える。
 独特な文化のあるユーノ、お伽噺に出そうな美しい王城のあるエーデルシュタイン、そして息を呑むような自然の絶景を見ることのできるミッドバル。
 ジリアンは異なる文化の国々へ足を運び、各国の特色や空気を肌で体感してきたが、ロサ王国はその中でも“素朴な美しさ”のある国だった。
 窓の外に目を奪われているうちに、馬車は王都の中心で高々と聳える石造りの城へと近づいていく。
 エーデルシュタインの王城のような華やかさはないが、砦みたいな頑強な造りと、どっしりとした貫禄のある佇まいは祖国の城を思い起こさせた。
 堀にかけられた跳ね橋を通ると、城内の広場に大きな騎士の彫像が立っていた。薔薇と剣の描かれた国旗が掲げられている。
 広場を過ぎた城前には、宰相と思しき長身の男性と、煌びやかな衣装を纏う年嵩の女性が一行の訪れを待っていた。二人の背後では鉛色の鎧を纏った王室付きの騎士たちが整列している。
 その光景を見た瞬間、ジリアンは祖国の城との明確な差異を知る。
 ロサ王国は、騎士が護る国──この城は、まさしく“騎士の城”だ。
「ジリアン」
 オーウェンの呼びかけで、彼女は我に返った。
 馬車に乗ってからオーウェンは一度も声をかけてこなかったので、夢中で外を見ていたジリアンは彼が隣にいたことを忘れていた。
「そろそろ馬車が停まる。宰相のヴァヌスと母上が出迎えてくれるようだ。降りたら、君も一緒に挨拶をしてくれ」
「分かりました。オーウェン様のお母様ということは、先代の王妃様ですよね。何とお呼びすればいいのでしょうか」
「母の名前はコーネリアだ。その名で呼べばいいだろう」
 ロサ王国の先代の王妃。オーウェンのもとに嫁げば、義理の母親になる人だ。
 きちんと挨拶をしなければと気を張っていたら、ジリアンの横顔を見つめていたオーウェンが、不意に彼女の頬を摘まんできた。
「っ……オーウェン様?」
「そう気を張らなくていい。母上は穏やかな方だし、気楽に接してくれ。君と婚約する件についても、すでに伝えてあるから」
 オーウェンは緊張をほぐすようにジリアンの頬をむにむにと摘まんだあと、彼女のおでこにキスをした。
 こんなふうにして宥めるのは、ずるい。
 ジリアンが口を尖らせていたら、先に馬車から降りたオーウェンが彼女の膨れ面を見て言葉を付け足した。
「今のは子供扱いしたわけじゃない。君の気を楽にしようと思って取った行動だ」
「わざわざ言われなくとも、分かっています」
「それならいい。さぁ、ジリアン。おいで」
「自分で降りられますから、手を貸していただくだけで……」
 馬車から身を乗り出したジリアンが言い終える前に、オーウェンの手が脇の下に差しこまれてひょいと抱き上げられ、そのまま地面に降ろされた。
 あっという間の出来事で反応できずにいると、手を引かれてヴァヌスとコーネリアの前まで連れて行かれる。
 ロサ王国の宰相ヴァヌスは体格がよく、鼻の下に黒い髭をたくわえた強面の男だ。宰相よりも軍人だと紹介されたほうがしっくりきそうな見た目をしている。
 宰相の隣にいる先代の王妃コーネリアは、息子たちと同じ紫水晶の瞳を持つ女性で、大らかに微笑みながら佇んでいた。
「戻ったぞ。皆、息災のようで安心した」
 広場にオーウェンの朗々とした声が響くと、整列していた王室付きの騎士が一斉に胸に手を当てて敬礼した。乱れ一つなく統率された動きは圧巻だ。
 前に進み出たコーネリアが出迎えの第一声を口にする。
「おかえりなさい、オーウェン。長旅で大変だったでしょう」
「我ら一同、陛下が戻られる日を心よりお待ちしておりました」
 コーネリアに続いてヴァヌスの口から零れた声は柔らかく、厳めしい髭面が一気にくしゃくしゃになって人好きのする笑みが浮かんだ。
「ただいま戻りました、母上。お元気そうで何よりです。ヴァヌスも長く国を空けて世話をかけたな。のちほど国内の状況を聞かせてくれ」
 オーウェンの視線が、後ろに控えるジリアンをとらえる。
「今回は帰国に伴って同行者がいる。皆に紹介しておこう。ガレオス王国第二王女のジリアンだ」
 ジリアンは彼に背中を押されて、コーネリアとヴァヌスの前に立った。
 整列した騎士たちも視線を送ってくるが、ジリアンは臆さずに深呼吸をすると、ドレスの裾を持ち上げて手本のようなお辞儀をする。
「はじめまして。ただいまご紹介に与りました、ジリアンと申します。宰相様ならびにコーネリア様とは初めてお目にかかります。後学のために、しばらくロサ王国で滞在させていただくことになりますが、どうぞよろしくお願いいたします」
 前もって心構えができていたのと、これまで各国を訪ねた経験から、かなり上出来と思える挨拶ができた。
 コーネリアとヴァヌスの反応も上々で、特にコーネリアが親しげに微笑みかけてくれたから、ジリアンはホッと胸を撫で下ろす。
 そんなジリアンの肩を、オーウェンが親しげに抱き寄せた。
「前もって知らせは送ったが、ガレオス王の許可も得て、ジリアンとは結婚するつもりでいる。すでに婚約指輪は渡した。近いうちに結婚の日取りも決めることになるだろう。母上も異存はありませんね」
「もちろんよ。ガレオス王国と婚姻で繋がりができるのは、とても喜ばしいことだわ。ロサにとっては有益なことばかりだし、願ってもない話ですもの」
 コーネリアがおっとりと答えた時、少し到着が遅れていた後続の馬車からヴィンセントが降りてきた。
 亡くなったはずの息子の姿をとらえて、コーネリアが大きく息を呑む。
 ヴァヌスも驚愕の表情を浮かべ、言葉を詰まらせた。
「ヴィンセント! あなた、本当に生きていてくれたのね……!」
「母上。長い間、ご心配をおかけしました」
「ヴィンセント様……よくぞ、ご無事でお戻りくださいました」
「ヴァヌスか、久しぶりだな。長く国を空けてしまって悪かった」
 感動の再会に喜ぶロサ王国の面々を眺めていたら、緊張で強張っていたジリアンの肩からもスッと力が抜けた。
 着いて早々に、オーウェンが「君に見せたいものがある」と言って彼女を案内してくれたのは、城の中庭にある温室だった。
 透明なガラスで造られた温室の中へ足を踏み入れた瞬間、目の前には深紅の世界が広がっていて、ジリアンは驚嘆する。
 一瞬、どこか別の世界へ迷いこんだのかという錯覚すら抱いたが、パチパチと瞬きをすることで“赤”の正体を知った。
 温室には、数えきれないほどの薔薇が咲いていた。
「なんて、美しいのかしら……」
 思わず称賛の言葉が零れ落ちる。
 ロサ王国の薔薇──通称“ロサの薔薇”は一株買うだけでも、高価な香辛料が何袋も必要だと言われる。ともすれば宝石と同等の価値があった。
 その温室にある薔薇はとにかく一輪が大きい。淡い光沢のある花弁は緻密に計算されているみたいに折り重なり、薔薇という複雑な花の造形を生み出していた。
 国王が纏う天鵞絨のマントを思わせる深紅の色も目を惹いて、たった一輪で花瓶に挿されていても、それだけで見栄えがして華やかだろう。
 オーウェンが立ち尽くすジリアンの手を取り、腰を折って顔を覗きこんできた。
「薔薇の温室は気に入ってくれただろうか」
「ええ。あまりにも美しくて、言葉が出てきませんでした」
「嬉しいことを言ってくれる。この“ロサの薔薇”を、早く君に見せたかったんだ。喜んでくれてよかったよ」
 そこで言葉を切った彼がジリアンの手の甲へ恭しく口づける。
「ここは薔薇と騎士の王国、ロサ。ようこそ、我がロサ王国へ。ジリアン王女」
 オーウェンは旅の同行者ではなく、ロサ王国の王として歓迎の言葉を口にし、大らかに微笑んだ。

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