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女神なんかじゃありませんっ! 国王陛下は愛しい侍女を王妃にしたい

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書籍紹介

出会った時から、あなたは私の女神なんだ

『女神の泉』に落ち、別人のように美しくなった侍女フロリア。
女神が降臨したと信じた若き国王リオネルから王妃になれと命じられ!?
「あなたはなんて淫らで魅力的なんだ」
逞しい身体に組み敷かれ、初心な柔肌を丹念に愛撫される。
熱い楔を受け入れれば、身体も心も甘く淫靡に蕩けて。
悦びを感じつつも、彼が愛しているのは女神で
自分ではない――切なく悩むフロリアに国王は?

ジャンル:
西洋 | 現代
キャラ属性:
王子・王族・貴族
シチュエーション:
甘々・溺愛 | 玉の輿・身分差 | 幼馴染・初恋の人 | 新婚
登場人物紹介

リオネル

ドィネイル国の若き国王。軍人あがりの凜々しい美貌をもつ。国王と認められるために王妃を娶らなければならなかったが、王宮の泉に『女神』が現れて……。

フロリア

ペーリィ伯爵令嬢の侍女として王宮にやってきた男爵令嬢。主の我が儘により、王宮の泉の水を盗もうとして、落ちてしまい!?

立ち読み

 早朝。
 フロリアは早歩きで王宮の廊下を進んでいた。ここは上級貴族の控えの間があるエリアだ。公爵から伯爵まで、多くの貴族が過ごしている。しかしながら、早朝の今は人がいないのでシーンとしていた。
 王宮では毎夜のように宴が開かれ、皆遅くまで遊びに興じている。そのため、眠りについたばかりだ。足音を響かせないよう、フロリアは細心の注意を払って歩く。こんな時間に働いているのは自分だけに違いない。
「それもこれもあの……」
 あの面食い王のせいだわ、と続きを心の中でつぶやきながら、王宮の庭園に面した扉を押した。
(思った通り、まだ靄がかかっている)
 朝靄が立ちこめる庭を見て微笑み、フロリアは庭へと下りていく。これなら離れたところに人がいても見えないだろう。
 白い石を敷き詰めた通路が、刈り込まれた低木に挟まれている。腰を曲げれば隠れて移動できた。庭には様々な植物が植えられているが、どれも同じ高さで刈られている。計算され尽くした庭は、朝靄の中で迷路のような風情を醸し出していた。
(この風景も悪くないわね)
 足を止めて眺めていたくなるが、美しい朝靄の風景を堪能している暇はない。急がないと靄が消えてしまう。
 フロリアは庭を横目に通路を左に折れ、壁沿いにある茂みを目指す。茂みには木製の扉が隠れていた。そこをそっと開けると、すばやく中に入り込む。
 扉の向こうは畑になっていた。王宮で出される料理に使う特別な野菜や珍しい果実を栽培している。フロリアが生まれ育った土地では、見たことも食べたこともないものが数多くあった。
 これもここで初めて食べたわねと、近くにある豆の蔓を跨ぎながら思う。更に奥に進むと、低木の林が現れる。
(あの後ろだわ)
 林を回り込むと石塀が現れ、そこにも小さな扉があった。鉄製で鍵が掛かっているけれど、鍵の隠し場所は知っている。木のウロから出すと鍵穴に差し込んだ。
 鍵は簡単に外れたが……。
 そこから向こうは許可なく入ってはいけないとされる場所だ。向こう側は王族の居住区と繋がっている。
(でも、今回は行かなくてはならないのよ)
 一瞬ためらったけれど、フロリアは表情を引き締めて鉄の扉をそっと開く。身幅くらい開いたら、扉の中へと身体を滑り込ませた。
「ここは……すごいわ」
 初めて足を踏み入れた扉の向こうの景色に、フロリアは目を見開いたまま立ち止まる。
 あたり一面、高価な薬草や香草が植えられていた。朝靄で広さははっきりしないが、見えるところだけでもすごいと思う。
(薬草畑だったのね)
 畑の中央に円形の泉があり、像が立っているのがおぼろげに見えた。近づくとそれは天使を従えた女神像で、掲げた甕から水が流れ落ちている。
(これのことだわ)
 フロリアは女神像を凝視する。噂に聞く女神の泉だ。
(あの水を汲めばいいのね)
 ドレスのポケットから小瓶を取り出した。
 近くまで行って泉を見つめる。普通の水に見えるが、これにはすごい力があるらしい。
(間違いないわ……)
 フロリアが知っているのと同じ、爽やかな香りがするのでこの水だと確信する。
 泉の縁石に手をかけた。水面に自分の顔が映っている。泉はそれほど大きくないが、水底が見えない。
(深いの?)
 甕から落ちる水に向かって、瓶を持った手を差し出した。泉に溜まっているのより、甕から流れ落ちているのがいいと言われている。
 縁から中央の女神像まで見た目よりも距離があった。フロリアは腕と身体を更に伸ばす。
「うーん。あとちょっとで届くのだけど……」
 腕をぎりぎりまで伸ばした。
 もう少しで瓶の口が水に届くと思われた時……。
「おい、そこにいるのは誰だ!」
 よく響く太い声が聞こえてきた。
(こ、この声は蜜師さん?)
 びっくりして身体がビクッと跳ね上がる。それにより、なんとか保っていたバランスが崩れてしまった。
「あっ、わっ!」
 フロリアの身体が前に向かって大きく傾く。
(このままでは泉に落ちてしまう!)
 瓶を手から離し、縁石を掴もうとする。けれど間に合わず、手が空を切った。
 水面がフロリアの眼前に迫ってくる。
(そんな!)
 頭の中で叫ぶと同時に、バシャーンッという大きな水音が耳に届く。フロリアは頭から泉に突っ込んでしまった。
(どうしよう! わたし泳げないのに……)
 ごぼごぼと沈みながらもがく。
 十七歳の若さで、慣れぬ王宮の泉で自分は溺死するのだろうか。まだ恋も何も知らぬ乙女のまま……。
(恋……)
 浮かんだその言葉で、フロリアの脳裏に蜜師の姿が現れた。彼は目の部分だけ網の目になっているフードを深く被っていたので、顔は知らない。でも、いつも穏やかな口調でフロリアに声をかけてくれて、とても博学で優しかった。王宮の庭にある植物についても、フロリアにいろいろと教えてくれたのである。
 この王宮に来てから三ヶ月。辛いことがたくさんあったが、蜜師の彼のおかげで助けられ慰められた。もし初めて恋をするとしたら、彼のような人柄の男性だったと思う。
(そうだわ。わたし、あの方が好きだったわ……)
 今更ながら自覚するけれど、わかったところでどうなることでもなかった。フロリアは伯爵令嬢に仕えているとはいえ、実家は男爵家で貴族の娘である。王宮で働く蜜師と結ばれることなど、許されない。
 しかももう、自分の命はこの泉で尽きようとしている。どうあがいても叶わぬ望みなのだ。
(なんて悲しいことなの)
 こんなところに来なければ、命を落とすことも空しい恋に気づくこともなかった。そもそも、あの面食い王がさっさと妃を決めてくれれば、自分がここに来ることもなかったのである。
(みんな──王さまのせいだわ!)
 沈みながらフロリアは毒づいた。







 ドゥネイル王国の年老いた王が逝去し、新しい王が即位したのは三ヶ月前。
 新王の名はリオネル・ヴァラ・ドゥネイルという。
 まだ二十二歳の若者だ。
「どうにも決まりませんなあ」
 会議の席で宰相がため息交じりにつぶやく。
「理想の高い方ですから」
 大臣のひとりがうなずいて宰相に言う。
「だがこのままにするわけにもいかん」
 年老いた大臣が厳しい表情で告げた。
「そうですな。先王陛下の王子で生き残ったのは、あの方だけですから……」
 宰相が自分に言い聞かせるように返した。
 前王の王子たちは、戦や病などでことごとく亡くなってしまう。老王が亡くなる前年には、王太子と妃まで亡くしてしまったため、後を継げる王子は若いリオネルしか残っていなかった。
 ドゥネイル王国には、国王は王妃とともに即位する決まりがある。もし独身であった場合、即位から百日以内に妃を娶らなくてはならない。
 だが、リオネルは独身で、成人してからずっと軍人として活躍していた。いずれは臣籍に下り王軍の司令官となる予定だったので、恋人や婚約者すらいなかったのである。
「期限は目前ですぞ」
 明後日は百日目だ。
 リオネルのため、毎夜のようにお見合いを兼ねた宴が開かれている。申し分ない家柄と血筋の令嬢たちが、国中からやってきていた。
 しかしながら……。
「いかがでしょうか」
 という宰相の問いに、リオネルは首を振るばかり。彼の眼鏡にかなうものが誰もいない。
「即位当初はそれほどでもなかったのだが……」
 見合いの宴に出ると、居並ぶ令嬢たちの誰かを選ばなくてはと、真剣に見つめダンスをすることもあった。しかし、すぐに誰にも興味を示さなくなる。
「綺麗な令嬢を続けざまに見たせいか、理想が高くなってしまったのかのう」
「そうかもしれん」
 大臣たちは頭を抱えた。このことについて主だった大臣たちが、毎日のように話し合いをしている。
 妃がいなければ王と認められないし戴冠式もできない。即位は、戴冠式後に国王と王妃が揃って国を巡ることで完了する。
「民も新王の行幸を心待ちにしておるじゃろうに……」
 老大臣の言葉に、会議に参加していたすべての者がうなずいた。
「このような時にこそ、女神が降臨してくれたら……」
 宰相であるラスルがつぶやく。
 独身の王が即位すると美しい女神が降臨し、妃になってくれる。そういう言い伝えがドゥネイル王国にはあった。
 はるか昔、女神を妃にした王がいて、彼は誰よりも名君となり王国を栄えさせた。それ以来、独身で王が即位すると、女神らしき女性が現れていたという伝説がある。
 近年は独身で即位した王がいないこともあり、それが本当なのかどうか確たる記録はない。
「言い伝えは神話のようなものだからな……」
 その言葉に、落胆したように皆が深くうなだれた。
「おそらく、昔女神のような美しい女性が現れたということだろう」
「それなら、令嬢たちにもっと美しく装えと命令を出すのじゃ!」
 老大臣が叫ぶ。
「明日には、なんとしても誰かを選んでいただかないと」
「最悪、どなたも選んでくださらないのなら、我々が選んだ女性を妃に娶っていただきましょう」
 意を決した表情でラスルが宣言する。
「それしかありませんな」
 ほとんどの大臣がそれに同意した。



 王宮内には、伯爵以上の位を持つ上級貴族の部屋が割り当てられていた。部屋には居間と寝室、使用人たちの控えの間などがあり、それなりに広い。
 ペーリィ伯爵家の部屋では、令嬢のエイベル・ザーラ・ペーリィが通達を見て立ち上がった。
「明日が最終選考ですって!」
 大きな声を発したため、居間で作業中の家令が視線を向ける。
(明日?)
 窓際で繕い物をしていたフロリアも顔を上げた。
「明日の宴で、一番美しい令嬢を選んで妃に決めるそうよ。面食いな陛下が決められないから、大臣たちの投票で決定するらしいわ」
「おお、それで決まれば、私どもはお屋敷に戻れますな」
 伯爵家の家令がほっとした声音で言う。
「よかったです」
 フロリアも笑みを浮かべた。なにしろこの王宮に来て三ヶ月の間、ほぼ毎夜宴である。着替えのドレスの手配から洗濯まで大変だった。
「あら、何を言っているの? 王妃に決まったら王宮でずっと暮らすことになるのよ」
 エイベルが二人を窘める。
「は、はい……そうですね」
 家令が困惑の表情でうなずいた。
 エイベルの容姿は、誰よりも美しいと言えるほどのものではない。髪は暗めの金髪で目も鼻も小さく、唇は少し厚ぼったい。
「あたくしが一番の美女に選ばれるわけがないとでも?」
 むっとしながら家令に詰め寄った。
「いえ、そんな」
「ふん。わかっているわよ、そのくらい」
 不満顔のまま通達の紙をティーテーブルに投げ捨て、エイベルは先ほどまで座っていた長椅子にどかっと腰を下ろす。
「あら、お茶が入ってないわ」
 ティーカップの中を覗き込む。
「はい、今すぐ」
 フロリアは繕い物を椅子の上に置くと、ティーポットを持ってエイベルのテーブルに行く。
「失礼します」
 カップにお茶を注いでいると、エイベルは高慢な視線でそれを見下ろしている。
「あなたも、あたくしが選ばれるわけないと思っているんでしょ?」
 問いかけながら、お茶が満たされたカップを持ち上げた。
「……」
 フロリアは無言で首を横に振る。
 無駄なことは言わない方がいいのだ。それがこの三ヶ月で身に付けた処世術である。
「ふん。ここに集められた令嬢の中で一番じゃないことくらいわかっているわよ。まあ、二番か三番か、その辺よね」
 冷笑を浮かべて言うと、お茶のカップを口に運んだ。問いかけられたわけではないので、フロリアは無言でエイベルの隣に立っている。
 フロリアは男爵令嬢で、エイベルの側近兼連絡係として仕えていた。本来ならお茶汲みや繕い物のような仕事は、格下の侍女や使用人がやることになっている。
 しかしながら、現在この王宮で働くペーリィ伯爵家の使用人は、家令とフロリアしかいない。エイベルの傍若無人な振る舞いと我が儘に耐えられず、王宮に連れてきていた侍女と使用人が逃げてしまったのだ。
 それで、このような雑用的な仕事も押しつけられている。
(わたしも逃げたかったけど……)
 自分の実家であるボルドス男爵家のために、フロリアは堪えていた。
 エイベルの父親であるペーリィ伯爵は、財政大臣を務めている。彼の意向次第で税率や課税範囲が変わる可能性があった。
 フロリアはエイベルがお妃候補として王宮に行くにあたって、側近として同行してくれと伯爵から強く頼まれたのである。その見返りに、伯爵は男爵家に多額の報酬と税率軽減を約束してくれた。
(逃げて伯爵さまの機嫌を損ねるわけにはいかないもの……)
 フロリアの諦観も知らず、エイベルは高慢な態度でお茶を飲んでいる。
「でもね」
 カップから唇を離すと、エイベルは横目でフロリアを見上げた。
「……?」
(なにかしら?)
 意味深なエイベルの視線に、フロリアは首をかしげる。
「いいこと聞いちゃったのよ」
 目を弓なりにしてエイベルは笑みを浮かべた。その顔に、フロリアは嫌な予感を覚える。これまでの経験だと、大体このあととんでもない我が儘を言い出すのだ。
「どのようなことでしょうか」
 警戒しながらフロリアは問い返す。
「あのね」
 とっておきの内緒話という感じで、エイベルはフロリアの方へ顔を突き出した。

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