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悪狼 ―EAT OUT―

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本価格:820(税抜)

電子書籍価格:--円(税抜)

  • 本販売日:
    2019/12/16
    ISBN:
    978-4-8296-6890-0
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書籍紹介

私がいちばん食べたいのは、
このおいしそうな身体なのだが?

「優しくかわいがりたいだけだ。身体の隅々まで、ぜんぶ」王女マルグリットに囁く、蕩けるような低い声。熱く濡れた舌で敏感な胸を淫靡に刺激され、身体の奥から甘い蜜が溢れて滴り――。幼い頃から想い続けた婚約者、グレンウィル王子との夢のような夜。一度は拒絶され傷ついたけれど、誤解が解ければ待っていたのは幸せすぎる愛され新婚生活! じれきゅん甘エロラブ物語!

ジャンル:
西洋 | ファンタジー
キャラ属性:
王子・王族・貴族
シチュエーション:
幼馴染・初恋の人 | 甘々・溺愛 | 政略結婚
登場人物紹介

グレンウィル

グロワール王国第一王子。有能で見目麗しく、令嬢たちの憧れの的。マルグリットの婚約者だが、彼女を避けている様子で……?

マルグリット

フォルス王国の王女。姉の代わりに5歳でグレンウィルと婚約し、彼を慕い続けてきた。十年後に再会すると、なぜか彼に拒絶され!?

立ち読み

 深くヴェールを被り、ゆっくりと歩いていく。
 最奥に金の玉座が鎮座する、広く煌びやかな謁見室には、国王や近衛兵のみならず、王子や大臣たちが整然と立ち並んでいた。
 彼らの視線を一身に受けながら、中央に敷かれた濃赤の絨毯のうえを進んだ。
 侮蔑。忌避。敬遠。それらの視線に、好意を含んだものは、ひとつもありはしない。
 ここまで彼らに嫌われてしまったのは、マルグリットが叶わない恋に縋って二年もの間、この国に居座ったせいだ。
 すべて自分の落ち度。だから、この場で決して涙は流すわけにはいかない。
 自分を憐れむなど、決して許されないのだ。
 非難を受け止めること、それがフォルス王国の王女としての最後の矜持。
 心は今にも散り散りに張り裂けそうだ。でも、誰にも気取らせるつもりはなかった。
 永遠にも感じられた茨の道のりをようやく歩き終え、玉座の置かれた台座から離れた場所で足を止めると、マルグリットは恭しく国王へと頭を下げた。
「フォルス王国第二王女マルグリット・ハインツ・ボールドウィンは、貴国の第一王子グレンウィル・リー・マクグラス様との婚約を解消し、母国に帰らせていただきます」
 静まり返った室内に、マルグリットの声が響く。
 顔を前に向けると、近くに控えていた婚約者グレンウィル王子が、安堵の息を吐く姿が目の端に映った。
 やはり、一刻も早くこうするべきだったのだ。
 マルグリットが愚かでなければ、二年前に婚約破棄して、国へと帰っていたはずだ。
 大人しくその選択をしていれば、愛する人にいつまでも不愉快な想いをさせずに済んだというのに──。
 間違った行動を続けた結果、もっとも大切な交易相手国の人々から疎まれ、さらには母国の印象までも地に落としてしまった。
「二年もの間、お世話になりました。ご厚情、心から感謝いたします。身勝手で申し訳ございませんが、この婚約の消滅によって、三百年にわたるフォルス王国とグロワール王国の国交に軋轢が生まれないことを願っております」
 グロワール王国の国王にとっても、マルグリットの申し出は望むところだったらしい。婚約破棄に異論はなく、さらに今までと変わらない国交を約束してくれた。
 円満に話は進み、最悪の事態は回避できた。だがマルグリットの父王は、娘の罪を許さないに違いない。
「私はこれで失礼させていただきます。皆様のご健勝を心よりお祈りしております」
 せめて最後だけでも、愚かな振る舞いは避けなければ。
 マルグリットはドレスの端を抓んで丁寧に挨拶すると、俯かないように前を向き、踵を返して謁見室を後にした。
 部屋を出ると、外で待っていた自国の侍女が、頭を下げて出迎えてくれる。
 彼女を連れ、二年もの間住んでいた離宮へと歩いていった。
 目的の場所へ近づくほど、人の気配は消えていく。ついには誰もいなくなり、己の足音だけが小さく廊下に響き始めたとき、透明な滴が頬を伝った。
「……ふ……、……ぅ……」
 一度決壊すると、もはや止められなかった。堪えていた嗚咽が込み上げてくる。
 母国の慣習により深くヴェールを被り、誰からも表情を見られずに済んでいることが、ただ唯一の救いだ。
 今日をもって、幼い頃からずっと抱いていた恋は破れた。
『お姫様は王子様に出会えれば、幸せになることができる』。
 そんな幼い頃からの勘違いを、ようやく正すことができたのだ。
 十二年もの歳月をかけて。
 本当に浅はかだった。そのせいで、色々な人に迷惑をかけてしまった。
 母国に戻っても、父王はマルグリットを受け入れることはないだろう。
 行くあてはないが、せめてずっと傍にいてくれた侍女を母国に帰す責任がある。
 ひとまず二年の間あてがわれていた離宮へと戻りながら、マルグリットは途方に暮れた。

 

 

 

 グロワール王国の第一王位継承権を持つ王太子グレンウィル・リー・マクグラスと婚約したのは、マルグリットがまだ五歳になったばかりのときだった。
 隣り合うフォルス王国とグロワール王国は建国時から、絶えず戦争や小競り合いを起こしていたのだという。しかし三百年前に平和協定を結んでからは友好な関係を築いており、今では交易も盛んだ。王族たちは二度と争いを繰り返さないために、率先して両国間で婚姻を交わしている。
 ──両国に王子と姫が生まれた今代。フォルス王国を治める父王が、お互いの子が生まれるなり早々に婚約を申し出たことは市井でも有名な話だ。
 フォルス王国では第一王女、第一王子、と続けて子が生まれていた。だが、グロワール王国の国王は晩婚だったため、王子の誕生は両国が待ち望んでいた吉報だった。
「両国の関係を盤石なものにする絶好の機会だ。次代は、我が国の姫を貴国へ嫁がせ、貴国に姫が生まれた際には、我が国へと嫁いでいただくことにしようではないか」
 グロワール王国の国王も異論はなく、正式に婚約が交わされることになった。だが、時は流れ、第一王女である姉が十六歳になったとき、約束は反故にせざるをえなくなる。
 姉が年端もいかぬ少年との政略結婚を拒絶し、幼馴染の青年と駆け落ちしたからだ。
 その話を耳にしたマルグリットは仰天し、父王に会うために執務室へと急いだ。
「お姉様がいなくなられたって、本当なのっ!?」
 両開きの扉を勢いよく撥ね開けて、濃紺色の絨毯のうえを駆けていった。その途中で、執務机の前に、立派な服を纏った少年が立っていることに気づく。
 この緊急時に客を迎えているとは思ってもみなかった。
「……え?」
 闖入者に気づいた少年は、こちらを振り返る。
 マルグリットは、自分のはしたなさが急に恥ずかしくなった。慌てて立ち止まろうとしたが、勢いあまって足を滑らせてしまう。
「きゃっ!」
 頭から転倒しそうになるマルグリットを、少年は両腕で抱き留めてくれる。しかし、反応は早くとも、未成熟な身体では支えきれない。
「……っ!」
 マルグリットは少年を押し倒す格好で、馬乗りになった。
「……ご、ごめんなさいっ」
 少年がしっかりと受け止めてくれたため、マルグリットは怪我をせずに済んだ。
 でも少年の方は、背中とお尻を床に打ちつけてしまっている。
「大丈夫? 私のせいで……、なんてこと……」
 涙目になりながら謝罪すると、少年はクスリと笑ってみせた。
「大丈夫だから泣かないで。……それよりもドレス姿で走るのは止した方がいいよ。危ないからね」
 花が綻ぶような甘い笑顔に、思わず目を奪われる。
 少年は、燦然と輝く金色のサラサラとした髪を持ち、朝露を思わせる涼やかな菫青石色の瞳に、滑らかな肌と高い鼻梁、硬く結ばれた唇をしていた。まだ幼いにもかかわらず、凛とした立ち姿だ。
 まるで天使が地上に降臨したかと疑うほどの麗しさを醸し出している。
 美しい瞳にじっと見つめられ、マルグリットは頭のなかが真っ白になっていた。しかし父王の咳払いにハッとして、慌ててお礼を陳べた。
「……も、申し訳ございません。……助けていただいて、ありがとうございました」
 いまだ出会ったことがないほどの美貌の持ち主に視線を奪われ、ただ惚け続ける。
 すると、彼は優しく手を差し伸べて、立ち上がらせてくれる。
「君は、フォルス王国のお姫様? 私はグロワール王国の第一王子グレンウィル・リー・マクグラスだ。よろしく」
 少年が告げたのは、姉が婚約を反故にした婚約者の名だ。
「私は、マルグリット・ハインツ・ボールドウィン。フォルス王国の第二王女です。……姉が……、大変なことをしてしまって……っ。そのうえ、今度は私までご迷惑を……」
 名前を聞いて、血の気が引いた。よりにもよって、今一番怒らせてはいけない相手を転ばせてしまったらしい。マルグリットが真っ青になって謝罪すると、グレンウィルはギュッと手を握りしめた。
「そんなに恐縮しないで。姉君の件は残念だが、仕方ないと思っている。それよりも、今後のことについて一緒に考えよう」
 心強い言葉で慰められ、マルグリットは目を瞠った。一方的に婚約を破棄されたというのに、十歳の少年の発言とは思えない冷静さだ。
「は、はい……。ありがとうございます」
 ふたりの話が済むと、父王が声を挟んでくる。
「せっかく婚約者との初顔合わせのために、はるばる足を運んでくれたというのに、このような事態になり、グレンウィル王子には詫びのしようもない。愚かな娘のせいで、不快な思いをさせてすまない」
 今も姉たちの捜索は続けられている。しかしよしんば見つかったとしても、醜聞にまみれた第一王女を、大切な交易相手国の王子に嫁がせるわけにはいかないと大臣たちが話すのを耳にしていた。
 姉は愛する人との結婚を、自らの手で強引に勝ち取ったのだ。
「私は初めての娘だからと、第一王女を甘やかしすぎたようだ」
 父王の言葉を聞いたグレンウィルは、責めることはなかった。
「いえ、愛する方と結ばれたいと願うのは、心を持つ人として生まれたからには、当然のことです。我が国としても嫌がる姫君に無理強いして、誓約を盾に娶るつもりはありませんから、お気になさらないでください」
 そう言って、自分を裏切ったはずの婚約者を、庇おうとさえしていた。
 彼はなんて優しい人なのだろう。マルグリットは、グレンウィルの寛大さに驚いてしまう。きっと自分なら悲しくて、ただ泣いていたに違いない。グレンウィルのように、裏切った相手を思いやれる余裕はなかっただろう。
「人の心を束縛することは、誰にも許されない。……我が王家は、卑劣な真似など致しません」
 グレンウィルは終始笑顔なのに、なぜか父王は次第に真っ青になっていく。
 あとで聞いた話では、十歳の少年に完全に主導権を握られてしまい、ただ下手に出るしかなかったのだという。
「それよりも第一王女が出奔されたのでしたら、順当にマルグリット第二王女に婚約者となっていただくことが望ましいと思いますが、問題ありませんか?」
 グレンウィルはジッとマルグリットを見つめてくる。
「え? 私? ……私が花嫁でもいいの?」
 いきなり名指しされ、唖然とした。
 目の前にいるのは、絵本のなかから抜け出てきたのではないかと本気で疑うぐらい完璧な王子様だった。家出する前は理知を兼ね備えた完璧な淑女だった姉ならお似合いだが、マルグリットが代わりになれるのだろうか。
「二番目は、見ての通り落ち着きのない姫なのだが……、構わないか」
 父王は心配そうに王子に尋ねた。
「とても元気で愛らしい方だと思いますよ」
 グレンウィルは穏やかな笑みを浮かべながら答える。お世辞だとしても、うれしい。
 こんな王子様と幸せになれるなんて、おとぎ話みたいだ。
「マルグリット、話は聞いていたか? お前までグロワール王国を裏切るような真似をしては、三百年にわたる友好な関係に亀裂が入るやもしれん。まだ婚約には早すぎる年だが、決断してくれないか」
 心配そうに尋ねてくる父王に、マルグリットは嬉々として答えた。
「喜んでお受けします! その日までたくさん努力して、立派なお姫様になるわ」
「その言葉に嘘偽りがなく、心変わりもないことを願うよ。ふたりで国を支えていけるようにがんばっていこう。どうぞよろしく。婚約者殿」
「はいっ!」
 グレンウィルの滞在は、たった一日と驚くほど短かった。マルグリットは少しでも楽しい思い出を作ろうと、美しい花園だけでなく果樹園や菜園を案内したり、彼の希望で図書館や兵士の演習場を巡ったりした。
 特に印象的だったのは、果樹園でのできごとだ。
 実ったばかりの大粒のブルーベリーを勧めると、グレンウィルは興味深そうにひとつだけもいで口にした。その瞬間、利発で大人びた彼の顔が、優しく綻んだのだ。
 謁見室で見せていたような王子としての愛想笑いではない、心からの笑みだ。
 年相応の笑顔を見たマルグリットは、結婚したら毎日こんな風に笑って欲しい、と心から思った。
 楽しい時間はあっという間で、すぐにグレンウィルが帰国する日が訪れた。だが、一目惚れの恋の芽が育まれるには充分だった。
 結婚し、グレンウィルと、彼の愛する国を守りたい。そう思えた。
 だがその後、婚約者には一度として会う機会はなかった。彼に宣言した通り、大国の王子の妃に相応しい姫になるために、苦手なダンスや礼儀作法、二国の歴史や王侯貴族の関係などの勉学といった、様々な花嫁修業に励むのに忙しかったからだ。

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